ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される
- カテゴリ:ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル級

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2016年2月29日9時31分配信
【「ミストラル」の電子機器はロシア海軍へ引き渡される】
モスクワ、2月29日-ロシア通信社ノーボスチ
「ミストラル」型揚陸ヘリコプター母艦に配置されていたロシア製電子機器は完全にフランス領から撤去され、ロシア海軍へ引き渡される。
月曜日、『統合機器製造営団』(『ロシアン・テクノロジーズ』へ加わっている)の代理人は記者団へ伝えた。
「それ(機器)は完全にフランスから撤去され、船員の操作訓練の為、ロシア海軍へ引き渡されます」
営団の代理人は伝えた。
2隻の「ミストラル」型ヘリコプター空母の供給契約は2011年にフランスのDCNS/STXとロソボロネクスポルト(ロシア兵器輸出公社)との間で締結された。
フランスは、1番艦「ウラジオストク」を昨年11月に引き渡さなければならなかったが、ウクライナ情勢及びロシアに対する制裁が導入されたが故に実現には至らなかった。
(2015年)8月初頭、モスクワとパリは、「ミストラル」型ドック艦2隻の建造及び供給契約の終了を決定した。
フランスは、「ミストラル」に設置されていたロシア製機器の返却後にヘリコプター空母を処置できるようになる。
以前、フランス大統領フランソワ・オランドは、彼のエジプトの同僚であるアブドルファッターフ・アッ=シーシーと、ロシアの為の「ミストラル」型ヘリコプター空母2隻の売却条件で合意に達したと報じられた。
その結果、パリはエジプトへ2隻の艦を売却できるようになり、契約は10月10日に署名された。
エジプトへの艦の到着は2016年夏になるだろう。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2016年2月29日9時35分配信
【「ミストラル」の為の機器に関するカイロとの交渉は進展している】
モスクワ、2月29日-ロシア通信社ノーボスチ
エジプト海軍の特別な必要条件へ対応する為の新たな機器一式の製造計画に基づく「ミストラル」型揚陸ヘリコプター母艦の為の電子機器の製造と供給の問題に関するロシア連邦とエジプトの交渉は大幅な進展を見せている。
月曜日、『統合機器製造営団』(『ロシアン・テクノロジーズ』へ加わっている)の代理人は記者団へ伝えた。
「ヘリコプター空母ミストラルの為の電子機器供給に関するエジプトとの交渉は続けられています。
既にミストラルから取り外された機器は、ロシア海軍が使用する為に意図されており、エジプトへ引き渡されない事は明確に理解しております。
今は、ロシアが、エジプト・アラブ共和国の為、別途に特別な機器一式を製造する可能性について議論しております」
営団の代理人は伝えた。
彼はロシア製機器が「完全にフランスから撤去され、船員の操作訓練の為、ロシア海軍へ引き渡される」事を指摘した。
「エジプトにおける他の必要条件は、この国の軍の仕様に対応した異なる特性を有する他の機器のセットを必要とします」
『統合機器製造営団』の代理人は話した。
彼によると「我々の製造機構は、この発注を期限内に履行する事は明確に理解しております」
「交渉の成り行きに関しては未だお話しできませんが、エジプト側は、大いなる関心を寄せております」
営団の代理人は指摘した。
2隻の「ミストラル」型ヘリコプター空母の供給契約は2011年にフランスのDCNS/STXとロソボロネクスポルト(ロシア兵器輸出公社)との間で締結された。
フランスは、1番艦「ウラジオストク」を昨年11月に引き渡さなければならなかったが、ウクライナ情勢及びロシアに対する制裁が導入されたが故に実現には至らなかった。
(2015年)8月初頭、モスクワとパリは、「ミストラル」型ドック艦2隻の建造及び供給契約の終了を決定した。
その後、メディアは、フランス大統領フランソワ・オランドが、彼のエジプトの同僚であるアブドルファッターフ・アッ=シーシーと、ロシアの為の「ミストラル」型ヘリコプター空母2隻の売却条件で合意に達したと報じた。
その結果、パリはエジプトへ2隻の艦を売却できるようになり、契約は10月10日に署名された。
エジプトへの艦の到着は2016年夏になるだろう。
『統合機器製造営団』は2014年に設立されたロシア国営法人であり、『ロシアン・テクノロジーズ』の一員である。
ロシア連邦軍及び他の特殊組織の為の通信装置、通信システム、自動管理システム、電子戦闘複合体及びロボット化複合体、更には民間及び(軍民)兼用の製品などといった競争力のある製品を高度技術で組織的に製造する事を目的とする。
[フランスのミストラル級引き渡し保留問題]
[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
ロシアがフランスから「ミストラル」級指揮・戦力投射艦を購入するかもしれないと最初に報じられたのは、2009年8月初頭でした。
[ロシア海軍、フランス艦を購入?]
