ロシア海軍黒海艦隊の艦船は2015年に総計50万海里以上を航行した
- カテゴリ:ロシア黒海艦隊(2012-2019年)

『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア南方軍管区(黒海艦隊)広報サービス発表
2016年1月5日10時30分配信
【2015年に黒海艦隊の艦船は50万海里以上を航行した】
2015年にロシア黒海艦隊の艦船は50万海里以上を航行しており、これは艦隊の個々の艦船連合部隊の計画航海距離平均指標を遥かに上回った。
ほぼ40万カイリは、艦隊の艦船の大洋及び遠海ゾーンにおける任務遂行の航海であり、10万海里以上は、黒海における戦闘訓練活動によるものであった。
航海距離の増加は、地中海のロシア海軍常設連合部隊の一員としての定期活動による黒海艦隊の艦船の遠距離航海数の増加が関係している。
来たる2016年の部隊の訓練計画に沿って、艦及び補助艦隊の船の海上での任務遂行の強化は、昨年の水準を維持する。

[ロシア海軍地中海東部戦闘勤務(2015年)]
[シリア情勢]
ロシア海軍の大型揚陸艦は、2013年初頭から「シリア・エクスプレス」-黒海沿岸からシリアへの輸送任務-に就いていますが、2015年、その回数は大幅に増加しました。
2015年の黒海艦隊所属の大型揚陸艦による「シリア・エクスプレス」の回数は以下の通りであり、合計は前年を上回っています。
「サラトフ」:6回
「ニコライ・フィリチェンコフ」:8回
「ヤマル」:6回
「ノヴォチェルカッスク」:10回
「アゾフ」:8回
「ツェーザリ・クニコフ」:10回
この他、今回の「50万海里」には含まれていないでしょうが、黒海艦隊以外の大型揚陸艦(他の艦隊から輸送任務の為に派遣された)による「シリア・エクスプレス」の回数は以下の通りです。
「アレクサンドル・シャバリン」(バルト艦隊):5回
「アレクサンドル・オトラコフスキー」(北方艦隊):10回
「コロリョーフ」(バルト艦隊):10回
「ミンスク」(バルト艦隊):1回
少なくとも2015年8月初頭辺りまで、「シリア・エクスプレス」が運んでいたのは、シリア向けの軍事物資(兵器、軍用車両、弾薬など)でした。
しかし、8月末頃からは、シリアへ派遣される海軍歩兵部隊なども運ぶようになりました。
2015年9月30日からロシアはシリアでの空爆作戦を開始し、「シリア・エクスプレス」は作戦遂行のための補給物資も輸送しています。
2015年後半からは、大型揚陸艦だけでは無く、ロシア海軍がトルコなどから購入した中古の輸送船数隻もシリアへの輸送任務へ投入されています。
これらの輸送船は、殆どが黒海艦隊所属になっております。
「ドヴィンツィヤ-50」:2回
「ヴォログダ-50」:4回
「クズル-60」:1回
「ヤウザ」(北方艦隊):3回
無論、大型揚陸艦以外の黒海艦隊所属艦も地中海東部へ派遣されています。
2015年には、親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」、警備艦「スメトリーヴイ」、「ラードヌイ」、「プイトリーヴイ」、エアクッションロケット艦「サムーム」、小型ロケット艦「ミラーシュ」、ロケット艇R-109、偵察艦「キルディン」、「リマン」、給油船「イワン・ブブノフ」、曳船「シャフテル」、MB-31、水路調査船「ドヌズラフ」、サルベージ船KIL-158、工作船PM-138、PM-56が地中海東部へ派遣されました。
2015年12月31日まで地中海東部に留まっていたのは、「モスクワ」を含む数隻でした。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワは地中海東部で新年を迎えた]
特に、黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」は、2015年には何度も出航し、長期に渡り海上に滞在しました。
・1月1日-1月18日(太平洋遠征からの帰路)
・5月10日(黒海で演習)
・5月14日-25日(中国海軍との合同演習へ参加)
・6月1日-8月18日(エジプト海軍との合同演習へ参加、大西洋遠征)
・9月17日(黒海で演習)
・9月24日-12月31日(シリア沖に滞在)
2015年には地中海東部で外国海軍との合同演習が2回実施されています。
ロシア-中国海軍合同演習『海洋協同-2015』(2015年5月11日-21日)
[ロシア-中国海軍合同演習「海洋協同-2015」(2015年5月)]
ロシア-エジプト海軍合同演習『友情の橋-2015』(2015年6月10日-13日)
[合同演習『友情の橋-2015』を終えたロシア海軍とエジプト海軍の艦船はアレクサンドリアへ戻った]
この他、地中海以外への遠距離航海も実施されています。
2015年1月1日の時点で、親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」は太平洋遠征から戻る途中であり、オマーンに居ました。
(1月18日に帰港)
[ロケット巡洋艦モスクワ遠距離航海(2014年9月-2015年1月)]
「モスクワ」を含む4隻の黒海艦隊艦船は、2015年6月下旬から8月初頭まで大西洋へ進出し、アンゴラと赤道ギニアを訪問しています。
[ロシア黒海艦隊大西洋遠征(2015年6月-)]

救助船「エプロン」は2015年8月下旬にセヴァストーポリを出航、10月1日にインドのヴィシャーカパトナム港へ到着し、インド海軍潜水艦の訓練の支援任務に就いています。

更に2015年には、黒海艦隊へ加わった新造潜水艦2隻が北方艦隊基地から黒海沿岸へ回航されています。
[ロシア海軍黒海艦隊のプロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクはノヴォロシースクへ到着した]
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーはノヴォロシースク基地へ到着した]
ロシア連邦軍によるシリア作戦は継続されておりますから、2016年にも黒海艦隊艦船は地中海東部へ頻繁に派遣される事になるでしょう。
更に2016年には、黒海艦隊の艦によるシリアへの攻撃も本格的に実行されるでしょう。
(2015年には黒海沿岸へ回航途中の潜水艦が1度実施したのみ)
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