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クロンシュタット海洋工場はロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦のガスタービンエンジンを修復した

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『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2016年4月16日21時54分配信
【クロンシュタットで北方艦隊の艦のガスタービンエンジンが修理された】

『クロンシュタット海洋工場』は北方艦隊の艦のガスタービンエンジンを修理した。
同社の広報サービスは発表した。


「艦載ガスタービンエンジンDT-59は、定期修理を行なう為、2015年春に当工場へ受け入れられました。
エンジンは修理過程で完全に分解されました。
回転式コンプレッサーとタービンブレードは取り外され、非破壊方式による問題点の検査を受け、研磨処理が行なわれ、強度を高める為の手順が実施されました。
ローターのバランスが取られ、エンジンのパーツや他の動作の整合性が確認されました。
2016年3月、新たに組み立てられたエンジンは、工場試験を成功裏に実施しました」
『海軍産業』(フロートプロム)
『クロンシュタット海洋工場』広報サービスより伝えられた。

これは、今年にクロンシュタット工場が修理した第2の海上エンジンである。
以前、『クロンシュタット海洋工場』は、修復されたエンジンDT-59太平洋造船所『ダーリザヴォード』へ引き渡す準備が整ったと報告した。
それは2015年6月から修理されていた。
2016年1月~2月に、それは試験台における試験が実施された。

ガスタービン専門作業所は1967年にクロンシュタット艦船修理工場に作成された。
これまでに、ソヴィエト社会主義共和国連邦及びロシア海軍の為に、350以上の様々な派生型のエンジン及び装置が修理された。
工場の別の作業の方向性は、ガス汲み上げステーションのニーズの為の変換された船舶用エンジンの修理である。


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【『クロンシュタット海洋工場』公式サイト】

[ガスタービンエンジン代替問題]

ソ連/ロシア艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシア「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」ウクライナ「ゾーリャ機械設計」が関わっており、エンジンの最終組立は「ゾーリャ機械設計」で行なわれていました。
(ロシアの3社で主要パーツを製造し、それをウクライナへ送って組み立てる)

しかし、2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナロシアの関係も悪化し、ガスタービンエンジンに関する「分業体制」も瓦解しました。

この為、ガスタービンエンジンの生産は全てロシア国内で行なう事になり、現在、その為の体制を再構築中であり、今後は「ゾーリャ機械設計」に代わって科学生産合同「サトゥルン」ガスタービンエンジンの最終組立を行なう事になります。
[ロシアは2018年から艦艇用ガスタービンを量産する]

一方、ロシア海軍現用艦ガスタービンエンジンの修理も、これまではウクライナ(ムィコラーイウの「ゾーリャ機械設計」社)に依存していましたが、当然ながら、こちらの方も御破算となりました。
この為、ガスタービンの修理もロシア国内で行なう事になりました。

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当初は、ロシア国内の複数の航空機工場ガスタービンを送っていたのですが、これで何かと不便なので、1960年代末から民間用ガスタービンエンジンの修理を行なっていたクロンシュタット海洋工場が、ロシア海軍現用艦艇ガスタービンエンジンの修理やメンテナンスなども一手に引き受ける事になりました。
[ロシア海軍艦艇のガスタービンエンジンの修理はクロンシュタットで行なわれる]
[クロンシュタット海洋工場はロシア海軍の全ての艦艇用ガスタービンエンジンを修理する]

記事中で触れられているように、クロンシュタット海洋工場は、既に太平洋艦隊の為のガスタービンエンジンDT-59の修理を終えています。
おそらくは、大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」のエンジンの事でしょう。
[近代化改装を終えた大型対潜艦アドミラル・トリブツは2016年7月にロシア海軍太平洋艦隊へ復帰する]


そして今度は、北方艦隊の為のガスタービンエンジンDT-59の修復が完了しました。
どの艦のエンジンを修理したのかについては触れられていませんが、おそらくは、ムルマンスクで改装中の大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」のエンジンでしょう。
[ロシア海軍の大型対潜艦アドミラル・チャバネンコはオーバーホールの第1段階を終えた]


プロジェクト1155/11551大型対潜艦は、2021年までに6隻の近代化改装が計画されており、他の艦のガスタービンエンジンもクロンシュタット海洋工場で修復される事になるでしょう。
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