原子力巡洋潜水艦クズバスは2015年12月末までにロシア海軍太平洋艦隊へ復帰する

『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年12月21日8時44分配信
【潜水艦「クズバス」は年末までに艦隊へ復帰する見込みである】
太平洋艦隊のプロジェクト971U「シチューカ-B」原子力潜水艦K-419「クズバス」は、ボリショイ・カーメニの極東工場「ズヴェズダー」での長きに渡った修理を完了し、2015年末までに艦隊の戦闘編制へ復帰する。
『Lente.ru』は 防衛産業界の情報提供者より伝えられた。
現在、原子力艦は、来たるカムチャツカの太平洋艦隊原子力潜水艦基地への移動の為、海へ出る準備を進めている。
「クズバスの2009年からの充分に長い修理は、正式には技術的準備状態の回復だったのですが、実際には、潜水艦は大部分の機器を現代へ対応するものへ交換する完全な定期修理を行ないました」
対談者は話した。
原子力潜水艦K-419はコムソモリスク・ナ・アムーレで1991年7月28日に起工され、1992年5月18日に進水し、1992年12月31日に海軍へ引き渡された。
1993年4月から1998年1月まで「モルシュ」と名付けられており、その後、「クズバス」と改名した。
それは、1990年代から2000年代に太平洋艦隊で最も航海を行なった潜水艦の1隻であり、様々な大洋エリアで繰り返し戦闘任務を遂行した。
原子力潜水艦プロジェクト971の水中排水量は10000トン以上、最大速力は33ノット、潜航深度は600メートル、乗組員73名。
これらは8門の533mm及び650mm魚雷発射管で武装しており、潜水艦の弾薬は40発までの魚雷、有翼ミサイル、ロケット魚雷であり、12基の650mm魚雷/ロケット魚雷と28基の533mm魚雷/ロケット魚雷を含む。
潜水艦は魚雷の代わりに、海洋機雷及び様々なタイプの特殊水中装置を使用できる。
このタイプの潜水艦6隻は、2030年代初頭まで海軍の編制へ留まる事を可能にする近代化を実施しなければならない。
プロジェクト971原子力大型潜水艦K-419は、コムソモリスク・ナ・アムーレ市のレーニン共産党青年団記念造船工場(現アムール造船工場)で1991年7月28日に起工されました。
建造中にソ連邦は解体されましたが、1992年5月18日に進水し、1992年12月31日にロシア海軍へ納入されました。
この間、1992年4月28日には「原子力巡洋潜水艦」へ類別変更されました。
翌1993年1月30日に海軍旗初掲揚式典を開催し、正式にロシア海軍へ就役しました。
1993年2月5日に太平洋艦隊の第2潜水艦小艦隊・第45潜水艦師団へ編入され、7月10日にカムチャツカ半島のヴィリュチンスク基地へ到着しました。
1993年4月13日には「モルシュ」と命名されました。
1995年10月14日から12月15日まで戦闘勤務を実施。
1996年5月5日から7月26日まで戦闘勤務を実施。
1997年7月6日から8月18日まで戦闘勤務を実施。
1998年1月29日にロシア海軍総司令官の指示で「クズバス」と改名されました。
1998年5月1日、第10潜水艦師団へ転属しました。
2001年には小規模な修理を行ないました。
2007年8月には原子力巡洋潜水艦「ネルパ」の試験の支援へ参加しました。
2007年9月から12月までボリショイ・カーメニのドックで修理を実施。
2008年7月末にはウラジオストク沖でロシア海軍記念日の観艦式に参加しました。


2009年にはボリショイ・カーメニの艦船修理工場「ズヴェズダー」へ回航され、核燃料交換などを含む大規模なオーバーホールが始まりました。

オーバーホールは2015年秋にようやく完了しました。
2015年12月18日にはロシア連邦首相ドミトリー・メドベージェフ氏(前ロシア連邦大統領)が「クズバス」を視察しました。
「クズバス」は12月末までに太平洋艦隊へ復帰し、その後、カムチャツカの原潜基地ヴィリュチンスクへ戻ります。
ロシア海軍に就役中のプロジェクト971原子力巡洋潜水艦の内6隻(北方艦隊の3隻と太平洋艦隊の3隻)はセヴェロドヴィンスクの艦船修理工場「ズヴェズドーチカ」で高度な近代化改装が実施されますが、「クズバス」は、この6隻には入っていません。
[セヴェロドヴィンスクの艦船修理センターはアクラ級原潜を近代化する]
[ロシア海軍の約10隻のアクラ級原潜とオスカーII級原潜が近代化改装される]
既に太平洋艦隊からはK-391「ブラーツク」とK-295「サマーラ」が2014年9月末にセヴェロドヴィンスクへ回航されています。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原潜ブラーツクとサマ―ラはセヴェロドヴィンスクの艦船修理工場へ到着した]
現在のロシア連邦海軍における原子力潜水艦の分類は以下の通りです。
重原子力戦略用途水中巡洋艦:プロジェクト941「アクラ」(タイフーン)
原子力戦略用途水中巡洋艦:プロジェクト667BDRM「デリフィン」(デルタIV)、プロジェクト667BDR「カリマール」(デルタIII)、プロジェクト955「ボレイ」
原子力水中巡洋艦:プロジェクト949A「アンテイ」(オスカーII)、プロジェクト885「ヤーセン」
原子力巡洋潜水艦:プロジェクト971「シチューカ-B」(アクラ)
原子力大型潜水艦:プロジェクト945「バラクーダ」(シエラI)、プロジェクト945A「コンドル」(シエラII)、プロジェクト671RTMK「シチューカ」(ヴィクターIII)
弾道ミサイル或いは有翼ミサイルの専用垂直発射機を装備する原潜:西側で言う所のSSBNやSSGNに該当する艦は「水中巡洋艦」に分類されています。
一方、いわゆる「魚雷攻撃型原潜」は、「原子力大型潜水艦」に分類されています。
ただ、今回の記事に登場する「クズバス」を含むプロジェクト971のみは「原子力巡洋潜水艦」と、「原子力水中巡洋艦」と「原子力大型潜水艦」の中間的な分類となっております。
上記の分類はソ連邦解体後の1992年に定められたものですが、この当時、971は魚雷発射管から発射できる長射程有翼ミサイル「グラナート」(SS-N-21)を搭載し、原子力戦略用途水中巡洋艦を補完する戦力と見なされていた為、他の魚雷攻撃型原潜と区別して「巡洋潜水艦」となりました。
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