ロシア海軍北方艦隊の原子力大型潜水艦ニジニ・ノヴゴロドは長期航海を終えて基地へ戻った
- カテゴリ:ロシアの潜水艦

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年12月31日1時30分配信
【原子力潜水艦「ニジニ・ノヴゴロド」は遠距離航海からヴィジャエヴォ基地へ到着した】
モスクワ、12月31日-ロシア通信社ノーボスチ
原子力潜水艦「ニジニ・ノヴゴロド」は遠距離航海の後に北方艦隊潜水艦部隊基地ヴィジャエヴォへ到着した。
木曜日、北方艦隊広報サービス部長代行アンドレイ・ルジクは発表した。
「新たなる年の前夜に、北方艦隊潜水艦部隊基地ヴィジャエヴォへ多目的原子力潜水艦ニジニ・ノヴゴロドが到着しました。
同艦の乗組員は遠距離航海において、与えられ全ての任務を成功裏に果たしました。
潜水艦の艦長の報告によると、構成材に異常は無く、乗員は健常で、物資補充及び短い休養の後に新たな航海の準備を行ないます」
ルジクは伝えた。
彼は、桟橋で潜水艦乗員は北方艦隊潜水艦部隊司令官、同僚と家族に出迎えられた事を指摘した。
原子力潜水艦「ニジニ・ノヴゴロド」は、造船工場「クラースノエ・ソルモーヴォ」で建造され、北方艦隊へ加入した。
同艦には現代的なミサイル及び魚雷兵装が装備されており、非常に隠密性が高く、大深度での任務の遂行が可能である。
同プロジェクト原子力潜水艦は、主として水上艦グループ及び潜水艦との戦闘の為に意図されている。
プロジェクト945A「コンドル」巡洋潜水艦(NATOコード名「シエラII」)K-534は、1986年2月15日にゴーリキー(現ニジニ・ノヴゴロド)市の造船工場「クラースノエ・ソルモーヴォ」で起工されました。

1989年7月8日に進水し、同年8月10日から9月1日に掛けて内陸水路経由でセヴェロドヴィンスクへ回航されました。

1989年9月から1990年6月までセヴェロドヴィンスクで艤装工事が行なわれました。
1990年6月から白海で航海試験が始まり、同年10月にはミサイル、魚雷の試射、機雷の敷設試験が行なわれました。
1990年10月までに工場航行試験と国家受領試験は完了しました。
1990年12月26日に受領-引渡証書への署名が行なわれ、翌12月27日に海軍旗初掲揚式典が開催され、正式に海軍へ就役しました。
1991年1月11日にザーパドナヤ・リツァ基地(ザオゼルスク)へ到着しましたが、1991年1月から3月に掛けて艦船修理工場「ネルパ」で補修工事が行なわれました。
1991年3月14日、赤旗北方艦隊・第1潜水艦小艦隊・第6潜水艦師団へ編入され、ザーパドナヤ・リツァ基地へ配備されました。

1991年は錬成任務に専念し、同年7月20日、ヴィジャエヴォ基地へ移転しました。

1992年5月から9月に掛けて、大西洋北部で初めての戦闘勤務に就きました。
この間、1992年6月3日付で「原子力大型潜水艦」に類別変更され、これに伴いB-534と改称されました。
1993年4月6日、「ズバトカ」(オオカミ魚)と命名されました。
1994年10月1日、第7潜水艦師団へ転属しました。
1994年10月から12月に掛けて、プロジェクト949A原子力水中巡洋艦K-141「クルスク」の白海での国家受領試験の支援(モニタリング)を行ないました。
1995年3月23日、「ニジニ・ノヴゴロド」と改名されました。
1997年にはノルウェー海及びグリーンランド沖で戦闘勤務に就きました。
2000年12月から2008年4月までスネシュノゴルスクの艦船修理工場「ネルパ」でオーバーホールを行ない、2008年4月末に艦隊へ復帰しました。

[シエラII型原潜「ニジニ・ノヴゴロド」復帰]
2012年10月、シエラII級原潜がアメリカ東海岸沖で発見された事がありましたが、おそらくは「ニジニ・ノヴゴロド」でしょう。
[シエラII級原潜、アメリカ東海岸沖で行動?]
2013年12月初頭には遠距離航海を終えて基地へ戻っています。
[シエラII級原潜ニジニ・ノヴゴロドは任務を終えて帰港した]
2014年1月に再び出港し、モトフスキー湾付近で訓練を行なっていた矢先に遭難した漁船員を救助しました。
[シエラII級原潜ニジニ・ノヴゴロドは遭難した漁船員を救助した]
その後の動向は公表されていませんが、今回の記事の通り、2015年12月30日に「遠距離航海任務」を終えてヴィジャエヴォ基地へ帰港しました。
なお、「ニジニ・ノヴゴロド」の同型艦である「プスコフ」は、2015年12月28日にオーバーホールを完了し、ヴィジャエヴォ基地へ戻っています。
[原子力大型潜水艦プスコフはロシア海軍北方艦隊へ復帰した]
これでロシア海軍のプロジェクト945A原子力大型潜水艦は、ほぼ5年ぶりに2隻揃って作戦可能状態となりました。
現在のロシア連邦海軍における原子力潜水艦の分類は以下の通りです。
重原子力戦略用途水中巡洋艦:プロジェクト941「アクラ」(タイフーン)
原子力戦略用途水中巡洋艦:プロジェクト667BDRM「デリフィン」(デルタIV)、プロジェクト667BDR「カリマール」(デルタIII)、プロジェクト955「ボレイ」
原子力水中巡洋艦:プロジェクト949A「アンテイ」(オスカーII)、プロジェクト885「ヤーセン」
原子力巡洋潜水艦:プロジェクト971「シチューカ-B」(アクラ)
原子力大型潜水艦:プロジェクト945「バラクーダ」(シエラI)、プロジェクト945A「コンドル」(シエラII)、プロジェクト671RTMK「シチューカ」(ヴィクターIII)
弾道ミサイル或いは有翼ミサイルの専用垂直発射機を装備する原潜:西側で言う所のSSBNやSSGNに該当する艦は「水中巡洋艦」に分類されています。
一方、いわゆる「魚雷攻撃型原潜」は、「原子力大型潜水艦」に分類されています。
今回の記事に登場する「ニジニ・ノヴゴロド」も含めて。
ただ、プロジェクト971のみは「原子力巡洋潜水艦」と、「原子力水中巡洋艦」と「原子力大型潜水艦」の中間的な分類となっております。
上記の分類はソ連邦解体後の1992年に定められたものですが、この当時、971は魚雷発射管から発射できる長射程有翼ミサイル「グラナート」(SS-N-21)を搭載し、原子力戦略用途水中巡洋艦を補完する戦力と見なされていた為、他の魚雷攻撃型原潜と区別して「巡洋潜水艦」となりました。
- 関連記事
-
- ロシア海軍北方艦隊の原子力大型潜水艦オブニンスクはバレンツ海で魚雷を発射した
- ロシア海軍は新たなチタン製原潜の建造を計画していないが4隻のシエラI/II級原潜は近代化される
- ロシア海軍北方艦隊の原子力大型潜水艦ニジニ・ノヴゴロドは長期航海を終えて基地へ戻った
- 原子力大型潜水艦プスコフはロシア海軍北方艦隊へ復帰した
- ロシア海軍北方艦隊の原子力大型潜水艦オブニンスクは長期航海を終えて基地へ戻ってきた
スポンサーサイト