ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは地中海東部からシリアのISIL(イラク・レバントのイスラム国)拠点へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した
- カテゴリ:地中海情勢(2015-2016年)
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年12月8日22時15分配信
【ショイグ:シリアのイスラム国の2ヶ所の重要拠点は潜水艦からの打撃で撃破された】
モスクワ、12月8日-ロシア通信社ノーボスチ
シリアのラッカ地域のテロリスト「イスラム国」(アラビア語では「ダーイッシュ」、ロシア連邦では非合法)の2ヶ所の重要拠点は潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」からの打撃により撃破された。
国防相セルゲイ・ショイグは発表した。
先だってショイグは、ロシア連邦は地中海エリアから潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」の有翼ミサイルによりイスラム国へミサイル打撃を与えたとロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンへ報告した。
これは水中位置からの最初の発射である。
「航空隊と潜水艦隊は成功裏に発射を実行した結果、全ての目標は撃破されました。
再び有翼ミサイル"カリブル"の遠距離での有効性が示されました」
ショイグはプーチンとの会合で話した。
「目標は、ラッカ領域のテロリストの2ヶ所の重要拠点でした。
私共は、完全に自信を持って申し上げる事が出来ます。
弾薬倉庫及び地雷製造工場、そしてもちろん石油施設へ重大な損害を与えたと」
国防相は付け加えた。
[プロジェクト06363潜水艦]
ロシア海軍黒海艦隊向けのプロジェクト06363潜水艦の2番艦B-237「ロストフ・ナ・ドヌー」は、2011年11月21日にサンクトペテルブルクの「アドミラルティ造船所」で起工されました。
[改キロ級潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」起工]
2013年7月下旬までに乗員団が編成され、艦長が任命されました。
「ロストフ・ナ・ドヌー」艦長に任命されたのは、同じ黒海艦隊の潜水艦「アルローサ」艦長上級補佐官(副長)アンドレイ・アダムスキー2等海佐でした。
[プロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクとロストフ・ナ・ドヌーの艦長が任命された]
起工から約3年後の2014年6月26日に進水しました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦の2番艦ロストフ・ナ・ドヌーは進水した]
2014年8月下旬、係留試験が開始されました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦の2番艦ロストフ・ナ・ドヌーは係留試験を開始した]
その後、2014年10月21日から工場航行試験が始まりました。
『ruspodplav』より
2014年11月2日23時44分配信
【「ロストフ・ナ・ドヌー」はサンクトペテルブルクへ戻ってきた】
ロシア海軍広報部は、「ロストフ・ナ・ドヌー」が2014年末までにロシア海軍へ引き渡されると発表しました。
[最新潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは2014年末までにロシア海軍へ引き渡される]
2014年12月23日には国家受領試験が終わりました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2014年12月23日13時26分配信
【ディーゼルエレクトリック潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」は国家試験から戻った】
その後、2014年12月27日に受領-引渡証書への署名が行なわれ、12月30日に海軍旗初掲揚式典が開催され、正式にロシア海軍へ就役し、黒海艦隊の第4独立潜水艦旅団へ編入されました。
[潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーはロシア海軍へ就役した]
就役した「ロストフ・ナ・ドヌー」は、まずバレンツ海へ移動して深海試験を行ない、その後に配備先の黒海艦隊基地-ノヴォロシースク海軍基地へ回航されます。
[ロシア海軍最新潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは深海試験を行なう為にバレンツ海へ移動する]
2015年4月17日、「ロストフ・ナ・ドヌー」はクロンシュタットを抜錨しました。
[ロシア海軍最新潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーはクロンシュタットを去り、北方艦隊潜水艦基地ポリャールヌイへ向かった]
2015年5月22日、深海試験を行なう為、北方艦隊潜水艦基地ポリャールヌイへ到着しました。
[ロシア海軍最新潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは深海試験の為に北方艦隊基地ポリャールヌイへ到着した]
その後、バレンツ海で各種試験が行われました。
2015年10月2日には有翼ミサイル「カリブル」対地攻撃型の発射試験を実施しました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーはバレンツ海から地上目標へ巡航ミサイルを発射した]
2015年10月9日、「カリブル」対艦型を海上目標へ発射しました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーはバレンツ海で巡航ミサイル"カリブル"(対艦型)を発射した]
2015年10月16日、ポリャールヌイ基地へ到着した同型艦「スタールイ・オスコル」と入れ違いに出航しました。
[ロシア海軍の最新潜水艦スタールイ・オスコルは深海試験の為に北方艦隊基地ポリャールヌイへ到着した]
2015年10月29日、クロンシュタットへ入港しました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは『補給』の為にクロンシュタットへ寄港した]
2015年11月5日にクロンシュタットを出航し、黒海へ向かいました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーはクロンシュタットから黒海へ向かった]
その後、「ロストフ・ナ・ドヌー」の動向が公表される事は一切ありませんでした。
「ロストフ・ナ・ドヌー」は、2015年12月8日までに地中海東部(シリア沖)へ到達しました。
[ロシア海軍黒海艦隊のプロジェクト06363潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーはシリア沖に居る]
そして2015年12月8日、「ロストフ・ナ・ドヌー」はシリア沖からシリア国内のISIL(シリア・レバントのイスラム国)拠点へ有翼ミサイル「カリブル」対地攻撃型を発射しました。
「ロストフ・ナ・ドヌー」にとっては3度目となる有翼ミサイル発射は、ロシア海軍史上初の潜水艦発射有翼ミサイルの実戦使用となりました。

2015年11月17日、ロシアの一部のメディアは、回航途中の「ロストフ・ナ・ドヌー」が地中海東部から「カリブル」によりシリアのラッカに在るISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点を攻撃したと報じました。
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは巡航ミサイルでシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点を攻撃した]
この件に関するロシア国防省やロシア海軍からの公式発表は全く有りませんでした。
しかし、2015年11月17日の時点で「ロストフ・ナ・ドヌー」はシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点を有翼ミサイルで攻撃できる位置(地中海東部)に居ませんでした。
(11月17日にはジブラルタル海峡付近に到達するのが精一杯)
ブログ『窓に!窓に!』より
2015年11月22日配信
【改キロ級からの巡航ミサイル攻撃の疑問】
おそらくこれは、「(今後)ロストフ・ナ・ドヌーは地中海東部へ行き、シリアのイスラム国拠点へ有翼ミサイルを発射する予定である」という情報が中途半端に外部へ漏れ、「(今後近い内に)地中海東部から有翼ミサイルを発射する予定」が「地中海東部から有翼ミサイルを発射した」と伝わってしまったのでしょう。
有翼ミサイル「カリブル」は、2015年10月7日にカスピ小艦隊の小型ロケット艦からシリアの「イスラム国」拠点へ発射されています。
[ロシア海軍カスピ小艦隊の4隻の艦はシリアへ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
[ロシア海軍は巡航ミサイルでシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点を攻撃した]
[ロシア連邦軍参謀本部作戦管理総局長はロシア海軍によるシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点攻撃について語った]
カスピ小艦隊は11月21日にも「カリブル」による攻撃を行なっています。
[ロシア海軍カスピ小艦隊は再びシリアのISIL(シリアとレバントのイスラム国)拠点へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
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