新型揚陸艦イワン・グレンの2番艦が建造されるかもしれない
2012年5月18日、ロシア海軍のプロジェクト11711大型揚陸艦「イワン・グレン」が進水しました。


[新型揚陸艦イワン・グレンは進水する]
その「イワン・グレン」型の2番艦が建造されるかもしれません。
『イズヴェスチヤ』より。
【海軍にはもう1隻の「イワン・グレン」が就役するかもしれない】
2012年5月23日11時39分配信
(ロシア)海軍総司令部は、2隻目の大型揚陸艦プロジェクト11711を建造する計画である。
(ロシア)海軍は、先週にカリーニングラードで進水した大型揚陸艦「イワン・グレン」の双子の弟を発注し、建造する計画である。
海軍総司令部の高位の情報提供者が『イズヴェスチヤ』へ伝えた所によると、現在、そのようなセットが艦船造船所へ発注される事が決定されている。
「プロジェクト11711の運命は、2隻目の大型揚陸艦建造後に決定されます。
つまり、私達は、同様の艦の発注を計画しており、その後、このタイプの艦をより多く建造するか否かを決断するでしょう」
海軍の代理人は述べた。
彼は、「イワン・グレン」は沿岸への上陸を意図している事を説明した。
これ(上陸)を行う為、大型揚陸艦は、浅瀬へ艦首を「座礁させ」、艦首の大型「ゲート」を開く。
この方法は、無人の沿岸へ上陸する分には良かろうが、沿岸における敵の火力の前では意味を持たない。
他のタイプの揚陸艦は、舟艇やヘリコプターで部隊を上陸させる。
例えば、フランスの「ミストラル」のように。
ロシア海軍が「ミストラル」を購入したのは、この方法で着上陸を行なう為であることは明らかである。
それは「超水平線」と呼ばれる揚陸方法であり、沿岸からの見通し外で部隊を上陸させる事が出来る。
これが大型揚陸艦ならば、沿岸に「停滞」していなければならないのである。
その一方、大型揚陸艦は大きな積載量を有する為、追加の上陸用舟艇を必要としない。
現在、ロシア海軍には約20隻の大型揚陸艦が在る。
この内の2隻は、2008年8月、グルジアのポチ港への進攻へ参加した。
「統合造船業営団」は『イズヴェスチヤ』に、海軍の2隻目の大型揚陸艦の建造を決定する文書は受け取っていないと伝えた。
「カリーニングラード造船工場ヤンターリは、イワン・グレンのような艦の建造を開始する準備を整えております。
ですが、海軍は2番艦の概要を決定するのに、当初のプロジェクトを3度に渡り変更しているのです」
情報提供者は『イズヴェスチヤ』に伝えた。
彼によると、1998年に設計された「イワン・グレン」は、当初、対空防衛システムなどの強力な兵装を有する事になっていた。
2004年、同艦は、このコンセプトで建造を開始した。
しかし、2006年、海軍総司令部による変更後、 「イワン・グレン」の殆どの兵装は撤去される事になった。
結果として、大型揚陸艦は「揚陸能力も有する」非武装輸送船になってしまった。
このようになってしまった同艦は、カリーニングラードで2012年5月18日に進水した。
「私共は、防空システムを設置する筈だった区画を壊し、艦の船体を切断しなければなりませんでした。
現在、海軍には、このプロジェクトを残すつもりなど、殆ど無いでしょうね」
「統合造船業営団」の代理人は説明した。
彼によると、海軍が「ヤンターリ」へ技術目標をすぐに提供しなければ、同プロジェクト2番艦は2013年度の国家防衛発注に加入する事は出来ない。
この契約は2012年10月までに署名されなければならない。
その場合、艦は2014年に起工されるだろう。
さらに代理人が『イズヴェスチヤ』へ伝えた所によれば、1998年設計された「イワン・グレン」の兵器システム及び管理システムの多くは生産されておらず、設計者は、同プロジェクトの為に新たなシステムを装備させる必要がある。
「多くの装置は、もはや利用できなくなっています。それはディーゼルエンジン、ポンプ、タービン、砲システムなどす。電子機器などは、著しく時代遅れです。
現在、多くのコンポーネントは、新たな海軍を開発する為の技術目標が、どのようなケースとなるのかにより、完全に異なる寸法、仕様、価格を有しています」
情報提供者は述べた。
地政学問題高等学院副校長コンスタンチン・シフコフは、海軍の水上能力が低下した現状では、「イワン・グレン」2番艦は必要とされていない事を解説した。
「それには、同艦を、対空防衛システムを有し、強力な打撃コンポーネントから着上陸を防衛する能力を有するように完全に建造する必要があります。
イワン・グレンは、民間輸送船へ転換する事は出来るんじゃないですかね」
専門家は述べた。
シフコフによると、同プロジェクト艦は、海軍にとっては「ミストラル」よりも遥かに便利である。
しかし海軍は、プロジェクト11711のような艦を必要とする為の一貫した戦略及び理解を有していない故、注目されていない。
大型揚陸艦「イワン・グレン」の排水量は5000トン、速力は18ノットである。
艦の全長は120メートル、幅16.5メートル、吃水3.6メートル、乗組員は100名である。
兵装は、76.2mm砲と2基の6砲身30ミリ高射装置、2基の反応火力一斉射撃システム「グラード」発射装置と、輸送戦闘ヘリコプターKa-29である。

