ロシア海軍のラーダ級潜水艦サンクトペテルブルクは2016年に試験運用を完了する
- カテゴリ:プロジェクト677ラーダ潜水艦

『タス通信』より
2016年3月28日12時32分配信
【統合造船業営団:潜水艦「ラーダ」のトップの試験運用は2016年に完了する】
モスクワ、3月28日/タス通信
プロジェクト677「ラーダ」非核動力潜水艦のトップ「サンクトペテルブルク」の試験運用は2016年末に完了する。
タス通信は、国際陸軍・海軍兵器展示会『DEFEXPO インディア-2016』を前にして『統合造船業営団』広報サービスより伝えられた。
「ディーゼルエレクトリック潜水艦プロジェクト"ラーダ"のトップの試験運用は2016年末までの完了が計画されています」
対談者は話した。
彼は、ディーゼルエレクトリック潜水艦プロジェクト「ラーダ」シリーズの4隻目を建造する為の決定は、現在形成されている新たな国家軍備プログラムに沿って採択される事を付け加えた。
最初の潜水艦「サンクトペテルブルク」は、2010年から北方艦隊で試験運用に在る。
今、サンクトペテルブルクの「アドミラルティ造船所」では、潜水艦シリーズの2隻目と3隻目が建造されている。
[潜水艦「カリーナ」]
『統合造船業営団』は更に、第5世代非核動力潜水艦プロジェクト「カリーナ」は最初に非大気依存発電装置(AIP)を受け取ると伝えた。
「最初の非大気依存発電装置は、将来非核動力潜水艦カリーナへの設置が計画されています」
『統合造船業営団』は伝えた。
以前、ロシア連邦海軍総司令官代理(軍備担当)ヴィクトール・ブルスク中将は、最初の非大気依存発電装置は第4世代非核動力潜水艦「ラーダ」が受け取ると述べた。
[新世代潜水艦ラーダ(アムール)級]
[新世代潜水艦ラーダ(アムール)級(旧ブログ)]
ロシア海軍の第4世代通常動力潜水艦プロジェクト677「ラーダ」1番艦B-585「サンクトペテルブルク」は1997年12月26日に起工、2004年10月28日に進水、2010年4月22日に就役しました。
しかし、「サンクトペテルブルク」就役前の洋上試験中に様々な問題点が発覚した為、2005年7月28日に起工された2番艦と2006年11月10日に起工された3番艦の建造工事は一旦凍結されました。
2012年2月初頭、当時のロシア海軍総司令官ウラジーミル・ヴィソツキー大将は、『ロシア通信社ノーボスチ』のインタビューに対し、「ラーダ」級潜水艦「サンクトペテルブルク」に対する不満を述べています。
『ロシア通信社ノーボスチ』より。
2012年2月9日配信
【ウラジーミル・ヴィソツキー提督へのインタビュー】
「ラーダ」級に関する箇所を抜粋。
インタビュアー:多くのメディアの報道で、プロジェクト677「ラーダ」ディーゼルエレクトリック潜水艦の将来に関する憶測が流れていますが・・・
ヴィソツキー:
「ラーダ」?この艦については、何か申し上げる事が有りますかね?
潜水艦「サンクトペテルブルク」の試験運用では、技術的特性が示されていません。
その理由は、非常に簡単です。
要するに、この艦の主要動力装置には、欠陥が有るのですよ。
僕達は、第二次世界大戦時の動力を有するような武器を新たに必要であるなどという頭脳は持ち合わせておりません。
何故かって?誰がそれを必要とするのでしょうか?
そして、それは同様の動作特性を有しています。
現在の形での「ラーダ」を、ロシア海軍は必要としておりません。
インタビュアー:建造中の同プロジェクト潜水艦「クロンシュタット」と「セヴァストーポリ」の今後はどうなりましょうか?
