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ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフが近日中にシリアへ向かう予定は無い

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『タス通信』より
2015年10月14日16時00分配信
【ロシア北方艦隊は、シリアへの航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」派遣を否定した】
ムルマンスク、10月14日/タス通信特派員イリヤ・ヴィノグラードフ

重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」(ソ連邦海軍元帥クズネツォフ)は、近い内にバレンツ海で計画任務を遂行する。
タス通信は、北方艦隊広報サービスより伝えられた。

同艦がシリア沿岸へ派遣されるなどという情報は、以前に幾つかのメディアへ登場した。

「重航空巡洋艦の為の遠距離航海、或いは、その他のあらゆる戦闘活動、作戦準備は、近い内には計画されておりません」
広報サービスは伝えた。

広報サービスが説明したように、ロシア連邦の唯一の航空母艦は、現在、基礎訓練段階を完了し、海洋への出航を準備している。
現時点で同艦はムルマンスクの常時停泊地に在り、乗組員は計画戦闘訓練活動を行なっている。
巡洋艦の技術的作業は事実上完了している。

「近い内に同艦は、計画戦闘訓練錬成任務へ取り組む為、更には、北方艦隊海洋航空隊の艦上戦闘機航空連隊飛行士のフライトを支援する為、バレンツ海へ出航します」
広報サービスは明らかにした。

ロシアシリア大統領バッシャール・アサドの要望により、9月30日から過激派「イスラム国」(ロシア連邦では禁止されている組織)に対する作戦を開始した。
航空群には50機以上の航空機が含まれており、更には、ロシア海軍も関与している:10月7日未明、カスピ小艦隊の艦は、カスピ海エリアからシリアイスラム国の施設へ、海洋配置有翼ミサイル複合体「カリブル-NK」により大規模な打撃を与えた。


[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]

「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」は、2013年12月17日から2014年5月18日までの5ヶ月間に渡り、大西洋・地中海遠征を実施しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第5次地中海遠征(2013年12月-)]

遠距離航海から戻った後は、ムルマンスク市郊外の第35艦船修理工場でメンテナンスが行なわれました。

7月18日にはムルマンスクからセヴェロモルスクへ移動しました。
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近影(2014年7月18日)]

7月27日の「ロシア海軍の日」には、北方艦隊基地セヴェロモルスクで祝賀行事に参加しました。

その後、第35艦船修理工場へ戻ってメンテナンスを完全に終え、9月29日に点検の為、バレンツ海へ出航しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは整備後の点検の為に出航した]

9月30日、艦上航空隊の訓練が始まりました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフで艦上航空隊の訓練が始まった]

10月1日からは北方艦隊捜索救助部隊の演習へ参加し、「遭難艦」の役を演じました。
[ロシア海軍北方艦隊は空母アドミラル・クズネツォフの救助訓練を行なう]

2014年11月末、ムルマンスク市と後援協定を締結し、同市の後援を受ける事になりました。
[ムルマンスク市はロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフを後援する]

2015年5月13日、常時係留地であるムルマンスク郊外の第35艦船修理工場岸壁からロスリャコヴォ第82艦船修理工場へ移動しました。
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[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックへ入る]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックへ入渠した]

「アドミラル・クズネツォフ」は、ロスリャコヴォ大型浮きドックPD-50に入渠し、普段は海水に浸かっている艦底部分(吃水線から下の部分)の修復作業が行なわれました。
[ロシア海軍重航空巡洋艦アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ近影(2015年5月31日)]

3ヶ月後の8月20日、大型浮きドックPD-50から出渠しました。
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックを出る]

浮きドックを出た後、「アドミラル・クズネツォフ」第35艦船修理工場岸壁へ戻り、修理作業の残りの部分が実施されました。
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その修理作業も完了し、「アドミラル・クズネツォフ」は、近日中(今週末)に海へ出るとの事です。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは2015年10月中旬に出航する]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは出航を準備する]

「アドミラル・クズネツォフ」搭載機部隊は、今年7月中旬から9月初頭までクリミア半島サキ飛行場訓練複合体「ニートカ」で発着訓練を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機航空連隊はクリミアのニートカでの訓練を終えた]

「アドミラル・クズネツォフ」が出航した際、艦上戦闘機部隊の新人パイロットは同艦で発着訓練を行なう事になるようです。


そして10月14日、一部のメディアは、「アドミラル・クズネツォフ」が近日中にシリアへ向かうと報じました。

『FlashNord』より
2015年10月14日13時57分配信
【ロシアは唯一の航空母艦を「イスラム国」との戦いへと派遣する】
ロシア北方艦隊司令部の(匿名の)情報提供者は、「アドミラル・クズネツォフ」は、「イスラム国」への作戦に参加する為、今週末にムルマンスクからシリア沿岸へ派遣されると述べました。

今回、北方艦隊広報サービスが否定したのは、この報道です。

「アドミラル・クズネツォフ」が近日中に出航するのは確かですが、それは、バレンツ海で艦の訓練と、艦上戦闘機パイロットの発着艦訓練を実施する為であり、シリアへ行く為ではありません。

ただ、今回、北方艦隊が否定したのは、「アドミラル・クズネツォフ」近日中(今週末)にシリアへ向かうという情報のみですが。


「アドミラル・クズネツォフ」は、2010年代末に近代化改装が予定されています。
[空母アドミラル・クズネツォフの近代化は先延ばしされている]
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは2010年代後半に近代化改装を行なう]
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