それから間もなく、ロシア連邦軍参謀本部総長、ロシア連邦海軍総司令官、ロシア連邦国防相代理が相次いで「ミストラル」級購入の為の交渉が進行中である事を公式に認めました。
[ロシアは、今年末までに「ミストラル」級購入で合意できる]
[ロシアは、競争によりヘリ揚陸艦を購入する]
[ロシア国防省は、「ミストラル」型揚陸艦購入交渉が行なわれている事を認める]
最初に話が出て来てから約2年後の2011年6月、フランスのDCNS社とロシアの「ロソボロネクスポルト」(ロシア兵器輸出公社)は、ロシア海軍向けの「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の売買契約を締結しました。

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2011年6月17日17時11分配信
【ロシアとフランスは、ヘリコプター空母「ミストラル」に関する契約を締結する】
ロシア海軍向け「ミストラル」級の1番艦「ウラジオストク」は2014年11月に引き渡される予定でしたが、2014年2月以降のウクライナ情勢の悪化により、アメリカを初めとする西側諸国はフランスに対し、ロシアへの「ミストラル」級の引き渡しの中止を求め、当初はロシアへ艦を引き渡す意向を表明していたフランス大統領も、2014年11月末に「ウラジオストク」の引き渡しの延期を決定しました。
[フランスはロシアへのミストラル級ヘリ空母ウラジオストクの引き渡しを一時停止する]
[ロシアはミストラル級ヘリ空母購入の為にフランスへ約10億ユーロを支払っている]
2番艦「セヴァストーポリ」も2014年11月に進水し、2015年3月から洋上試験を開始しています。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリ空母セヴァストーポリは2回目の洋上試験を行なう]
オランド大統領はは、再三に渡り、「ミストラル」級引き渡しの為の条件として、ウクライナ情勢の鎮静化(停戦合意の履行)を挙げていました。
[ロシアへのミストラル級ヘリ空母引き渡しの為の条件は未だ成立していないとフランス大統領は言った]
このようなフランス側の態度に対し、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、2015年4月16日、「ロシアはミストラル級の供給の『挫折』に関し、フランスへ違約金を請求するつもりは無いが、ロシアが負担した費用は返してもらわなくてはならない」と公言しました。
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に関してフランスへ違約金を求めないが支払った代金の返却を望む]
4月19日、オランド氏は、4月24日にアルメニアでプーチン氏と会い、「ミストラル」級に関する問題で話し合うと確約する事になりました。
[フランス大統領はミストラル級ヘリ空母の問題についてロシア大統領と話し合う]
4月22日、オランド氏は、ウクライナ大統領との共同記者会見において、改めてロシアへの「ミストラル」級引き渡しの為の条件は形成されておらず、引き渡しは不可能であると表明しました。
更には、ロシアがフランスへ払った「ミストラル」級の代金の返還についても言及しました。
[フランスはロシアが支払ったミストラル級ヘリ空母の代金を返還する用意がある]
そして4月24日、アルメニアのエレバンでプーチン氏とオランド氏の会談が開かれました。
[フランス大統領とロシア大統領はアルメニアにおける首脳会談でミストラル級ヘリ空母の問題についても話し合った]
この会談では「ミストラル」級の問題についても話し合われたようですが、会談後、フランス大統領は「ロシアへのミストラル級の引き渡しは決まっていない」と述べ、一方、ロシア大統領報道官は「この件に関しては何の問題も無い」とだけ述べました。
4月27日、ロシア大統領報道官ドミトリー・ペスコフ氏は、「ミストラル級ヘリ空母か、或いは前払い金(ロシアがフランスへ支払い済みの代金)をロシアへ戻す事で合意している」と述べました。
[フランスはロシアへミストラル級ヘリ空母を引き渡すか、或いは金を返す]
その後、両国の代表団は何度か交渉を行ないましたが、最終的には、「ミストラル」級をロシアへ引き渡すのではなく、ロシアが以前に支払った「ミストラル」級の代金を返還する方向で合意する事になりました。
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母の代金返還で合意する]
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に関する合意原案を用意している]
7月下旬からは詳細の部分に関する協議へ入り、先ず初めに、「ミストラル」級ヘリ空母へ設置されたロシア製機器の返却の問題について議論されました。
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に設置されたロシア製通信システムの返却について話し合った]
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に設置された自国製機器を取り外す]
2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンとフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]
契約終了によりフランスがロシアへ支払う事になる補償金額は、フランス国防相ジャン・イヴ・ル・ドリアン氏によると、「12億ユーロよりは少ない」との事です。
一方、ロシア政府側は、フランスから受け取る金額については明言を避けました。
その後、フランス議会から正確な金額~9億4975万4849ユーロが公表されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦そのものは取得できませんでしたが、ロシアは支払い済みの代金(プラスアルファ)を回収し、「ミストラル」級に設置されたロシア製機器も回収し、更には、「ミストラル」級の契約(後ろ半分はロシアで建造した)により建造技術を取得しました。
[ロシアはフランスのミストラル級ヘリ空母購入契約を通じて大規模ブロック組立技術を取得した]
