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フランスはミストラル級ヘリ空母契約終了により約12億ユーロをロシアへ補償する

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『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年7月31日9時19分配信
【新聞は「ミストラル」の補償額について述べた】

「ミストラル」契約終了の最終合意は、副首相ドミトリー・ロゴージンとフランス防衛・国家安全保障担当総補佐官ルイ・ゴーティエの交渉過程で達成された。
フランスはロシアへほぼ12億ユーロを返金する。


『コメルサント』紙は、軍事技術協力分野の複数の情報提供者の談話を引用して報じた。

交渉開始時点でフランスは、承認文書を受け取った場合、7億8460万ユーロの「費用と損失」を補償する用意があった。

しかしロシアは、その損失額をより多額に評価した。
前払い済みの8億9290万ユーロに加え、更に、400名の船員から成る乗員の訓練、ヘリコプター空母駐留の為のウラジオストクインフラストラクチュア建設、4機の甲板ヘリコプターKa-52K試作機の作成作業に費やされた資金が含まれた。
総額は11億6300万ユーロになる。

この金額は、確実に返金されると『コメルサント』への情報提供者は付け加えた:
「それには、艦の建造中に供給されたロシア製機器を取り外し、撤去する事に関連するリスクとコストが追加されます」
これを支援する為、ロシア専門家グループは近い内にフランスサンナゼールSTX造船所へ向かう。
これは管理システム通信システムについての話であり、バルト工場で建造された艦の後部は、ヘリコプター空母に残されたままとなる。
ロシア連邦国防省に在る使用終了証明書が発行され、すぐにフランスへ送られ、彼らは返金する。
決済された金額を受け取った後、モスクワパリへ正式に艦を輸出する権限を与える。

新聞によると、これら全ての問題は、8月上旬に正式に終了する。
その後、7月28日にウラジーミル・プーチン大統領フランス大統領フランソワ・オランドが表明したヘリコプター空母の運命は近い内に明らかになるという約束が実行される。

2隻のヘリコプター空母「ウラジオストク」「セヴァストーポリ」の建造契約は、ロシア兵器輸出公社『ロソボロネクスポルト』DCNS社の間で2011年6月17日に署名された。
この条件下で、1番艦は2014年11月にロシア連邦海軍が取得しなければならなかった。
しかしフランス当局は、ウクライナでの出来事に関連し、引き渡しを凍結した。


[フランスのミストラル級引き渡し保留問題]
[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]

ロシア海軍向けの「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の売買契約は、2011年6月に締結されました。
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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2011年6月17日17時11分配信
【ロシアとフランスは、ヘリコプター空母「ミストラル」に関する契約を締結する】

「ミストラル」級の1番艦「ウラジオストク」は2014年11月に引き渡される予定でしたが、2014年2月以降のウクライナ情勢の悪化により、アメリカを初めとする西側諸国フランスに対し、ロシアへの「ミストラル」級の引き渡しの中止を求め、当初はロシアへ艦を引き渡す意向を表明していたフランス大統領も、2014年11月末に「ウラジオストク」の引き渡しの延期を決定しました。
[フランスはロシアへのミストラル級ヘリ空母ウラジオストクの引き渡しを一時停止する]
[ロシアはミストラル級ヘリ空母購入の為にフランスへ約10億ユーロを支払っている]

2番艦「セヴァストーポリ」も2014年11月に進水し、今年3月から洋上試験を開始しています。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリ空母セヴァストーポリは2回目の洋上試験を行なう]

オランド大統領はは、再三に渡り、「ミストラル」級引き渡しの為の条件として、ウクライナ情勢の鎮静化(停戦合意の履行)を挙げています。
[ロシアへのミストラル級ヘリ空母引き渡しの為の条件は未だ成立していないとフランス大統領は言った]

このようなフランス側の態度に対し、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、2015年4月16日、「ロシアはミストラル級の供給の『挫折』に関し、フランスへ違約金を請求するつもりは無いが、ロシアが負担した費用は返してもらわなくてはならない」と公言しました。
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に関してフランスへ違約金を求めないが支払った代金の返却を望む]

4月19日、オランド氏は、4月24日にアルメニアプーチン氏と会い、「ミストラル」級に関する問題で話し合うと確約する事になりました。
[フランス大統領はミストラル級ヘリ空母の問題についてロシア大統領と話し合う]

4月22日、オランド氏は、ウクライナ大統領との共同記者会見において、改めてロシアへの「ミストラル」級引き渡しの為の条件は形成されておらず、引き渡しは不可能であると表明しました。
更には、ロシアフランスへ払った「ミストラル」級の代金の返還についても言及しました。
[フランスはロシアが支払ったミストラル級ヘリ空母の代金を返還する用意がある]

そして4月24日、アルメニアエレバンプーチン氏とオランド氏の会談が開かれました。
[フランス大統領とロシア大統領はアルメニアにおける首脳会談でミストラル級ヘリ空母の問題についても話し合った]

この会談では「ミストラル」級の問題についても話し合われたようですが、会談後、フランス大統領「ロシアへのミストラル級の引き渡しは決まっていない」と述べ、一方、ロシア大統領報道官「この件に関しては何の問題も無い」とだけ述べました。

4月27日、ロシア大統領報道官ドミトリー・ペスコフ氏は、「ミストラル級ヘリ空母か、或いは前払い金(ロシアがフランスへ支払い済みの代金)をロシアへ戻す事で合意している」と述べました。
[フランスはロシアへミストラル級ヘリ空母を引き渡すか、或いは金を返す]

その後、両国の代表団は何度か交渉を行ないましたが、最終的には、「ミストラル」級ロシアへ引き渡すのではなく、ロシアが以前に支払った「ミストラル」級の代金を返還する方向で合意する事になりました。
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母の代金返還で合意する]
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に関する合意原案を用意している]

7月下旬からは詳細の部分に関する協議へ入り、先ず初めに、「ミストラル」級ヘリ空母へ設置されたロシア製機器の返却の問題について議論されました。
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に設置されたロシア製通信システムの返却について話し合った]

その後、「ミストラル」級に設置済みのロシア製通信システムを取り外す為、ロシアの技術者がフランスへ渡る事になりました。
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に設置された自国製機器を取り外す]

そして7月28日、フランス大統領フランソワ・オランドは、今後数週間以内に「ミストラル」級に関する最終決定を下すと発表しました。
[フランス大統領はロシア海軍向けミストラル級の供給問題に関する最終決定を下す]

そして、フランスロシアへ最終的に11億6300万ユーロを補償する事になりました。
「違約金」という言葉は使われていませんが、この金額は、以前に言われていたミストラル級契約破棄の違約金とほぼ同額になります。


既にロシア海軍「ミストラル」級ヘリ空母には見切りを付けており、新たな汎用揚陸艦の建造を計画しています。

新型汎用揚陸艦「プリボイ」級の建造は2016年から開始され、計8隻の調達が計画されています。
[ロシア海軍の為の新型汎用揚陸艦プリボイ級が建造される]
[ロシア海軍の新世代大型揚陸艦は2020年に就役する]

「プリボイ」級の後に、ロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦の建造も検討されています。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]
[ロシア海軍の為の将来大型揚陸艦は複数のヴァージョンが設計されている]
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