ロシア黒海艦隊艦艇はシリアへの航海を準備する

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『イタル-タス通信』より。
【ロシア黒海艦隊の戦闘艦はシリア沿岸への出発を準備する】
モスクワ、6月15日/イタル-タス通信

ロシア黒海艦隊の戦闘艦数隻は、シリアへの遠距離航海を準備している。
ロシア連邦軍参謀本部の情報提供者は、イタル-タス通信に伝えた。

「地中海は、我が黒海艦隊の担当であるという事実に関連し、ロシア海軍物資・技術供給所としてロシアがシリアからリースしているタルトゥースの安全を保障する任務を遂行する為に必要な場合、戦闘艦はそこへ向かいます」
対談者はイタル-タス通信に説明した。

「黒海艦隊の数隻の戦闘艦チームは、遠距離航海の為の準備を完全に整えています。それは海軍歩兵部隊を乗せた大型揚陸艦も含まれます」
連邦軍参謀本部の情報提供者は述べた。

対談者はイタル-タス通信に対し、黒海艦隊の戦闘艦1隻が既にタルトゥースへ向かっているというアメリカの一部メディアの報道を断固として否定した。
「我々の艦は、全てセヴァストーポリに居ます。大型揚陸艦ツェーザリ・クニコフを除いては。
同艦はイタリアのメッシナ港に滞在した後、土曜日にセヴァストーポリへ到着します。
黒海から地中海へ、ではなく、地中海から黒海へ、です」

連邦軍参謀本部の情報提供者は述べた。

「或いは、アメリカ人は探索作業が不十分なのか、もしくは、学校で地理を学んでいなかったんでしょうね」
ロシア軍人は示唆した。

イタル-タス通信ワシントン特派員イワン・ レベデフは、ロシアシリアタルトゥース港防衛の為、小規模の軍人グループを派遣したとアメリカが報じた事を伝えてきた。
情報テレビ局NBCがアメリカ公式筋を引用して報じた所によると、ロシア軍タルトゥース「1隻のロシア連邦海軍艦艇」を送った。

アメリカ合衆国大統領外交政策顧問ベン·ローズは、ホワイトハウスにおいて、NBCの「精通した」報道に関して、原則として、情報筋から得られた情報に基づくコメントはしないと述べた。
次に、国務省の公式代理人ヴィクトリア・ニューランドは、NBCテレビの報道について知っているが、この情報を確認する事は出来ないと述べた。

今年1月、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」に率いられたロシア海軍艦艇航空グループタルトゥースを訪れた。
シリアの港への航海は、物資を補充し、艦の機器の定期的整備を実施する必要により行なわれた。

タルトゥースは、ソヴィエト連邦後のロシア軍の唯一の海外拠点である。
物資・技術供給所は、我が国の戦闘艦が駐留し、地中海における任務遂行を保障する事が出来る。
タルトゥースに滞在する拠点は、シリア政府との正式合意により、1971年に設立された。
(2012年6月15日22時13分配信)


上の記事中で取り上げられている「アメリカの一部メディアの報道」は、これです。
2012年6月16日配信
【ロシア軍艦船がシリアへ出航、兵器や兵士積み 米国が追跡】

「NBC放送が最初に報じた」と書かれています。

この記事によると、6月7日に黒海艦隊大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」シリアへ向けて出港したとの事です。
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ロシアでも報じられました。

『イタルタス通信』より。
2012年6月15日21時44分配信
【アメリカ合衆国は、ロシアがタルトゥース港を保護する為、シリアへ軍を派遣したという情報を有する】

『InoTV』より。
2012年6月16日配信
【「ニコライ・フィリチェンコフ」はアメリカに懸念を生じさせた】

「ロシア連邦軍参謀本部の情報提供者」は、この報道について否定しているわけです。

ただ、「ロシア連邦軍参謀本部の情報提供者」は、今後に黒海艦隊大型揚陸艦などがシリアへ向けて出港する可能性までは否定していません。
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事実上の内戦状態にあるシリアの今後の情勢次第によっては、いつでも出港できる体制を整えているという事です。

ロシア連邦空軍も、出動態勢を整えています。

『ロシア通信社ノーボスチ』より。
2012年6月16日14時05分配信
【空軍にはシリアのロシア連邦市民の為に派遣される海軍艦艇を援護する用意がある】

ロシア連邦空軍総司令官代理ウラジーミル・グラジュソフ少将は
「シリア在住のロシア人の保護及び避難の為にロシア海軍艦艇が派遣された場合、ロシア空軍は、それを援護するのか?」
という記者の質問に答え
「空軍は、いかなる任務も遂行する用意を整えています」
と述べています。


『黒海艦隊公式サイト』より
【大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」】
最後に、こう書かれています。
「現在、大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフは第197揚陸艦旅団に所属し、艦隊の戦闘訓練及び演習に活用されている」
「ニコライ・フィリチェンコフ」は、この10数年間は黒海から出ていません。


ロシア黒海艦隊には、上記の「ニコライ・フィリチェンコフ」(プロジェクト1171)を含む7隻の大型揚陸艦が在籍し、全て第197揚陸艦旅団に所属しています。

プロジェクト775大型揚陸艦(ロプーチャI級)
【BDK-46「ノヴォチェルカススク」】
【BDK-67「ヤーマル」】
【「ツェーザリ・クニコフ」】

プロジェクト775M大型揚陸艦(ロプーチャII級)
【BDK-54「アゾフ」】

プロジェクト1171大型揚陸艦(アリゲーター級)
【BDK-65「サラトフ」】
【BDK-69「オルスク」】
【「ニコライ・フィリチェンコフ」】

この内、ロプーチャ級地中海にも進出していますが、アリゲーター級は、この10数年間は黒海から出ていません。

2008年8月の南オセチア紛争には、黒海艦隊大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」、「ヤーマル」、「サラトフ」の3隻が参加しました。

「ツェーザリ・クニコフ」「サラトフ」は、アブハジアへの空挺部隊輸送途中にグルジア海軍の襲撃を受けています。
(直接には戦闘へ参加していませんが)
[アブハジア沖の海上戦闘(2008年8月9~10日)とセルゲイ・メニャイロ中将]

グルジアポチ港突入作戦には、「ヤーマル」「サラトフ」が参加しました。
[グルジア海軍艦艇は、ロシア海軍スペツナズにより破壊された]


黒海艦隊ロプーチャ級3隻-大型揚陸艦「アゾフ」「ヤーマル」「ノヴォチェルカススク」は、2009年8~9月にバルト海まで遠征し、実地戦略演習「ザーパド(西方)-2009」に参加しています。
[ロシア黒海艦隊の揚陸艦、バルト海へ]
[ロシア海軍の8隻の揚陸艦は、バルト海の演習に参加する]


今回のイタルタス通信の記事で触れられている大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」は、イタリアメッシナ港を訪問し、1908年のメッシナ地震の慰霊祭に参加した後、セヴァストーポリへの帰路に就きました。
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『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
2012年6月16日配信
【大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」乗組員は地中海における任務遂行を完了した】

何故ロシア海軍メッシナ地震の慰霊祭に参加するのかというと、この地震が発生した時、たまたま地中海に居たロシア艦隊が住民救助の為にメッシナへ行ったからです。
[巡洋艦「モスクワ」は、シチリア島を訪問する]
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