近代化された原子力巡洋潜水艦クズバスは2016年3月19日にロシア海軍太平洋艦隊へ引き渡される

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2016年3月17日5時22分配信
【修復された原子力潜水艦「クズバス」は3月19日に太平洋艦隊へ引き渡される】
ウラジオストク、3月17日-ロシア通信社ノーボスチ
沿海地方の極東工場「ズヴェズダー」で修理と部分的な近代化が実施されたプロジェクト971原子力潜水艦「クズバス」は、3月19日にロシア太平洋艦隊へ復帰する。
「3月19日のロシア潜水艦乗員の日に、極東工場ズヴェズダー(『極東造船・修理センター』周辺に含まれる)は、修復した原子力潜水艦クズバスを大平洋艦隊へ御引き渡しいたします」
『極東造船・修理センター』の声明では、こう述べられた。
式典には、『ロスネフチ』社の幹部、沿海地方行政当局、沿海地方立法議会、極東造船・修理センター、極東工場「ズヴェズダー」、太平洋艦隊司令部が出席する。
以前、潜水艦は居住保障システム、電波無線機器、水中音響機器を更新したと報じられた。
工場航行試験の最後の段階が完了した後、原子力潜水艦はカムチャツカの常時駐屯地へ到着する。
ロシアのプロジェクト971U「シチューカ-B」原子力潜水艦K-419「クズバス」は、1991年7月28日にコムソモリスク・ナ・アムーレのレーニン共産党青年団記念造船工場で起工された。
1992年に進水し、1993年2月に太平洋艦隊へ加入した。
太平洋及び北氷洋で戦闘当直に就いた。
極東工場「ズヴェズダー」において原子力潜水艦は技術的準備状態の回復と部分的な近代化が実施された。
プロジェクト971原子力潜水艦は強力な魚雷-ミサイル複合体で武装しており、潜水艦及び水上艦の撃破、更には地上施設への攻撃が可能である。
プロジェクト971「シチューカ-B」(NATOコード名「アクラ」)原子力大型潜水艦K-419は、コムソモリスク・ナ・アムーレ市のレーニン共産党青年団記念造船工場(現アムール造船工場)で1991年7月28日に起工されました。
建造中にソ連邦は解体されましたが、1992年5月18日に進水し、1992年12月31日にロシア海軍へ納入されました。
この間、1992年4月28日には「原子力巡洋潜水艦」へ類別変更されました。
翌1993年1月30日に海軍旗初掲揚式典を開催し、正式にロシア海軍へ就役しました。
1993年2月5日に太平洋艦隊の第2潜水艦小艦隊・第45潜水艦師団へ編入され、7月10日にカムチャツカ半島のヴィリュチンスク基地へ到着しました。
1993年4月13日には「モルシュ」Моржと命名されました。
1995年10月14日から12月15日まで戦闘勤務を実施。
1996年5月5日から7月26日まで戦闘勤務を実施。
1997年7月6日から8月18日まで戦闘勤務を実施。
1998年1月29日にロシア海軍総司令官の指示で「クズバス」Кузбассと改名されました。
因みに、「クズバス」Кузбассは「クズネツク炭田」Кузнецкий угольный бассейн の略称です。
1998年5月1日、第10潜水艦師団へ転属しました。
2001年には小規模な修理を行ないました。
2007年8月には原子力巡洋潜水艦「ネルパ」(現在はインド海軍へリース)の試験の支援へ参加しました。
2007年9月から12月までボリショイ・カーメニのドックで修理を実施。
2008年7月末にはウラジオストク沖でロシア海軍記念日の観艦式に参加しました。

2009年にはボリショイ・カーメニの艦船修理工場「ズヴェズダー」へ回航され、核燃料交換などを含む大規模なオーバーホールと、部分的な近代化改装が始まりました。

オーバーホール(近代化改装)は2015年秋にようやく完了しました。
2015年12月18日にはロシア連邦首相ドミトリー・メドベージェフ氏(前ロシア連邦大統領)が「クズバス」を視察しました。
当初の計画では、「クズバス」は2015年12月末までに太平洋艦隊へ復帰する筈だったのですが、数ヶ月間延びて2016年3月下旬になりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力巡洋潜水艦クズバスは2016年3月末までに復帰する]
そして「クズバス」は、「ロシア潜水艦乗員の日」である2016年3月19日に太平洋艦隊へ引き渡される事になりました。
ロシア海軍に就役中のプロジェクト971原子力巡洋潜水艦の内、6隻(北方艦隊の3隻と太平洋艦隊の3隻)はセヴェロドヴィンスクの艦船修理工場「ズヴェズドーチカ」で高度な近代化改装が実施されますが、「クズバス」は、この6隻には入っていません。
[セヴェロドヴィンスクの艦船修理センターはアクラ級原潜を近代化する]
[ロシア海軍の約10隻のアクラ級原潜とオスカーII級原潜が近代化改装される]
既に太平洋艦隊からはK-391「ブラーツク」とK-295「サマーラ」が2014年9月末にセヴェロドヴィンスクへ回航されています。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原潜ブラーツクとサマ―ラはセヴェロドヴィンスクの艦船修理工場へ到着した]
現在のロシア連邦海軍における原子力潜水艦の分類は以下の通りです。
重原子力戦略用途水中巡洋艦:プロジェクト941「アクラ」(タイフーン)
原子力戦略用途水中巡洋艦:プロジェクト667BDRM「デリフィン」(デルタIV)、プロジェクト667BDR「カリマール」(デルタIII)、プロジェクト955「ボレイ」
原子力水中巡洋艦:プロジェクト949A「アンテイ」(オスカーII)、プロジェクト885「ヤーセン」
原子力巡洋潜水艦:プロジェクト971「シチューカ-B」(アクラ)
原子力大型潜水艦:プロジェクト945「バラクーダ」(シエラI)、プロジェクト945A「コンドル」(シエラII)、プロジェクト671RTMK「シチューカ」(ヴィクターIII)
弾道ミサイル或いは有翼ミサイルの専用垂直発射機を装備する原潜:西側で言う所のSSBNやSSGNに該当する艦は「水中巡洋艦」に分類されています。
一方、いわゆる「魚雷攻撃型原潜」は、「原子力大型潜水艦」に分類されています。
ただ、今回の記事に登場する「クズバス」を含むプロジェクト971のみは「原子力巡洋潜水艦」と、「原子力水中巡洋艦」と「原子力大型潜水艦」の中間的な分類となっております。
上記の分類はソ連邦解体後の1992年に定められたものですが、この当時、971は魚雷発射管から発射できる長射程有翼ミサイル「グラナート」(SS-N-21)を搭載し、原子力戦略用途水中巡洋艦を補完する戦力と見なされていた為、他の魚雷攻撃型原潜と区別して「巡洋潜水艦」となりました。
(ただし、その後に「グラナート」は971原潜から降ろされましたが)
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