ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフは海上目標へ艦対空ミサイルを発射した
- カテゴリ:重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ

『タス通信』より
2015年10月26日11時36分配信
【ロシア唯一の正規空母はバレンツ海において高射ミサイル複合体で海上目標を撃破した】
モスクワ、10月26日/タス通信
バレンツ海で戦闘演習を遂行している重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」は、海上目標を高射ミサイル複合体「キンジャール」で撃破した。
10月26日、北方艦隊広報サービス部長ワジム・セルガは発表した。
「巡洋艦の射撃はバレンツ海エリアで行なわれました。
水上標的は成功裏に撃破されました」
彼は話した。
セルガは、同艦が戦闘訓練プログラム課程の計画任務の遂行を続けていると指摘した。
前の日には、艦上の無線システム及び機器の点検が行なわれた。
その枠組みにおいて、セヴェロモルスク-3飛行場からの北方艦隊海洋航空隊の艦上戦闘機航空連隊の航空機Su-33とSu-25が艦の上空を飛行したとセルガは付け加えた。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]
「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」は、2013年12月17日から2014年5月18日までの5ヶ月間に渡り、大西洋・地中海遠征を実施しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第5次地中海遠征(2013年12月-)]
遠距離航海から戻った後は、ムルマンスク市郊外の第35艦船修理工場でメンテナンスが行なわれました。
2014年7月18日にはムルマンスクからセヴェロモルスクへ移動しました。
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近影(2014年7月18日)]
7月27日の「ロシア海軍の日」には、北方艦隊基地セヴェロモルスクで祝賀行事に参加しました。
その後、第35艦船修理工場へ戻ってメンテナンスを完全に終え、9月29日に点検の為、バレンツ海へ出航しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは整備後の点検の為に出航した]
9月30日、艦上航空隊の訓練が始まりました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフで艦上航空隊の訓練が始まった]
10月1日からは北方艦隊の捜索救助部隊の演習へ参加し、「遭難艦」の役を演じました。
[ロシア海軍北方艦隊は空母アドミラル・クズネツォフの救助訓練を行なう]
2014年11月末、ムルマンスク市と後援協定を締結し、同市の後援を受ける事になりました。
[ムルマンスク市はロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフを後援する]
2015年5月13日、常時係留地であるムルマンスク郊外の第35艦船修理工場岸壁からロスリャコヴォの第82艦船修理工場へ移動しました。

[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックへ入る]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックへ入渠した]
「アドミラル・クズネツォフ」は、ロスリャコヴォの大型浮きドックPD-50に入渠し、普段は海水に浸かっている艦底部分(吃水線から下の部分)の修復作業が行なわれました。
[ロシア海軍重航空巡洋艦アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ近影(2015年5月31日)]
3ヶ月後の8月20日、大型浮きドックPD-50から出渠しました。
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックを出る]
浮きドックを出た後、「アドミラル・クズネツォフ」は第35艦船修理工場岸壁へ戻り、修理作業の残りの部分が実施されました。

その修理作業も完了し、「アドミラル・クズネツォフ」はバレンツ海への出航を準備していました。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは2015年10月中旬に出航する]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは出航を準備する]
「アドミラル・クズネツォフ」が出航を準備している間に、一部のメディアは、近日中に同艦がシリアへ向かうと報じ、北方艦隊広報部に否定されました。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフが近日中にシリアへ向かう予定は無い]
10月17日にはムルマンスクからセヴェロモルスク沖へ移動し、10月19日にバレンツ海へ出航しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフは抜錨した]
その後もバレンツ海で各種艦載機器の点検と洋上訓練を続けていました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフはバレンツ海で訓練を続ける]
そして10月26日、「アドミラル・クズネツォフ」は、高射ミサイル複合体「キンジャール」の発射訓練を行ないました。

但し、その目標は空中では無く、海上に在りました。
「アドミラル・クズネツォフ」が空中目標へ向けて「キンジャール」を発射した事は何度も有りますが、海上目標への発射は極めて異例の事です。
ただ、ロシア海軍は実戦において高射ミサイルを海上目標に対して使用した事が有ります。
2008年8月の南オセチア紛争の際、黒海艦隊の小型ロケット艦「ミラーシュ」は、接近してくるグルジア海軍の戦闘艇を高射ミサイル「オサー-M」で撃破しました。
しかしながら、今回の「アドミラル・クズネツォフ」の場合、想定目標は敵海軍の水上戦闘艦では無く、おそらくはテロリストによる自爆ボート攻撃でしょう。
例えば、2000年10月12日のアメリカ海軍駆逐艦「コール」襲撃事件のような。
「アドミラル・クズネツォフ」には、本来の対艦(対水上)攻撃用として長距離対艦ミサイル「グラニート」も搭載されていますが、対艦ミサイルの発射は1994年9月に実施したのみであり、以後は全く行われていません。
「アドミラル・クズネツォフ」は、2010年代末に近代化改装が予定されています。
[空母アドミラル・クズネツォフの近代化は先延ばしされている]
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは2010年代後半に近代化改装を行なう]
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