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ロシア海軍北方艦隊の原子力大型潜水艦オブニンスクは長期航海を終えて基地へ戻ってきた

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『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2015年12月22日11時3分配信
【北方艦隊の原子力潜水艦「オブニンスク」は遠距離航海から基地へ戻った】

遠距離航海任務を成功裏に遂行した北方艦隊多目的原子力潜水艦「オブニンスク」は、ムルマンスク州潜水艦部隊基地ザオゼルスクへ戻った。
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船員は、北方艦隊潜水艦部隊司令官・ロシア英雄アレクサンドル・モイセーエフ中将潜水艦連合部隊の将兵、自治体の幹部、聖職者の代表、そして乗組員の家族に出迎えられた。
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式典の最中に、アレクサンドル・モイセーエフ中将は、原子力潜水艦の艦長ミハイル・ドムニン1等海佐へロシア海軍総司令官賞を授与した。
これは、2015年の演習年度の戦闘訓練の結果、乗組員へ授与されるものである。

乗組員は更に、伝統的な子豚の丸焼きを受け取り、船員の妻達は、歓迎式典の際に乗組員へ渡される原子力潜水艦の形の巨大なケーキを用意した。

原子力潜水艦「オブニンスク」は、造船造船工場「アドミラルティ所」で建造され、国家受領試験を経た後、北方艦隊へ加わった。
同艦は、様々な種類の戦闘訓練及び兵器使用において、再三に渡り海軍で最高の艦となった。

2014年には、運用期間延長の為の修理と近代化が艦船修理工場「ネルパ」で実施された。
それは、現代のミサイル及び魚雷兵装を装備し、高い隠密性が特徴である。

同プロジェクトの原子力潜水艦の意図は、水上艦及び潜水艦との戦闘、更には、沿岸施設へ打撃を与える事にある。


プロジェクト671RTMK「シチューカ」(NATOコード名「ヴィクターIII」)巡洋潜水艦K-138は、1988年12月7日にレニングラード(現サンクトペテルブルク)アドミラルティ造船所で起工され、1989年8月5日に進水しました。
その後、内陸水路経由でセヴェロドヴィンスクへ運ばれ、1989年11月から12月に掛けて工場航行試験及び国家受領試験が実施されました。
1990年5月10日に海軍へ納入され、赤旗北方艦隊・第1潜水艦小艦隊・第33潜水艦師団へ編入されました。

1992年7月3日、原子力大型潜水艦に類別変更され、B-138と改称されました。

2000年5月5日、オブニンスク市と後援協定が締結され、「オブニンスク」と命名されました。

2001年7月、第11潜水艦師団(対空母師団)へ転属しました。

2011年から艦船修理工場「ネルパ」で修理(と寿命延長近代化)が行なわれ、2014年5月16日に進水しました。
[修理中のヴィクターIII級原潜オブニンスクは進水した]
修理は2015年秋に完了しました。

2014年12月8日、バレンツ海から沿岸の射爆場へ有翼ミサイル(カリブル?)を発射しました。
[ロシア海軍のヴィクターIII級原潜オブニンスクはバレンツ海から巡航ミサイルを発射した]

2015年7月26日の「ロシア海軍の日」セヴェロモルスク北方艦隊の観艦式へ参加した事以外、「オブニンスク」の動向が当局から公表される事は有りませんでしたが、今回の記事の通り、「遠距離航海任務」を終え、2015年12月22日にザオゼルスク基地へ帰港しました。


「オブニンスク」「遠距離航海任務」の中身には全く触れられていませんが、おそらくは北極圏のパトロールでしょう。
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現在のロシア連邦海軍における原子力潜水艦の分類は以下の通りです。

重原子力戦略用途水中巡洋艦:プロジェクト941「アクラ」(タイフーン)
原子力戦略用途水中巡洋艦:プロジェクト667BDRM「デリフィン」(デルタIV)、プロジェクト667BDR「カリマール」(デルタIII)、プロジェクト955「ボレイ」
原子力水中巡洋艦:プロジェクト949A「アンテイ」(オスカーII)、プロジェクト885「ヤーセン」
原子力巡洋潜水艦:プロジェクト971「シチューカ-B」(アクラ)
原子力大型潜水艦:プロジェクト945「バラクーダ」(シエラI)、プロジェクト945A「コンドル」(シエラII)、プロジェクト671RTMK「シチューカ」(ヴィクターIII)


弾道ミサイル或いは有翼ミサイルの専用垂直発射機を装備する原潜西側で言う所のSSBNSSGNに該当する艦は「水中巡洋艦」に分類されています。
一方、いわゆる「魚雷攻撃型原潜」は、「原子力大型潜水艦」に分類されています。
今回の記事に登場する「オブニンスク」も含めて。

ただ、プロジェクト971のみは「原子力巡洋潜水艦」と、「原子力水中巡洋艦」「原子力大型潜水艦」の中間的な分類となっております。
上記の分類はソ連邦解体後の1992年に定められたものですが、この当時、971魚雷発射管から発射できる長射程有翼ミサイル「グラナート」(SS-N-21)を搭載し、原子力戦略用途水中巡洋艦を補完する戦力と見なされていた為、他の魚雷攻撃型原潜と区別して「巡洋潜水艦」となりました。
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