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バルト工場はヘリ空母ミストラル級の船体ブロック建造を8月から開始する

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ロシアサンクト-ペテルブルク市の造船所において、ロシア海軍の為の「ミストラル」級ヘリコプター空母の船体の一部の建造が8月から開始されます。
[「バルト工場-造船」はヘリ空母ミストラルの船体の一部を建造する]


『中央海軍ポータル(フロートコム)』より。
【サンクト-ペテルブルクにおける軍艦「ミストラル」級のブロック建造は8月に開始される】
2012年6月21日

8月、サンクト-ペテルブルクに在るロシア造船所「バルト造船工場」は、ロシア海軍の為の指揮・戦力投射艦(Bâtiment de Projection et de Commandement、BPC)級軍艦の船体ブロック建造作業を開始する。
技術移転に関する合意下で指揮・戦力投射艦級軍艦の一部をロシアで建造する契約は、2011年6月に「ロシア兵器輸出公社(ロソボロネクスポルト)」DCNS社の間で締結された。

契約の目的は、ロシア造船所における生産設備及び作業方法の近代化の為、このプログラムの恩恵を受ける事にある。

サンクト-ペテルブルクは、STXフランスを含むフランスの造船所の指導下で指揮・戦力投射艦のブロックを組み立てる。
指揮・戦力投射艦は、DCNSが開発し、サン-ナゼール造船所で建造されている。

数週間遅れて2011年末に完成した最後の艦「ディズミュド」は、フランス海軍の為の3番目の指揮・戦力投射艦である。
STXフランスは、最初のロシア艦の船体製造作業を開始している。

サン-ナゼール造船所における指揮・戦力投射艦の船体ブロック建造により、ロシアチームはフランス造船所の作業方法を習得する。
軍艦「ウラジオストク」及び「セヴァストーポリ」の納入は、2014年及び2015年を予定している。
最初の輸出艦の建造の80パーセントはSTXで、20パーセントはバルト工場で行なわれる。
契約によると、2番目の指揮・戦力投射艦の場合、建造におけるバルト造船工場のシェアは倍増される。
最初の2隻の指揮・戦力投射艦サン・ナゼールで結合されるが、ロシアで2隻の艦を追加建造する為の交渉が進行中である。


[ヘリ空母ミストラル型]

ロシア海軍向け「ミストラル」1番艦は今年2月1日にフランスのサン・ナゼール造船所で起工されました。
[ロシア海軍向けヘリ空母「ミストラル」型1番艦は起工される]

サン・ナゼール造船所
艤装中の「ミストラル」級3番艦「ディズミュド」が居ます。
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「バルト工場-造船」(バルチースキー・ザヴォード)「ミストラル」型の船体の一部を製造する為の契約は、昨年12月に同社と「統合造船業営団」との間で締結されています。
[バルチースキー・ザヴォートは「ミストラル」型の船体を建造する]

バルト工場-造船
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フランス海軍「ミストラル」型は船体を幾つかのブロックに分けて複数の造船所で建造し、それを一ヶ所に集めて結合するという方法を採っていますが、ロシア海軍「ミストラル」も同様の方法で建造されます。

ロシア海軍向けの「ミストラル」型は、オリジナルよりも武装が強化されます。
[ロシア海軍向け「ミストラル」型には巡航ミサイル、対空・対潜ミサイルなどが装備される]
[ロシア海軍向け「ミストラル」型はロシア製兵器を装備する]

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「ミストラル」型は艦後部にヘリコプター格納庫が有りますから、各種ミサイルの垂直発射機を設置するとすれば、艦前部(艦橋の前)でしょうか。
(ロシア側の報道を読む限り、ヘリコプター搭載・運用能力を減らすつもりなど毛頭無いだろうし)


日本では「強襲揚陸艦」と呼ばれ、フランス海軍の正式分類は「指揮・戦力投射艦」となっている「ミストラル」型ですが、ロシアでは、「ヘリコプター空母」Вертолётоносецと呼ばれる事が多いです。
この他に「汎用揚陸艦」Универсальный Десантный Корабль「ヘリコプター揚陸ドック艦」Десантный Вертолётный Корабль-Докと書かれる事も有ります。

ロシア側の報道、更にはロシア軍当局者の発言を見ても、「ヘリ空母」としての運用がメインとなっているようです。

フランス海軍「ミストラル」は2009年11月末にサンクト・ペテルブルクを訪れ、ロシア軍ヘリコプター(Ka-27対潜ヘリ、Ka-29強襲ヘリ、Ka-52戦闘ヘリ)の適合試験を実施しています。
[ロシア製ヘリコプター、強襲揚陸艦「ミストラル」に初着艦]
[ロシア軍ヘリコプター、強襲揚陸艦「ミストラル」に初着艦(2009年11月27日)]

ロシア海軍「ミストラル」級には、現用の主力艦載ヘリコプターKa-27の近代化タイプKa-27Mが搭載されるようです。
[ロシア海軍は艦載ヘリコプターKa-27Mを発注する]

ロシア海軍向けの最初の「ミストラル」型2隻の艦名は「ウラジオストク」「セヴァストーポリ」です。
[ロシア海軍向け「ミストラル」型の艦名は「ウラジオストク」と「セヴァストーポリ」になる]

記事文末で触れられていますが、現在、ロシア国内の造船所で「ミストラル」級2隻をライセンス建造する為の交渉が進められています。
[ヘリ空母ミストラル型のライセンス建造の為の交渉は進んでいる]


「ミストラル」型太平洋艦隊にも配備される計画であり、これを見越して極東方面においても、今年から造修施設などのインフラ整備が進められます。

『REGIONS.RU』より。
2012年4月11日配信
【ウラジオストク最大の艦船修理工場は再建される】

『ロシア通信社ノーボスチ・極東管区ニュース』より。
2012年4月11日21時03分配信
【ウラジオストクの艦船修理工場は「ミストラル」の為に13億ルーブルを掛けて再建される】

ウラジオストク第178艦船修理工場は、「ミストラル」型を含む新世代艦に対応できるように施設を近代化し、35600トン級浮きドックの導入、ディーゼル潜水艦修理用の5000トン級ドックの建設、現在の第1乾ドックの全天候型への改装などが行なわれるとの事です。
近代化計画の実施期間は、今年(2012年)から2027年までの16年間に渡ります。
近代化計画の最初の5年間で13億ルーブルが拠出されます。

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