ロシア海軍黒海艦隊の掃海艦はシリア沖で活動する
- カテゴリ:地中海情勢(2015-2016年)

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2016年2月29日16時25分配信
【情報筋:黒海艦隊の艦はシリア・アラブ共和国沿岸で掃海を行なう】
モスクワ、2月29日-ロシア通信社ノーボスチ
黒海艦隊の艦「コヴロヴェツ」は、テロリスト集団「イスラム国」(ロシア連邦では非合法)の戦闘員が海洋機雷を保有している可能性があるという情報に関連し、シリア沿岸で掃海を行なう。
このような行為は標準のものとなる。
ロシア通信社ノーボスチは月曜日に軍事・外交筋より伝えられた。
2月には地中海のロシア海軍艦船作戦グループへ、有翼ミサイル「カリブル」を有する小型ロケット艦「ゼリョヌイ・ドル」と、完全な掃海兵装一式を有する海洋掃海艦「コヴロヴェツ」が補充された。
これらの艦はセヴァストーポリから出航したと以前に黒海艦隊の公式代理人ヴャチェスラフ・トルハチェフ1等海佐は発表した。
「ISIL(イラク・レバントのイスラム国)の戦闘員が兵器庫を占領し、海底機雷を手に入れたという情報が有ります。
ISILが、それを海上へ運ぶ事無く海軍基地への航行を妨害するというのは疑わしいでしょうが、にも関わらず、シリア沿岸での定期的な掃海は計画されています。
そのような情報が確認されない場合でも、掃海は艦と乗組員の安全を保障する為の標準(的な行為)となります」
対談者は指摘した。
彼は、海洋掃海艦には、シリア沖を含め、機雷源から地中海のロシア艦グループの安全を保障する任務が課せられている事を強調した。
2016年2月13日、ロシア黒海艦隊のプロジェクト266M海洋掃海艦「コヴロヴェツ」(1974年11月21日就役)は、プロジェクト21631小型ロケット艦「ゼリョヌイ・ドル」(2015年12月12日就役)と共にセヴァストーポリを出航しました。
[巡航ミサイル"カリブル"を装備するロシア海軍黒海艦隊の最新鋭小型ロケット艦ゼリョヌイ・ドルは掃海艦と共に地中海へ向かった]
2月14日にボスポラス海峡(イスタンブル)とダータネルス海峡を通過しました。

2月15日に2隻とも地中海へ入りました。
[ロシア海軍黒海艦隊の小型ロケット艦ゼリョヌイ・ドルと海洋掃海艦コヴロヴェツは地中海へ入った]
2月17日までにはシリア沖へ到着しました。

プロジェクト266M「アクヴァマリーン-M」海洋掃海艦「コヴロヴェツ」は、レニングラード(現サンクトペテルブルク)の中部ネヴァ川造船工場で建造され、1974年11月21日に就役し、黒海艦隊へ編入されました。
就役から41年のオールドタイマーです。
就役後は大西洋(西アフリカ沖)の漁場でソ連漁船の警護任務に就き、1980年代のイラン・イラク戦争時にはペルシャ湾へ派遣されました。
1987年にはペルシャ湾で27隻のソ連商船を護衛し、1988年には32隻の商船(タンカー、貨物船)を護衛しました。
その後は黒海から出る事は有りませんでしたが、今回、28年ぶりに黒海を出る事になりました。
ロシア海軍は2012年頃から地中海東部へ複数の艦船を常時展開させるようになり、2013年6月1日には地中海作戦連合部隊が創設されていますが、これまでに掃海艦が地中海東部(シリア沖)へ派遣された事は有りませんでした。
今回の記事に登場する「軍事・外交筋」によると、シリアのテロ組織ISIL(イラク・レバントのイスラム国)が機雷を入手したという未確認情報により、念には念を入れて掃海艦を派遣する事にしたようです。
それで、第1陣として、過去にペルシャ湾まで行った「歴戦のベテラン艦」がシリア沖へ行く事になりました。

無論、現状でISILがシリア沖に機雷を敷設する可能性は無いに等しいのですが(そもそも、ISILが本当に機雷を入手しているのかどうかも不明)、ISIL以外の勢力(国)がシリア沖へ密かに機雷をばら撒いてロシア海軍の活動を妨害する可能性に備えているのかもしれません。

なお、既に報じられているように、シリアでは2016年2月27日から停戦が発効しています。
ただし、ISILやヌスラ戦線は参加していませんが・・・
『時事ドットコム』より
2016年2月27日9時1分配信
【シリア停戦発効=「テロ組織」対象外-ヌスラ戦線、戦闘継続呼び掛け】
『産経ニュース』より
2016年2月28日16時58分配信
【イスラム国(IS)がクルド攻撃 シリア停戦を悪用か】
『スプートニク』(日本語版)より
2016年2月28日18時19分配信
【トルコ、シリア停戦違反を非難される】
『AFP通信』より
2016年2月29日8時43分配信
【シリア停戦2日目、「違反行為」で非難の応酬】
『FNN』より
2016年2月29日23時47分配信
【シリア一時停戦発効3日目 FNN取材班が国境付近の現状を取材】
- 関連記事
スポンサーサイト