9月20日、「ミストラル」級へ設置済みのロシア製機器を取り外す為、ロシア人専門家グループがフランスへ向かいました。
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦のロシア製機器を取り外す為のロシア人専門家グループはフランスへ向かった]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦のロシア製機器は2015年11月末までに取り外され、ロシアへ発送される]
その第1陣として、10月初頭には「戦闘情報管理システム」と「ミサイル・砲兵装管制システム」が取り外され、ロシアへ発送されました。
[ロシア海軍向けだったミストラル級ヘリコプター空母から戦闘情報管理システムが取り外され、ロシアへ発送された]
その他の機器(衛星通信システムなど)の取り外しも進められ、11月下旬に全て完了しました。
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦のロシア製機器の取り外しは進められている]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦のロシア製機器の取り外しは完了した]
2015年12月中旬、取り外された機器はロシアのヴィボルグへ到着しました。
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
「ミストラル」級から取り外されたロシア製機器は、具体的には以下の通りです。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年9月8日17時54分配信
【「ミストラル」の欠片:どのようなロシア製機器がフランスから返されるのか】
電波位置特定識別装置67R
戦闘情報管理システム「シグマ-E」
多機能光学電子テレヴィジョン複合体MTK-201ME
衛星通信ステーションR-793-M「プリンツェプ-M」
衛星通信ステーションR-794-1「ツェンタヴル-NM1」
16チャンネル電波受信装置R-693
電波受信装置R-774SD1.1
その後、取り外された機器は、船員の操作訓練に使う為、ロシア海軍へ引き渡される事になりました。
つまり、ロシア海軍の訓練センターで艦船乗組員の研修や訓練の為に使われるという事です。
[ロシア海軍訓練センターは新世代艦の乗組員の訓練を行なっている]
なお、ロシア海軍は「ミストラル」級に代わる汎用揚陸艦の建造を計画しており、現在の所、2018年からの建造開始が予定されています。
[ロシア将来汎用揚陸艦]
既に報じられているように、ロシア海軍向けだった2隻の「ミストラル」級は、エジプトへ売却されます。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年9月23日15時15分配信
【ロシアのミストラルはエジプトが購入する】
エジプト大統領アブドルファッターフ・アッ=シーシーとフランス大統領フランソワ・オランドは、ロシア海軍向けだった「ミストラル」級2隻の購入で合意しました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年9月24日8時48分配信
【フランスはミストラルの為にロシアへ支払ったものと同じ金額を受け取る】
2隻の「ミストラル」級の購入価格は9億5000万ユーロになるとの事です。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年10月10日15時45分配信
【エジプトは2隻のミストラルをフランスから購入する協定書へ署名した】
10月10日午後、エジプト大統領アブドルファッターフ・アッ=シーシーとフランス首相マニュエル・ヴァルスは、ロシア海軍向けだった2隻の「ミストラル」級ヘリ空母を購入する協定書へ署名しました。

エジプトがロシア海軍向けだった「ミストラル」級ヘリ空母を買って何に使うのかという疑問を持っている方が多いようですが、以前の報道によると、この話の背後にはサウジアラビアが居り、同国が資金援助してエジプトに「ミストラル」級ヘリ空母を購入・保有させ、いざという時(例えばイエメンのような事態)には、アラブ諸国連合の軍事介入や軍事作戦の後方支援などに使いたいという事のようです。
2015年12月15日には、サウジアラビアが中心となり、34の国と地域が参加する「イスラム軍事連合」が結成されました。
『AFP通信』より
2015年12月15日19時19分配信
【「対テロ」でイスラム34か国軍事連合、サウジ主導で結成】
「イスラム軍事連合」には、新たに2隻の「ミストラル」級ヘリ空母を購入するエジプトも参加しています。
ロシア海軍向けだった「ミストラル」級ヘリ空母2隻は、「イスラム軍事連合」艦隊の中核戦力となる事が期待されているようです。
2015年12月末、ロシアはエジプトへ46機のKa-52攻撃ヘリコプターを売却する契約を締結しました。
『タス通信』より
2015年12月30日17時2分配信
【ロシアン・ヘリコプターズはエジプトとの46機のヘリコプターKa-52の契約について確認した】
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年12月30日18時27分配信
【ロシアはエジプトへ46機のヘリコプターKa-52K「アリガートル」を供給する】
エジプトへ売却する46機すべてが艦載型のKa-52K(「ミストラル」級の艦載機)になるという情報も有りますが、おそらくは、以前にロシア海軍向けとして発注されたKa-52Kがエジプトへ振り向けられる事になるようです。
[ロシア海軍の艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランは最新鋭の目標探知システムを装備する]
そして今回、「ミストラル」級2隻から取り外されたロシア製機器とは別に、エジプトが購入する事になった「ミストラル」級の為の各種機器をロシア企業が新たに製造し、エジプトへ売却する為の交渉が進められている事が明らかにされました。
ロシア海軍向けとエジプト海軍向けでは、運用条件や環境などが異なるので、ロシア海軍向けの各種機器を、そのままエジプト海軍向けとして使う訳には行かないという事です。
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