クリル諸島にロシア海軍太平洋艦隊の基地が建設されるかもしれない

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2016年3月25日12時26分配信
【ショイグ:ロシア海軍はクリルに艦船駐留所を作成するかもしれない】
モスクワ、3月25日-ロシア通信社ノーボスチ
ロシア海軍はクリル諸島への艦船駐留の可能性について検討する。
ロシア国防相セルゲイ・ショイグ上級大将は表明した。
現在、太平洋艦隊の主要基地はウラジオストクとカムチャツカ(ヴィリュチンスク)の駐屯地である。
「4月に太平洋艦隊船員は、大クリル列島への3ヶ月間の派遣航海へと向かいます。
その主な目的は、将来的な太平洋艦隊戦力の駐留の可能性についての研究です」
ショイグは国防省会議において話した。
近年、国防省はクリル諸島において軍の建設を積極的に進めている。
1月にショイグが表明したように、ロシア連邦軍は今年にクリル諸島、更には北極圏の島々における軍事インフラストラクチュアの形成を完了する。
クリル諸島は、ロシアと日本の間の長年の領土紛争の対象となっている。
東京は、1855年の2ヶ国間の貿易及び境界線に関する国際条約を引用し、クリル列島のイトゥルプ、クナシル、シコタン、そしてハボマイ群島を要求している。
東京は、島の返還が、未だ署名されていない第2次世界大戦終了に伴うロシア連邦との平和条約締結の条件であると主張している。
モスクワの見解は、南クリルは戦争終結までにソヴィエト社会主義共和国連邦の一部として加わったものであり、ロシアの主権は国際法的根拠を有しており、その所管には疑念の余地は無い。

現在、ロシア太平洋艦隊の軍港が在るのは、沿海地方のウラジオストクとフォーキノ、カムチャツカ半島のペトロパヴロフスク・カムチャツキーとヴィリュチンスク、そしてサハリン対岸のソヴィエツカヤ・ガヴァニです。
ウラジオストクとフォーキノには、主力水上艦艇と通常動力潜水艦、ヴィリュチンスクには原子力潜水艦、ペトロパヴロフスク・カムチャツキーには比較的小型の水上艦艇が駐留しています。
ソヴィエツカヤ・ガヴァニには小型対潜艦2隻と掃海艇2隻のみが駐留しています。
つまり、太平洋艦隊の艦艇の殆ど全てが沿海地方とカムチャツカに分かれて配置されているわけです。
クリル諸島(日本側呼称・千島列島)には、現在、ロシア海軍の沿岸ミサイル部隊は駐留していますが、ロシア海軍の「軍港」は存在せず、艦船も駐留していません。
ソ連邦時代にはシムシル島北部のブロートン湾に潜水艦基地が在りましたが、ソ連邦解体後に放棄されています。


ただ、ロシア国境警備隊の艦艇基地はシコタン島に置かれています。
[シコタン島のロシア国境警備隊]
そのクリル諸島には、ロシア海軍の新たな沿岸ミサイルが配備される事になりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊はクリル諸島に新たな地対艦ミサイルを配備する]
これに続き、ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグ上級大将は、クリル諸島にロシア海軍の「軍港」が造られる可能性に初めて言及しました。
ただし、上記の新型地対艦ミサイル配備とは異なり、海軍基地建設は未だ具体的な計画すら有りません。
そもそも、クリル諸島のどの島に海軍基地を建設するのか、どの程度の規模の基地になるのかも決まっていません。
現時点で決まっているのは、今年(2016年)4月から、太平洋艦隊の艦艇が3ヶ月間に渡りクリル諸島へ派遣されるという事だけです。
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