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ロシア海軍太平洋艦隊は通常動力潜水艦を増強する

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『スプートニク』(日本語版)より
2016年1月18日23時8分配信
【日本がロシアの潜水艦増強の背中を押す】

元記事はこちらです。


『Lenta.Ru』より
2016年1月18日14時34分配信
【ロシアは日本に対抗する為に太平洋の海軍を強化する】

ロシア連邦海軍太平洋艦隊の為に建造されるプロジェクト636.3潜水艦シリーズは、ソ連邦解体後の年月で生じた日本に対するロシア潜水艦戦力の立ち遅れを克服する為に意図されている。
『Lenta.Ru』軍当局の情報提供者より伝えられた。

「今後10年間で太平洋艦隊が必要とする現代的なディーゼル潜水艦は10-12隻です」
対談者は説明した。
「原子力潜水艦に関しては、その数は、境界線上水域における日本海軍への優位性と、更にはアメリカ合衆国海軍との対等性を保障します」

日本潜水艦隊には17隻の現代的なディーゼル潜水艦が有る。

1月16日、太平洋艦隊の為に新たなプロジェクト636.3潜水艦を建造する計画は、ラジオ局『ロシアニュースサービス』の生放送で海軍造船管理部長ウラジーミル・トリャピチニコフより発表された。

プロジェクト636.3潜水艦は第3世代に属しており、プロジェクト636及び877艦の発展型である。
それは、世界で最も静粛な潜水艦の1つと見られている。
水中速力は20ノット、限界潜航深度は300メートル、水中排水量は約3000トンである。
潜水艦の乗組員は52名で構成され、45日間に渡る自立航行が可能である。

以前、このタイプの潜水艦6隻が黒海艦隊の為に発注され、この内の4隻は既に完成している。
2015年12月8日、これらの潜水艦の1隻であるB-237「ロストフ・ナ・ドヌー」は、地中海への滞在中に長距離有翼ミサイル3M14「カリブル」を用いてシリアのテロリスト陣地へ打撃を与えた。

現在、太平洋艦隊には8隻のプロジェクト877潜水艦が含まれており、第19潜水艦旅団へ配備され、ウラジオストク小ウリス湾に駐留している。
この内の5隻の潜水艦(B-190「クラスノカメンスク」、B-260「チタ」、B-345「モゴーチャ」、B-464「ウスチ・カムチャツク」、B-494「ウスチ・ボリシェレツク」)が活動状態に在り、2隻(B-187「コムソモリスク・ナ・アムーレ」、B-394「ヌルラト」)は修理中、もう1隻-B-445「奇蹟者ニコライ」は予備役であり、入手可能な情報によると、退役を準備している。
一部の潜水艦は、就役期間を2025年-2030年まで延長する為の近代化が実施されるだろう。

太平洋艦隊潜水艦部隊の基礎は、カムチャツカ半島ヴィリュチンスクに駐留する第10潜水艦師団及び第25潜水艦師団原子力潜水艦である。
第10潜水艦師団には、5隻の原子力水中巡洋艦-有翼ミサイル搭載のプロジェクト949A「アンテイ」と、同数の多目的原子力潜水艦プロジェクト971「シチューカ-B」が含まれており、これらは1980年代末から1990年代に建造された。
両方のプロジェクトの潜水艦の多くは修理中である。

第25潜水艦師団には5隻の戦略ロケット艦-3隻のプロジェクト667BDR「カリマール」と2隻の最新水中巡洋艦プロジェクト955が含まれている。
2020年末までに全てのプロジェクト667BDR巡洋艦-1980年代初頭に建造された-は、新たな潜水艦で代替されなければならない。


記事中で触れられていますが、1月16日にロシア海軍造船管理部長ウラジーミル・トリャピチニコフ氏は、太平洋艦隊向けに6隻のプロジェクト06363潜水艦の建造が計画されている事を明らかにしました。
[6隻のプロジェクト06363(改キロ級)潜水艦がロシア海軍太平洋艦隊の為に建造される]

なお、『スプートニク』の記事では、トリャピチニコフ氏が「日本との境界線の水域で海上自衛隊を凌駕するため」に06363潜水艦を建造すると発言したかのように書かれていますが、同氏は、そのような発言をしておりません。
これは「軍当局の(匿名の)情報提供者」の発言です。


現在、太平洋艦隊には8隻のプロジェクト877潜水艦が在籍しており、この内の5隻(B-190、B-345、B-464、B-494、B-187)は後期建造型です。
(後期建造型の輸出型がプロジェクト636であり、その最終発展型が06363)

ロシア海軍の現用のプロジェクト877潜水艦の一部は寿命を延長するなどの近代化改装を行なっており、太平洋艦隊ではB-187がこれに該当します。
しかし、太平洋艦隊の8隻が全て近代化改装される可能性は無いに等しく(現に1隻は事実上退役)、多くても半分(4隻)程度でしょう。

そこで、新たに6隻のプロジェクト06363の調達が決定されたようです。
(元々プロジェクト06363黒海艦隊向けの6隻で調達は終了する計画だった)

現用のプロジェクト877潜水艦4隻を近代化改装して、これに新造のプロジェクト06363が6隻が加われば「現代的なディーゼル潜水艦」が10隻揃うという事です。


太平洋艦隊原子力潜水艦は、現用のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦3隻、プロジェクト971原子力巡洋潜水艦3隻の大規模な近代化改装が予定されており、既に一部の艦は改装工事中です。
[ロシア海軍の約10隻のアクラ級原潜とオスカーII級原潜が近代化改装される]
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力水中巡洋艦イルクーツクは汎用ミサイル発射機を装備する]
[ロシア海軍太平洋艦隊の原潜ブラーツクとサマ―ラはセヴェロドヴィンスクの艦船修理工場へ到着した]

未だ具体的な予定は明らかにされていませんが、新世代多用途原潜(原子力水中巡洋艦)プロジェクト885「ヤーセン」も何隻かは太平洋艦隊へ配備されるでしょう。
[新世代多用途原潜ヤーセン級]

この他、新世代の戦略(弾道ミサイル)原子力潜水艦-プロジェクト955「ボレイ」原子力戦略用途水中巡洋艦は、既に1隻がカムチャツカ半島に到着しており、今年にはもう1隻が到着します。
[ロシア海軍新世代戦略原潜アレクサンドル・ネフスキーはカムチャツカ半島の原潜基地へ到着した]
[ロシア海軍最新鋭戦略原潜ウラジーミル・モノマーフのカムチャツカ回航は2016年になる]

昨年12月に起工された「インペラ―トル・アレクサンドルIII」(皇帝アレクサンドル3世)太平洋艦隊へ配備されます。
[太平洋艦隊の為のロシア海軍新世代戦略原潜ボレイ級7番艦インペラ―トル・アレクサンドルIII(皇帝アレクサンドル3世)は起工された]

「ボレイ」級の配備に伴い、3隻のプロジェクト667BDRは現役を去る事になります。
ただし、最近にオーバーホールされた「リャザン」は暫くの間は現役に留まるでしょう。
[ロシア海軍新世代戦略原潜ボレイ級は太平洋艦隊のデルタIII級を代替する]
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