ヴィソツキー:これらの艦は、他の動力装置になると思います・・・
その後、「ラーダ」級は改設計され、2013年2月には2番艦と3番艦の建造再開が決定されました。
[ロシア国防省はラーダ級潜水艦の建造再開を正式に決定した]
2番艦「クロンシュタット」は2013年7月に建造契約が再締結され、工事が再開されています。
[ラーダ級潜水艦クロンシュタットは再建造される]
2006年に起工されていた3番艦は、2015年3月19日に「ヴェリーキエ・ルーキ」の名で改めて起工されました。
[ロシア海軍の為のラーダ級潜水艦3番艦セヴァストーポリ改めヴェリーキエ・ルーキは再起工された]
これらの同型艦は、1番艦「サンクトペテルブルク」の運用実績を踏まえて大幅に改良されています。
[ロシア海軍の新世代通常動力潜水艦ラーダ級の2番艦以降は大幅に改良される]
一方、1番艦「サンクトペテルブルク」は就役後、暫くはバルト艦隊に所属してバルト海に滞在していましたが、深海での試験(バルト海では実施できない)などを実施する為、北方艦隊の基地へ回航される事になり、2013年10月17日に潜水艦基地ポリャールヌイへ到着しました。
[ラーダ級潜水艦サンクト-ペテルブルクは北方艦隊基地に到着した]
以後、「サンクトペテルブルク」は北方艦隊に留まり、試験運用を続けています。
[ロシア海軍第4世代潜水艦サンクト-ペテルブルクは北方艦隊へ配備される]
[ロシア海軍のラーダ級潜水艦サンクトペテルブルクは2016年も試験運用を継続する]
2016年1月19日、「ロシア海軍総司令部の(匿名の)高位の代理人」は、「ラーダ」級の建造が3隻で打ち切られると発言しました。
[ロシア海軍は第4世代通常動力潜水艦ラーダ級の調達を3隻で打ち切る]
その後、ロシア海軍と、ロシア造船業界の総元締である『統合造船業営団』は、「ラーダ」級の建造打ち切りを否定しました。
[ロシア海軍は第4世代通常動力潜水艦ラーダ級の建造を中止するつもりは無い]
[ロシア国防省はロシア海軍第4世代通常動力潜水艦ラーダ級の調達中止を指示していない]
3月18日、『統合造船業営団』は、2番艦「クロンシュタット」と3番艦「ヴェリーキエ・ルーキ」のロシア海軍への引き渡しは2018~2019年になる事を明らかにしました。
[最後のラーダ級潜水艦(?)クロンシュタットとヴェリーキエ・ルーキは2018-2019年にロシア海軍へ引き渡される]
そして今回、『統合造船業営団』は、1番艦「サンクトペテルブルク」の試験運用が今年末までに完了すると発表しました。
更に、「ラーダ」級4番艦は、「新たな国家軍備プログラム」、つまり「2016-2025年の国家軍備プログラム」の下で建造される事も初めて明らかにされました。
つまり、「ラーダ」級の建造が3隻で終わるというのは「2011-2020年の国家軍備プログラム」での話だったという事でしょう。
現在、ロシアでは、通常動力潜水艦の為の非大気依存発電装置(AIP機関)とリチウムイオン電池の開発が進められています。
[ロシアは潜水艦用のリチウムイオン電池の試験に成功した]
[ロシア海軍の新世代潜水艦の為のAIP機関の試験は進んでいる]
非大気依存発電装置は、第5世代通常動力潜水艦「カリーナ」級に標準装備されます。
[ロシア海軍第5世代通常動力潜水艦カリーナ級は『2025年までの国家軍備プログラム』により建造される]
記事末尾で触れられているように、以前、ロシア海軍総司令官代理(軍備担当)ヴィクトール・ブルスク中将は、「ラーダ」級へ非大気依存発電装置が搭載されるかもしれないと述べましたが、結局、「カリーナ」級に搭載される事になるようです。
[ロシア海軍のラーダ級潜水艦は非大気依存発電装置(AIP)を装備するかもしれない]
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