大型揚陸艦「イワン・グレン」は、2004年12月24日に「ヤンターリ」造船工場で起工されました。
当初は、「イワン・グレン」+シリーズ艦(同型艦)4隻の計5隻が建造される計画だったのですが、未だに「シリーズ艦」は1隻も起工されていません。
2010年10月に最初のシリーズ艦(つまり2番艦)が起工されると報じられましたが、キャンセルされました。
加えて「イワン・グレン」は、建造中に何度も設計変更され、この事が工事の更なる遅延を招きました。
更に今回の記事によると、設計変更の為に防空システム設置区画を壊し、船体を切断しているとの事です。
当初、「イワン・グレン」には、対空ミサイルの発射機(おそらくは垂直発射機)が搭載される予定だった事が伺えます。
ミサイルの種類にまでは触れられていませんが、おそらくは「キンジャール」(SA-N-9)か、或いは1990年代に開発がスタートした新型艦対空ミサイル「リドゥート」でしょう。
現在のロシア海軍では、あまり注目されていない「イワン・グレン」ですが、5月初頭に就任したロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ中将は、同艦を高く評価しているようです。
[新型揚陸艦イワン・グレンは大洋海域で使用できる]
以前、ロシア連邦の「2011-2020年の国家兵器プログラム」において、プロジェクト11711大型揚陸艦は6隻調達されると報じられました。
[2011-2020年のロシア兵器プログラムにおけるロシア海軍の艦艇調達数]
プロジェクト11711大型揚陸艦を2隻建造し、実績を見た後に、3番艦以降を建造するか否かが決定されるという事でしょう。

なお、記事中で2隻の大型揚陸艦が「2008年8月、グルジアのポチ港への進攻へ参加した」と書かれていますが、これは南オセチア紛争中の8月12日に実施されたグルジア海軍主要基地ポチへの進入作戦を指しています。
[グルジア海軍艦艇は、ロシア海軍スペツナズにより破壊された]
黒海艦隊所属の海軍歩兵特殊部隊員を乗せた2隻の大型揚陸艦はポチ港へ乗り込み、停泊していたグルジア海軍艦艇を爆破しました。


