fc2ブログ

ロシア国防省はロシア海軍第4世代通常動力潜水艦ラーダ級の調達中止を指示していない

16-0124a.jpg
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2016年1月22日17時50分配信
【(ロシア)国防省は「統合造船業営団」へ潜水艦「ラーダ」プロジェクトの停止を指示していない】
モスクワ、1月22日-ロシア通信社ノーボスチ

ロシア連邦国防省「統合造船業営団」プロジェクト677「ラーダ」ディーゼルエレクトリック潜水艦シリーズの建造の継続或いは中止を指示していない。
ロシア通信社ノーボスチは同営団の広報秘書官ローマン・チェルニゴフツェフより伝えられた。

以前、ロシア海軍総司令部の高位の代理人は、潜水艦プロジェクト677「ラーダ」のこれ以上の建造は行なわず、全ての資金は新世代のプロジェクト「カリーナ」へ振り向けられるとロシア通信社ノーボスチへ伝えた。
一方、ロシア連邦海軍公式代理人イーゴリ・ディガロ1等海佐は、同プロジェクトの更なる運命についての決定は未だ下されていないと表明した。
この間、最後の(第3の)プロジェクト677潜水艦-「ヴェリーキエ・ルーキ」は、10年前の2006年に「アドミラルティ造船所」で起工された。

「2隻のプロジェクト677ラーダ潜水艦の建造はスケジュールに沿って継続されております。
この潜水艦シリーズを継続あるいは中止するという如何なる指示も統合造船業営団は国防省から受けておりません」
チェルニゴフツェフ
は話した。

潜水艦プロジェクト677のトップ「サンクトペテルブルク」は1997年に起工され、2010年から現在まで試験運用中である。
前海軍総司令官ウラジーミル・ヴィソツキー大将は、試験中に動力ユニット及び音響複合体の問題点が発覚したが故に、このプロジェクトの潜水艦の製造を停止させた。
プロジェクト中央設計局「ルビーン」により完成され、現総司令官ヴィクトール・チルコフ大将は建造再開を発表した。
現在までに「アドミラルティ造船所」は2隻のプロジェクト677「ラーダ」潜水艦を建造している-「クロンシュタット」「サンクトペテルブルク」

以前、海軍総司令部及び統合造船業営団管理部の代表は、ロシア連邦新世代ディーゼルエレクトリック潜水艦-プロジェクト「カリーナ」の作成の為の作業を開始したと発表した。
その戦術-技術的特性は、前任のプロジェクト636「ワルシャワンカ」及びプロジェクト677「ラーダ」を遥かに超える。


[新世代潜水艦ラーダ(アムール)級]
[新世代潜水艦ラーダ(アムール)級(旧ブログ)]

ロシア海軍第4世代通常動力潜水艦プロジェクト677「ラーダ」1番艦B-585「サンクトペテルブルク」は1997年12月26日に起工、2004年10月28日に進水、2010年4月22日に就役しました。

しかし、「サンクトペテルブルク」就役前の洋上試験中に様々な問題点が発覚した為、2005年7月28日に起工された2番艦と2006年11月10日に起工された3番艦の建造工事は一旦凍結されました。


2012年2月初頭、当時のロシア海軍総司令官ウラジーミル・ヴィソツキー大将は、『ロシア通信社ノーボスチ』のインタビューに対し、「ラーダ」級潜水艦「サンクトペテルブルク」に対する不満を述べています。

『ロシア通信社ノーボスチ』より。
2012年2月9日配信
【ウラジーミル・ヴィソツキー提督へのインタビュー】

「ラーダ」級に関する箇所を抜粋。

インタビュアー:多くのメディアの報道で、プロジェクト677「ラーダ」ディーゼルエレクトリック潜水艦の将来に関する憶測が流れていますが・・・

ヴィソツキー:
「ラーダ」?この艦については、何か申し上げる事が有りますかね?
潜水艦「サンクトペテルブルク」の試験運用では、技術的特性が示されていません。
その理由は、非常に簡単です。
要するに、この艦の主要動力装置には、欠陥が有るのですよ。

