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ロシア海軍のプロジェクト971原子力巡洋潜水艦(アクラ級)は近代化改装により巡航ミサイル「カリブル」を装備する

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『タス通信』より
2016年3月19日19時56分配信
【原子力潜水艦プロジェクト971はミサイル複合体「カリブル」で武装する】
モスクワ、3月19日/タス通信

原子力潜水艦プロジェクト971は近代化された後に兵装としてミサイル複合体「カリブル」を受け取る。
ラジオ局『ロシアニュースサービス』の生放送でロシア海軍戦闘訓練管理部長ヴィクトール・コチェマゾフ少将は述べた。

「現在の潜水艦プロジェクト971の近代化では、このミサイル複合体の設置が予定されています」
彼は話した。

コチェマゾフによると、複合体の試験中に「その長所が積極的に示されました」
「そして潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーでの実戦使用は、この複合体が更なる発展の為の輝かしい将来性を有していることを示しました」

彼は強調した。

多目的原子力潜水艦プロジェクト971「シチューカ-B」(NATO分類-アクラ)は、以前には有翼ミサイル「グラナート」を搭載していた。
公表された情報によると、このミサイルは既に兵装から除かれている。


プロジェクト971「シチューカ-B」(NATOコード名「アクラ」級)は、1985年から2001年に掛けて14隻がソ連/ロシア海軍へ就役し、更に1隻がインド海軍へリースする為に建造され、2012年に引き渡されています。
既に2隻が除籍・解体されており、現在、ロシア海軍に在籍しているのは12隻です。

[コムソモリスク・ナ・アムーレ(アムール造船工場)建造艦]:太平洋艦隊へ配備
K-263(工場番号502):1993年4月13日に「デリフィン」と命名、2002年2月9日に「バルナウル」と改名
1985年5月9日起工/1986年5月28日進水/1987年12月30日納入/1988年1月11日就役

K-322(工場番号513):1993年4月13日に「カシャロート」と命名
1986年9月5日起工/1987年7月18日進水/1988年12月30日納入/1989年3月1日就役

K-391(工場番号514):1993年4月13日に「キート」と命名、1997年9月1日に「ブラーツク」と改名
1988年2月23日起工/1989年4月14日進水/1989年12月29日納入/1990年1月13日就役

K-331(工場番号515):1993年4月13日に「ナルヴァル」と命名、2001年1月24日に「マガダン」と改名
1989年12月28日起工/1990年6月23日進水/1990年12月30日納入/1991年1月23日就役

K-419(工場番号516);1993年4月13日に「モルシュ」と命名、1998年1月29日に「クズバス」と改名
1991年7月28日起工/1992年5月18日進水/1992年12月31日納入/1993年1月30日就役

K-295(工場番号517):1993年4月13日に「ドラコン」と命名、1999年8月30日に「サマーラ」と改名
1993年11月7日起工/1994年7月1日進水/1995年7月17日納入/1995年7月29日就役


[セヴェロドヴィンスク(セヴマシュ)建造艦]:北方艦隊へ配備
K-317(工場番号822):1990年10月10日に「パンテーラ」と命名
1986年11月6日起工/1990年5月21日進水/1990年12月27日納入/1990年12月30日就役

K-461(工場番号831):1991年6月25日に「ヴォルク」と命名
1987年11月14日起工/1991年6月11日進水/1991年12月29日納入/1992年1月27日就役

K-328(工場番号832):1991年1月24日に「レオパルド」と命名
1988年10月26日起工/1992年6月28日進水/1992年12月30日納入/1993年1月15日就役

K-154(工場番号833):1991年7月24日に「チグル」と命名
1989年9月10日起工/1993年6月26日進水/1993年12月29日納入/1994年1月5日就役

K-157(工場番号834):1993年4月6日に「ヴェプリ」と命名
1990年7月13日起工/1994年12月10日進水/1995年11月25日納入/1995年12月30日就役

K-335(工場番号835):1993年2月22日に「ゲパルド」と命名
1991年9月23日起工/1999年9月17日進水/2001年12月3日納入/2001年12月4日就役



12隻のプロジェクト971原子力巡洋潜水艦の内、6隻(北方艦隊の3隻と太平洋艦隊の3隻)はセヴェロドヴィンスク艦船修理工場「ズヴェズドーチカ」で高度な近代化改装が実施されます。
近代化されるのは「レオパルド」、「ヴォルク」、「ブラーツク」、「サマーラ」、この他に2隻程度です。
[セヴェロドヴィンスクの艦船修理センターはアクラ級原潜を近代化する]
[ロシア海軍の約10隻のアクラ級原潜とオスカーII級原潜が近代化改装される]

北方艦隊「レオパルド」「ヴォルク」「ズヴェズドーチカ」で近代化改装工事が行なわれています。
[アクラ級原潜レオパルドは2015年に近代化改装を終えて復帰する]
[ロシア海軍北方艦隊のアクラ級原潜ヴォルクはセヴェロドヴィンスクで近代化改装を行なう]

太平洋艦隊「ブラーツク」「サマーラ」は、2014年9月末にセヴェロドヴィンスクへ回航されています。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原潜ブラーツクとサマ―ラはセヴェロドヴィンスクの艦船修理工場へ到着した]

この近代化改装により、これらの艦は対地/対艦有翼ミサイル「カリブル」を搭載します。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]

「カリブル」は2015年12月8日に地中海東部潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」からシリアISIL(イラク・レバントのイスラム国)拠点へ発射されています。
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは地中海東部からシリアのISIL(イラク・レバントのイスラム国)拠点へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]


プロジェクト971原潜は、元々は核弾頭装備の対地攻撃用有翼ミサイル「グラナート」(最大射程3000km)を標準装備していたのですが、1990年代にアメリカとの協定により、戦略原潜(弾道ミサイル原潜)以外の全ての水上艦潜水艦に搭載されている核兵器を撤去する事になった為、971「グラナート」も退役しました。
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それから約20年を経て、近代化される971原潜には「グラナート」をベースにして開発された有翼ミサイル「カリブル」が搭載される事になります。
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