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ロシア海軍は巡航ミサイルでシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点を攻撃した


『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア連邦国防省広報サービス・情報管理部発表
2015年10月7日17時15分配信
【ロシア国防省はYouTubeチャンネルにシリア領内のISIL(イラクとレバントのイスラム国)のインフラ施設への高精度兵器による大規模打撃を公開した】

本日(10月7日)未明、カスピ海エリアの指定海域に居るロシア海軍打撃艦グループは、シリア領内のISIL(イラクとレバントのイスラム国)のインフラ施設へ、海洋配置有翼ミサイル「カリブル-NK」により大規模な打撃を与えた。

有翼ミサイルは、全ての指示目標へ成功裏に命中した。
遠距離目標への命中精度の誤差は、3メートルを超える事は無かった。

撃破した施設は、弾薬及び爆発装置の製造工場、指揮所、弾薬、兵器及び燃料・潤滑剤の倉庫、更にはテロリストの訓練キャンプだった。

打撃艦グループの旗艦機能は、排水量2000トン、全長約100メートルのロケット艦「ダゲスタン」(プロジェクト11661)が務めた。
同艦は、高度50メートル以下を地形に追従した軌道で飛翔する最新鋭の高精度ミサイル複合体「カリブル-NK」で武装している。

ロケット艦「ダゲスタン」は、駐留所から4000kmの距離で任務を遂行できる。

プロジェクト21631小型ロケット艦「グラード・スヴィヤージスク」、「ウグリーチ」、「ヴェリキー・ウスチュグ」は、約1000トンの排水量と70メートル以上の全長を有する。
同プロジェクト艦の主要打撃複合体は、困難な水文気象条件下であらゆる時間帯に目標を効果的に撃破できる高精度ミサイル兵器複合体「カリブル-NK」である。


既報の通り、10月7日、ロシア海軍カスピ小艦隊の水上艦は、有翼ミサイル「カリブル」により、シリア領内の「イラクとレバントのイスラム国」(ISIL)施設を攻撃しました。
[ロシア海軍カスピ小艦隊の4隻の艦はシリアへ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

今回のロシア海軍による初のシリア領内の「イラクとレバントのイスラム国」施設への攻撃は、カスピ小艦隊所属の「カリブル」搭載艦4隻を総動員して実行されました。

2012年11月28日に就役したプロジェクト11661Kロケット艦「ダゲスタン」は、ロシア海軍で初めて「カリブル」を搭載した艦です。
[ロケット艦ダゲスタンはロシア海軍へ引き渡された]

プロジェクト21631小型ロケット艦「グラード・スヴィヤージスク」、「ウグリーチ」、「ヴェリキー・ウスチュグ」は、昨年(2104年)に就役したばかりの最新鋭艦であり、こちらも「カリブル」を主兵装としています。
[新世代小型ロケット艦「ブヤン-M」]

有翼ミサイル「カリブル」は、輸出用ミサイル「クラブ」シリーズのロシア海軍向けヴァージョンであり、射程距離は大幅に延長されています。
ベースとなったのは、ソ連時代に開発・配備された原潜用の有翼ミサイル「グラナート」(SS-N-21サンプソン、「トマホークスキー」とも呼ばれた)です。
[対艦(対地)巡航ミサイル「クラブ」]
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]
ソ連邦解体後、先ず初めに、「グラナート」をベースにして輸出用の「クラブ」が開発され、それを改良してロシア海軍向けの「カリブル」が開発されました。

輸出用ミサイルの場合、ロシアも参加している「ミサイル技術管理レジーム」の制限により、射程300kmを超える事は許されていません。
この為、「クラブ」の最大射程は300kmに抑えられています。
【ミサイル技術管理レジーム】

しかし、輸出を想定していないロシア海軍向けヴァージョンには、そのような制限は無い為、「カリブル」地上攻撃型の最大射程は2500km程度にまで延長されています。
(対艦攻撃型は375km)

現在の所は、カスピ小艦隊の4隻を始めとして、ロシア海軍の一部の艦にしか搭載されていない「カリブル」ですが、将来的には、新世代艦へ搭載されるのみならず、既存の艦も近代化改装により搭載する事になります。

「カリブル」を搭載する新世代艦は、プロジェクト885原子力水中巡洋艦プロジェクト06363潜水艦プロジェクト22350大型警備艦プロジェクト11356R警備艦プロジェクト20385警備艦プロジェクト21631小型ロケット艦になります。

近代改装により「カリブル」を搭載する既存の艦は、プロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級)、プロジェクト971原子力巡洋潜水艦(アクラ級)プロジェクト11442重原子力ロケット巡洋艦(キーロフ級)プロジェクト1155大型対潜艦(ウダロイ級)です。

特に黒海艦隊へは、将来的に「カリブル」搭載艦が計18隻配備されます。
(プロジェクト06363潜水艦6隻、プロジェクト11356R警備艦6隻、プロジェクト21631小型ロケット艦6隻)


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なお、カスピ海からシリア国内へ発射された「カリブル」は、イランおよびイラク上空を飛翔しましたが、この件に関し、ロシア連邦大統領広報秘書官ドミトリー・ペスコフ氏は、今回のミサイル発射はイラクイランの同意を取り付けたうえで実施されている事を明らかにしました。

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年10月7日20時34分配信
【ペスコフ:(ロシア)海軍によるイスラム国へのミサイル発射軌道はイラクとイランの同意を得ている】

ペスコフ氏は、ミサイルの飛翔経路がイラクイランを通過している件に関し、両国の同意を得ているのかという記者の質問に答え
「貴方の理解は完全に正しいですね」
と答えました。
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