ロシア海軍向けだったミストラル級ヘリコプター空母から戦闘情報管理システムが取り外され、ロシアへ発送された
- カテゴリ:ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル級

『タス通信』より
10月6日13時37分配信
【情報筋:「ミストラル」のロシア製機器の一部は既にロシア連邦へ発送された】
モスクワ/10月6日/タス通信
ロシア製機器の第1バッチは既に「ミストラル」型ヘリコプター空母から撤去され、ロシアへ発送された。
タス通信は軍事外交筋より伝えられた。
「我々の機器は成功裏に取り外され、既にコンテナで(ロシアへ)発送されています」
対談者は話した。
彼は、それが戦闘情報管理システム、ミサイル・砲兵装管制システムである事を明らかにした。
既に報じられているように、「ミストラル」のロシア製機器の取り外しは9月末に始まった。
艦の建造に従事したDCNS社は、このプロセスが年末までに完了すると発表した。
その後、軍事技術協力組織の情報提供者は、フランスは11月末までに7億ルーブル以上の価格になる「ミストラル」型ヘリコプター空母のロシア製機器をロシア連邦へ発送するとタス通信へ伝えた。
[エジプトの「ミストラル」購入]
以前、エジプトは、元々はロシアの為に建造されたヘリコプター空母「ミストラル」を両方とも取得する事が知られるようになった。
「フランス大統領フランソワ・オランドは、本日、エジプト大統領アブドルファッターフ・アッ=シーシーと電話で会談しました。
両国の指導者は、2隻のヘリコプター空母ミストラルの購入条件に関する基本合意に達しました」
エリゼ宮の声明では、こう述べられた。
[どのようにフランスはロシアの為に「ミストラル」を建造したのか]
ロシア連邦海軍の為に2隻の「ミストラル」型ヘリコプター空母を建造する為の11億2000万ユーロの契約は2011年6月に署名された。
「ウラジオストク」と命名された1番艦は2013年10月に進水し、2014年11月にロシア海軍へ引き渡されなければならなかった。
2番艦「セヴァストーポリ」は、元々は2015年後半にロシアへの引き渡しが計画されていたが、1番艦と同様に引き渡しの凍結が決定された。
土壇場になってバリはウクライナ情勢を口実にしてヘリコプター空母の引き渡しを無期限に停止した。
長い待ち時間の後、8月に当事者は、取引の最終的な終了を発表した。
達せられた合意によると、ロシアへは計9億4900万ユーロが返金され、更には、艦へ設置されたロシア製機器も返却される。
その後、フランスは独自の裁量で、建造された艦を処分できるようになる。
9月17日、共和国国民議会(下院議会)は、契約終了法案を承認した。
ロシア連邦国防相代理ユーリー・ボリソフは、エジプトは「ミストラル」のロシア製機器を受け取る事が出来ると表明した。
軍事技術協力組織の情報提供者は、カイロは未だこれらの機器に興味を持っていないとタス通信へ伝えた。
その後、「統合器具製造営団」は、外国の発注者の為に「ミストラル」の機器を適応させる用意があると発表した。
[フランスのミストラル級引き渡し保留問題]
[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
ロシアがフランスから「ミストラル」級指揮・戦力投射艦を購入するかもしれないと最初に報じられたのは、2009年8月初頭でした。
[ロシア海軍、フランス艦を購入?]
それから間もなく、ロシア連邦軍参謀本部総長、ロシア連邦海軍総司令官、ロシア連邦国防相代理が相次いで「ミストラル」級購入の為の交渉が進行中である事を公式に認めました。
[ロシアは、今年末までに「ミストラル」級購入で合意できる]
[ロシアは、競争によりヘリ揚陸艦を購入する]
[ロシア国防省は、「ミストラル」型揚陸艦購入交渉が行なわれている事を認める]
ロシア海軍向けの「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の売買契約が締結されたのは、最初に話が出て来てから約2年後の2011年6月になりました。

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2011年6月17日17時11分配信
【ロシアとフランスは、ヘリコプター空母「ミストラル」に関する契約を締結する】
ロシア海軍向け「ミストラル」級の1番艦「ウラジオストク」は2014年11月に引き渡される予定でしたが、2014年2月以降のウクライナ情勢の悪化により、アメリカを初めとする西側諸国はフランスに対し、ロシアへの「ミストラル」級の引き渡しの中止を求め、当初はロシアへ艦を引き渡す意向を表明していたフランス大統領も、2014年11月末に「ウラジオストク」の引き渡しの延期を決定しました。
[フランスはロシアへのミストラル級ヘリ空母ウラジオストクの引き渡しを一時停止する]
[ロシアはミストラル級ヘリ空母購入の為にフランスへ約10億ユーロを支払っている]
2番艦「セヴァストーポリ」も2014年11月に進水し、2015年3月から洋上試験を開始しています。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリ空母セヴァストーポリは2回目の洋上試験を行なう]
オランド大統領はは、再三に渡り、「ミストラル」級引き渡しの為の条件として、ウクライナ情勢の鎮静化(停戦合意の履行)を挙げていました。
[ロシアへのミストラル級ヘリ空母引き渡しの為の条件は未だ成立していないとフランス大統領は言った]
このようなフランス側の態度に対し、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、2015年4月16日、「ロシアはミストラル級の供給の『挫折』に関し、フランスへ違約金を請求するつもりは無いが、ロシアが負担した費用は返してもらわなくてはならない」と公言しました。
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に関してフランスへ違約金を求めないが支払った代金の返却を望む]
4月19日、オランド氏は、4月24日にアルメニアでプーチン氏と会い、「ミストラル」級に関する問題で話し合うと確約する事になりました。