僕達は、第二次世界大戦時の動力を有するような武器を新たに必要であるなどという頭脳は持ち合わせておりません。
何故かって?誰がそれを必要とするのでしょうか?
そして、それは同様の動作特性を有しています。
現在の形での「ラーダ」を、ロシア海軍は必要としておりません。

インタビュアー:建造中の同プロジェクト潜水艦「クロンシュタット」と「セヴァストーポリ」の今後はどうなりましょうか?

ヴィソツキー:これらの艦は、他の動力装置になると思います・・・



その後、「ラーダ」級は改設計され、2013年2月には2番艦3番艦の建造再開が決定されました。
[ロシア国防省はラーダ級潜水艦の建造再開を正式に決定した]

2番艦「クロンシュタット」は2013年7月に建造契約が再締結され、工事が再開されています。
[ラーダ級潜水艦クロンシュタットは再建造される]

2006年に起工されていた3番艦は、2015年3月19日に「ヴェリーキエ・ルーキ」の名で改めて起工されました。

[ロシア海軍の為のラーダ級潜水艦3番艦セヴァストーポリ改めヴェリーキエ・ルーキは再起工された]

これらの同型艦は、1番艦「サンクトペテルブルク」の運用実績を踏まえて大幅に改良されています。
[ロシア海軍の新世代通常動力潜水艦ラーダ級の2番艦以降は大幅に改良される]

一方、1番艦「サンクトペテルブルク」は就役後、暫くはバルト艦隊に所属してバルト海に滞在していましたが、深海での試験(バルト海では実施できない)などを実施する為、北方艦隊の基地へ回航される事になり、2013年10月17日に潜水艦基地ポリャールヌイへ到着しました。
[ラーダ級潜水艦サンクト-ペテルブルクは北方艦隊基地に到着した]

以後、「サンクトペテルブルク」北方艦隊に留まり、試験運用を続けています。
[ロシア海軍第4世代潜水艦サンクト-ペテルブルクは北方艦隊へ配備される]
[ロシア海軍のラーダ級潜水艦サンクトペテルブルクは2016年も試験運用を継続する]

「ラーダ」級2番艦「クロンシュタット」と3番艦「ヴェリーキエ・ルーキ」ロシア海軍への引き渡しは、2019年に延期される事になるようです。
(以前には「クロンシュタット」は2017年、「ヴェリーキエ・ルーキ」は2018年に引き渡される予定だった)
[ラーダ級潜水艦クロンシュタットとヴェリーキエ・ルーキのロシア海軍への引き渡しは2019年に延期される]

2016年1月19日、「ロシア海軍総司令部の(匿名の)高位の代理人」は、「ラーダ」級の建造が3隻で打ち切られると発言しました。
[ロシア海軍は第4世代通常動力潜水艦ラーダ級の調達を3隻で打ち切る]

その2日後、ロシア海軍広報部長イーゴリ・ディガロ氏は、「ラーダ」級の建造打ち切りを否定しました。
[ロシア海軍は第4世代通常動力潜水艦ラーダ級の建造を中止するつもりは無い]

そして今回、ロシア造船業界の総元締である「統合造船業営団」は、ロシア国防省からは「ラーダ」級の建造打ち切りの指示を受けていない事を明らかにしました。

ただ、建造継続(4番艦以降の調達)の指示も受けておらず、「ラーダ」級の4番艦以降の具体的な建造予定は未定のようですが。

以前には2015年末までに「ラーダ」級4番艦を発注し、建造契約を締結する予定だったのですが、現在の所は棚上げされているようです。
[ロシア海軍の為の4隻目のラーダ級潜水艦建造契約の準備が進められている]
関連記事
スポンサーサイト