[新型揚陸艦イワン・グレンは進水する]
その「イワン・グレン」型の2番艦が建造されるかもしれません。
『イズヴェスチヤ』より。
【海軍にはもう1隻の「イワン・グレン」が就役するかもしれない】
2012年5月23日11時39分配信
(ロシア)海軍総司令部は、2隻目の大型揚陸艦プロジェクト11711を建造する計画である。
(ロシア)海軍は、先週にカリーニングラードで進水した大型揚陸艦「イワン・グレン」の双子の弟を発注し、建造する計画である。
海軍総司令部の高位の情報提供者が『イズヴェスチヤ』へ伝えた所によると、現在、そのようなセットが艦船造船所へ発注される事が決定されている。
「プロジェクト11711の運命は、2隻目の大型揚陸艦建造後に決定されます。
つまり、私達は、同様の艦の発注を計画しており、その後、このタイプの艦をより多く建造するか否かを決断するでしょう」
海軍の代理人は述べた。
彼は、「イワン・グレン」は沿岸への上陸を意図している事を説明した。
これ(上陸)を行う為、大型揚陸艦は、浅瀬へ艦首を「座礁させ」、艦首の大型「ゲート」を開く。
この方法は、無人の沿岸へ上陸する分には良かろうが、沿岸における敵の火力の前では意味を持たない。
他のタイプの揚陸艦は、舟艇やヘリコプターで部隊を上陸させる。
例えば、フランスの「ミストラル」のように。
ロシア海軍が「ミストラル」を購入したのは、この方法で着上陸を行なう為であることは明らかである。
それは「超水平線」と呼ばれる揚陸方法であり、沿岸からの見通し外で部隊を上陸させる事が出来る。
これが大型揚陸艦ならば、沿岸に「停滞」していなければならないのである。
その一方、大型揚陸艦は大きな積載量を有する為、追加の上陸用舟艇を必要としない。
現在、ロシア海軍には約20隻の大型揚陸艦が在る。
この内の2隻は、2008年8月、グルジアのポチ港への進攻へ参加した。
「統合造船業営団」は『イズヴェスチヤ』に、海軍の2隻目の大型揚陸艦の建造を決定する文書は受け取っていないと伝えた。
「カリーニングラード造船工場ヤンターリは、イワン・グレンのような艦の建造を開始する準備を整えております。
ですが、海軍は2番艦の概要を決定するのに、当初のプロジェクトを3度に渡り変更しているのです」
情報提供者は『イズヴェスチヤ』に伝えた。
彼によると、1998年に設計された「イワン・グレン」は、当初、対空防衛システムなどの強力な兵装を有する事になっていた。
2004年、同艦は、このコンセプトで建造を開始した。
しかし、2006年、海軍総司令部による変更後、 「イワン・グレン」の殆どの兵装は撤去される事になった。
結果として、大型揚陸艦は「揚陸能力も有する」非武装輸送船になってしまった。
このようになってしまった同艦は、カリーニングラードで2012年5月18日に進水した。
「私共は、防空システムを設置する筈だった区画を壊し、艦の船体を切断しなければなりませんでした。
現在、海軍には、このプロジェクトを残すつもりなど、殆ど無いでしょうね」
「統合造船業営団」の代理人は説明した。
彼によると、海軍が「ヤンターリ」へ技術目標をすぐに提供しなければ、同プロジェクト2番艦は2013年度の国家防衛発注に加入する事は出来ない。
この契約は2012年10月までに署名されなければならない。
その場合、艦は2014年に起工されるだろう。
さらに代理人が『イズヴェスチヤ』へ伝えた所によれば、1998年設計された「イワン・グレン」の兵器システム及び管理システムの多くは生産されておらず、設計者は、同プロジェクトの為に新たなシステムを装備させる必要がある。
「多くの装置は、もはや利用できなくなっています。それはディーゼルエンジン、ポンプ、タービン、砲システムなどす。電子機器などは、著しく時代遅れです。
現在、多くのコンポーネントは、新たな海軍を開発する為の技術目標が、どのようなケースとなるのかにより、完全に異なる寸法、仕様、価格を有しています」
情報提供者は述べた。
地政学問題高等学院副校長コンスタンチン・シフコフは、海軍の水上能力が低下した現状では、「イワン・グレン」2番艦は必要とされていない事を解説した。
「それには、同艦を、対空防衛システムを有し、強力な打撃コンポーネントから着上陸を防衛する能力を有するように完全に建造する必要があります。
イワン・グレンは、民間輸送船へ転換する事は出来るんじゃないですかね」
専門家は述べた。
シフコフによると、同プロジェクト艦は、海軍にとっては「ミストラル」よりも遥かに便利である。
しかし海軍は、プロジェクト11711のような艦を必要とする為の一貫した戦略及び理解を有していない故、注目されていない。
大型揚陸艦「イワン・グレン」の排水量は5000トン、速力は18ノットである。
艦の全長は120メートル、幅16.5メートル、吃水3.6メートル、乗組員は100名である。
兵装は、76.2mm砲と2基の6砲身30ミリ高射装置、2基の反応火力一斉射撃システム「グラード」発射装置と、輸送戦闘ヘリコプターKa-29である。

大型揚陸艦「イワン・グレン」は、2004年12月24日に「ヤンターリ」造船工場で起工されました。
当初は、「イワン・グレン」+シリーズ艦(同型艦)4隻の計5隻が建造される計画だったのですが、未だに「シリーズ艦」は1隻も起工されていません。
2010年10月に最初のシリーズ艦(つまり2番艦)が起工されると報じられましたが、キャンセルされました。
加えて「イワン・グレン」は、建造中に何度も設計変更され、この事が工事の更なる遅延を招きました。
更に今回の記事によると、設計変更の為に防空システム設置区画を壊し、船体を切断しているとの事です。
当初、「イワン・グレン」には、対空ミサイルの発射機(おそらくは垂直発射機)が搭載される予定だった事が伺えます。
ミサイルの種類にまでは触れられていませんが、おそらくは「キンジャール」(SA-N-9)か、或いは1990年代に開発がスタートした新型艦対空ミサイル「リドゥート」でしょう。
現在のロシア海軍では、あまり注目されていない「イワン・グレン」ですが、5月初頭に就任したロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ中将は、同艦を高く評価しているようです。
[新型揚陸艦イワン・グレンは大洋海域で使用できる]
以前、ロシア連邦の「2011-2020年の国家兵器プログラム」において、プロジェクト11711大型揚陸艦は6隻調達されると報じられました。
[2011-2020年のロシア兵器プログラムにおけるロシア海軍の艦艇調達数]
プロジェクト11711大型揚陸艦を2隻建造し、実績を見た後に、3番艦以降を建造するか否かが決定されるという事でしょう。

なお、記事中で2隻の大型揚陸艦が「2008年8月、グルジアのポチ港への進攻へ参加した」と書かれていますが、これは南オセチア紛争中の8月12日に実施されたグルジア海軍主要基地ポチへの進入作戦を指しています。
[グルジア海軍艦艇は、ロシア海軍スペツナズにより破壊された]
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