ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年初頭から始まる

『タス通信』より
2016年5月25日10時1分配信
【情報筋:「アドミラル・クズネツォフ」の近代化は2017年の開始が計画されている】
モスクワ、5月25日/タス通信
重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の近代化は来年の第1クオーター(1月-3月)に開始され、その為の契約へは近い内に署名される。
タス通信は防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。
「同艦での作業は、地中海への遠距離航海から戻った後、2017年の第1クオーター(1月-3月)に開始され、2-3年に渡って続きます」
対談者は話した。
「空母の修理及び近代化の為の国防省と統合造船業営団の国家契約は数十億ルーブルになり、ネフスキー計画設計局による技術的プロジェクトは用意されています。
それは(今年)6月に署名されます」
彼は説明した。
情報提供者は、北方艦隊司令部の代表が「クズネツォフのメンテナンス契約」を既に締結している事を指摘した。
近代化が何処で実施されるのかは未だ知られていない。
情報提供者によると、志望者には『セヴマシュ』と艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』が含まれる。
「近代化の焦点は空母の飛行甲板となり、覆板、制動機、航空機拘束装置及び他の発艦複合体の要素の交換が含まれます」
彼は強調した。
「クズネツォフ」の混成航空団の構成には、Su-33とMiG-29K/KUB、ヘリコプターKa-27、Ka-31、そしてKa-52K(「ミストラル」型ヘリコプター空母の為に意図されていた)が含まれる。
航空機Su-25UTGは、もはや航空巡洋艦には搭載されていない事を対談者は指摘した。
これらの情報をタス通信は公式に確認していない。
今、「クズネツォフ」はムルマンスクの第35艦船修理工場に在る。
夏には、更新された航空グループの試験が実施されなけばならない-国防省のトップ、セルゲイ・ショイグは発表した。
今秋に「クズネツォフ」は新たな航空機と共に地中海東部へ向かうだろうと軍事外交筋はタス通信へ話した。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]
ニコラエフ(ウクライナ)の黒海造船工場で1982年9月1日に起工され、1985年12月4日に進水し、1991年1月20日に当時のソ連海軍へ就役した重航空巡洋艦「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフ」は、同年12月末に黒海から北方艦隊基地へ回航され、以後、同艦隊で運用されています。
「アドミラル・クズネツォフ」は、これまでに7回の遠距離航海を実施しており、最近では、2013年12月17日から2014年5月18日までの5ヶ月間に渡る大西洋・地中海遠征を実施しています。
[空母アドミラル・クズネツォフ第5次地中海遠征(2013年12月-)]
2015年5月-8月には、ロスリャコヴォの大型浮きドックPD-50へ入渠し、普段は海水に浸かっている艦底部分(吃水線から下の部分)の修復作業が行なわれました。

[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックを出る]
2015年10月-11月にはバレンツ海で演習を行ないました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフは抜錨した]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフはバレンツ海で訓練を続ける]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフは海上目標へ艦対空ミサイルを発射した]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフはバレンツ海で防空演習を始めた]
現在はムルマンスク市北方の第35艦船修理工場でメンテナンス(技術的準備状態の回復)中です。

[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは就役25周年を祝った]
「アドミラル・クズネツォフ」の搭載機部隊である第279独立艦上戦闘機航空連隊(艦上戦闘機Su-33)は、2016年4月末からクリミア半島のサキ飛行場に在る艦上戦闘機発着訓練施設(旧ニートカ)で訓練を行なっています。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機部隊はクリミア半島のニートカで発着艦訓練を行なう]
「アドミラル・クズネツォフ」の搭載機の近代化は進められており、以前からの艦上戦闘機Su-33(寿命延長改修済み)に加え、新たに発注された艦上戦闘機MiG-29K/KUBは2015年末までに契約分全機(24機)が納入されています。
(2013年末に4機、2014年末に10機、2015年末に10機納入)
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは新型艦上機により近代化される]
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの為の艦上戦闘機MiG-29K/KUBは契約分全機(24機)の納入を完了した]
艦上戦闘機MiG-29K/KUBを装備する第100独立艦上戦闘機航空連隊は2015年末に創設され、現在はクラスノダール地方のエイスクに在る艦上戦闘機発着訓練施設(新ニートカ)で錬成訓練を行なっています。

[ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグ上級大将はエイスクのロシア海軍飛行訓練センター(新ニートカ)を視察した]
[MiG-29K/KUBで編成されたロシア海軍の新たな艦上戦闘機航空連隊は本格的な戦闘訓練飛行を始めた]
「アドミラル・クズネツォフ」の修理は6月下旬には完了し、その後、艦の点検のためにバレンツ海へ出航し、それが終わった後に新たな艦載機の発着試験も行われます。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2016年6月下旬にバレンツ海へ出航する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの新たな航空群の試験は2016年7月に始まる]
「アドミラル・クズネツォフ」は、今年(2016年)秋(9月-10月)に地中海東部への遠征が計画されています。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2016年秋に新たな艦上戦闘機と共に地中海東部へ行く]
地中海遠征から戻った後、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装が始まります。
「アドミラル・クズネツォフ」に関しては、これまでにも何度か近代化改装の話が出ていました。
2010年4月には、2012年から5年間掛けて大規模な近代化改装を実施すると報じられました。
[空母アドミラル・クズネツォフ近代化計画]
2013年9月には、2014年から5年間掛けて大規模な近代化改装を実施すると報じられました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2014年から近代化改装を開始する]
しかし、いずれも立ち消えになりました。
[空母アドミラル・クズネツォフの近代化は妨げられている]
[空母アドミラル・クズネツォフの近代化は先延ばしされている]
その後、2010年代後半(2017-2018年)から近代化改装を実施するという話が出てきました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは2010年代後半に近代化改装を行なう]
今年1月には、ロシア海軍造船管理部長ウラジーミル・トリャピチニコフ氏が、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は2016年末から始まると発言しました。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2016年末から始まる]
そして今回、「防衛産業企業体の(匿名の)情報提供者」(おそらくはロシア造船業界の総元締である『統合造船業営団』の関係者)は、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は2017年初頭から始まる事を明らかにしました。
以前の予定から数ヶ月間延期されたことになります。
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装には数十億ルーブル(おそらくは50億ルーブル程度)が拠出され、契約への署名は今年6月に行なわれます。
近代化改装が何処で実施されるのかは未だ明確にされていませんが、候補に挙がっているのは、セヴェロドヴィンスクの『セヴマシュ』造船所と艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』です。
『セヴマシュ』造船所

艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』

(ただ、『ズヴェズドーチカ』は、第35艦船修理工場を含めたムルマンスク周辺の艦船修理工場の殆どを傘下に収めているので、セヴェロドヴィンスクの本社以外で実施される可能性もありますが)
近代化改装は2~3年掛かるとの事ですから、「アドミラル・クズネツォフ」が復帰するのは2020年前後になるでしょう。
近代化改装の内容については、飛行甲板周辺に関する作業がメインになるとの事であり、着艦拘束装置や着艦誘導装置などは全て交換されるようです。
無論、艦の寿命延長工事も実施されるでしょう。
レーダー等の電子機器や兵装については全く触れられていませんが、換装するとしても、限定的なものに留まる可能性が高いでしょう。

新たな「アドミラル・クズネツォフ」航空団は、この5機種で構成される事になるようです。
艦上戦闘機Su-33(既に近代化改修済み)
艦上戦闘機MiG-29K/KUB(2015年末までに24機を納入済み)
対潜ヘリコプターKa-27(2020年までに近代化改修)
警戒ヘリコプターKa-31
攻撃ヘリコプターKa-52K
- 関連記事
-
- ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により兵装を変更する
- ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の為の契約は未だ締結されていない
- ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年初頭から始まる
- ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2016年末から始まる
- ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは新型艦上機により近代化される
スポンサーサイト