[フランス大統領はミストラル級ヘリ空母の問題についてロシア大統領と話し合う]
4月22日、オランド氏は、ウクライナ大統領との共同記者会見において、改めてロシアへの「ミストラル」級引き渡しの為の条件は形成されておらず、引き渡しは不可能であると表明しました。
更には、ロシアがフランスへ払った「ミストラル」級の代金の返還についても言及しました。
[フランスはロシアが支払ったミストラル級ヘリ空母の代金を返還する用意がある]
そして4月24日、アルメニアのエレバンでプーチン氏とオランド氏の会談が開かれました。
[フランス大統領とロシア大統領はアルメニアにおける首脳会談でミストラル級ヘリ空母の問題についても話し合った]
この会談では「ミストラル」級の問題についても話し合われたようですが、会談後、フランス大統領は「ロシアへのミストラル級の引き渡しは決まっていない」と述べ、一方、ロシア大統領報道官は「この件に関しては何の問題も無い」とだけ述べました。
4月27日、ロシア大統領報道官ドミトリー・ペスコフ氏は、「ミストラル級ヘリ空母か、或いは前払い金(ロシアがフランスへ支払い済みの代金)をロシアへ戻す事で合意している」と述べました。
[フランスはロシアへミストラル級ヘリ空母を引き渡すか、或いは金を返す]
その後、両国の代表団は何度か交渉を行ないましたが、最終的には、「ミストラル」級をロシアへ引き渡すのではなく、ロシアが以前に支払った「ミストラル」級の代金を返還する方向で合意する事になりました。
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母の代金返還で合意する]
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に関する合意原案を用意している]
7月下旬からは詳細の部分に関する協議へ入り、先ず初めに、「ミストラル」級ヘリ空母へ設置されたロシア製機器の返却の問題について議論されました。
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に設置されたロシア製通信システムの返却について話し合った]
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に設置された自国製機器を取り外す]
2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンとフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]
契約終了によりフランスがロシアへ支払う事になる補償金額は、フランス国防相ジャン・イヴ・ル・ドリアン氏によると、「12億ユーロよりは少ない」との事です。
一方、ロシア政府側は、フランスから受け取る金額については明言を避けました。
その後、フランス議会から正確な金額~9億4975万4849ユーロが公表されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦そのものは取得できませんでしたが、ロシアは支払い済みの代金(プラスアルファ)を回収し、「ミストラル」級に設置されたロシア製機器も回収し、更には、「ミストラル」級の契約(後ろ半分はロシアで建造した)により建造技術を取得しました。
[ロシアはフランスのミストラル級ヘリ空母購入契約を通じて大規模ブロック組立技術を取得した]
9月20日、「ミストラル」級へ設置済みのロシア製機器を取り外す為、ロシア人専門家グループがフランスへ向かいました。
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦のロシア製機器を取り外す為のロシア人専門家グループはフランスへ向かった]
「ミストラル」級のロシア製機器は今年11月までに取り外しが完了し、鉄道あるいは海路(船)でロシアへ送られます。
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦のロシア製機器は2015年11月末までに取り外され、ロシアへ発送される]
その第1陣として、「戦闘情報管理システム」と「ミサイル・砲兵装管制システム」が既に取り外され、ロシアへ発送されているとの事です。
「戦闘情報管理システム」は「シグマ-E」を指しています。
【戦闘情報管理システム「シグマ-E」】
[ロシア海軍向けミストラル級2番艦セヴァストーポリにはフランス製戦闘管理システムSENIT-9は搭載されない]
既に報じられているように、ロシア海軍向けだった2隻の「ミストラル」級は、エジプトへ売却される事になりました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年9月23日15時15分配信
【ロシアのミストラルはエジプトが購入する】
エジプト大統領アブドルファッターフ・アッ=シーシーとフランス大統領フランソワ・オランドは、ロシア海軍向けだった「ミストラル」級2隻の購入で合意しました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年9月24日8時48分配信
【フランスはミストラルの為にロシアへ支払ったものと同じ金額を受け取る】
2隻の「ミストラル」級の購入価格は9億5000万ユーロになるとの事です。
エジプトがロシア海軍向けだった「ミストラル」級ヘリ空母を買って何に使うのかという疑問を持っている方が多いようですが、以前の報道によると、この話の背後にはサウジアラビアが居り、同国が資金援助してエジプトに「ミストラル」級ヘリ空母を購入・保有させ、いざという時(例えばイエメンのような事態)には、アラブ諸国連合の軍事介入や軍事作戦の後方支援などに使いたいという事のようです。
なお、「ウラジオストク」と「セヴァストーポリ」の名前は、将来に建造される大型ヘリコプター揚陸艦(ロシア版「ミストラル」)へ与えられる事になります。
[ウラジオストクとセヴァストーポリの名はロシア海軍の将来ヘリコプター揚陸艦へ与えられる]
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