ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは2016年10月以降に地中海東部へ行く

『インタファクス』より
2016年6月2日10時45分配信
【航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」が遠距離航海へ向かうのは(2016年)10月よりも早くなる事は無い】
モスクワ、6月2日、インタファクス・ロシア
艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』支所-第35艦船修理工場は、(2016年)10月初頭までに北方艦隊の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」のメンテナンスと技術的準備状態回復を完了する。
『インタファクス』は木曜日に消息筋より伝えられた。
「従いまして、航空母艦の遠距離航海は(2016年)10月1日よりも前に始まる事は無いでしょう」
対談者は説明した。
彼によると「こういった事情ですので、6月末までに航空母艦は泊地へ出て艦上航空隊の飛行士の訓練を保障し、並行して修理作業が続けられます」
その後、巡洋艦は、遠距離航海の準備を完了する為に第35艦船修理工場(『統合造船業営団』へ加入)へ戻る。
航海へ出発する「アドミラル・クズネツォフ」の航空団は、航空機Su-33及びSu-25UTGを有する第279独立艦上戦闘機航空連隊と、航空機MiG-29の異なるモデル(MiG-29K/KUB)を装備する第100独立艦上戦闘機航空連隊で構成されるだろう。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]
ニコラエフ(ウクライナ)の黒海造船工場で1982年9月1日に起工され、1985年12月4日に進水し、1991年1月20日に当時のソ連海軍へ就役した重航空巡洋艦「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフ」は、同年12月末に黒海から北方艦隊基地へ回航され、以後、同艦隊で運用されています。
「アドミラル・クズネツォフ」は、これまでに7回の遠距離航海を実施しており、最近では、2013年12月17日から2014年5月18日までの5ヶ月間に渡る大西洋・地中海遠征を実施しています。
[空母アドミラル・クズネツォフ第5次地中海遠征(2013年12月-)]
2015年5月-8月には、ロスリャコヴォの大型浮きドックPD-50へ入渠し、普段は海水に浸かっている艦底部分(吃水線から下の部分)の修復作業が行なわれました。

[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックを出る]
2015年10月-11月にはバレンツ海で演習を行ないました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフは抜錨した]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフはバレンツ海で訓練を続ける]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフは海上目標へ艦対空ミサイルを発射した]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフはバレンツ海で防空演習を始めた]
現在はムルマンスク市北方の第35艦船修理工場でメンテナンス(技術的準備状態の回復)中です。

[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは就役25周年を祝った]
「アドミラル・クズネツォフ」の搭載機部隊である第279独立艦上戦闘機航空連隊(艦上戦闘機Su-33)は、2016年4月末からクリミア半島のサキ飛行場に在る艦上戦闘機発着訓練施設(旧ニートカ)で訓練を行なっています。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機部隊はクリミア半島のニートカで発着艦訓練を行なう]
「アドミラル・クズネツォフ」の搭載機の近代化は進められており、以前からの艦上戦闘機Su-33(寿命延長改修済み)に加え、新たに発注された艦上戦闘機MiG-29K/KUBは2015年末までに契約分全機(24機)が納入されています。
(2013年末に4機、2014年末に10機、2015年末に10機納入)
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは新型艦上機により近代化される]
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの為の艦上戦闘機MiG-29K/KUBは契約分全機(24機)の納入を完了した]
艦上戦闘機MiG-29K/KUBを装備する第100独立艦上戦闘機航空連隊は2015年末に創設され、現在はクラスノダール地方のエイスクに在る艦上戦闘機発着訓練施設(新ニートカ)で錬成訓練を行なっています。

[ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグ上級大将はエイスクのロシア海軍飛行訓練センター(新ニートカ)を視察した]
[MiG-29K/KUBで編成されたロシア海軍の新たな艦上戦闘機航空連隊は本格的な戦闘訓練飛行を始めた]
「アドミラル・クズネツォフ」は6月下旬には完了し、その後、艦の点検のためにバレンツ海へ出航し、それが終わった後に新たな艦載機の発着試験も行われます。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2016年6月下旬にバレンツ海へ出航する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの新たな航空群の試験は2016年7月に始まる]
「アドミラル・クズネツォフ」は、今年(2016年)秋(9月-10月)に地中海東部への遠征が計画されています。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2016年秋に新たな艦上戦闘機と共に地中海東部へ行く]
今回の記事に登場する消息筋によると、「アドミラル・クズネツォフ」が地中海への遠距離航海へ出発するのは今年10月1日以降になります。

「アドミラル・クズネツォフ」は6月末には第35艦船修理工場岸壁から泊地(セヴェロモルスク沖?)へ進出して艦上戦闘機部隊の発着訓練を行ない、その後、再び第35艦船修理工場へ戻って修理を完了し、それから地中海へ向けて出航するとの事です。
艦上戦闘機部隊の発着訓練と並行して修理作業も続けられます。
「アドミラル・クズネツォフ」に関しては、2008年にも似たような事例があります。
『RBK』より
2008年12月8日12時59分配信
【艦船修理センター「ズヴェズドーチカ」は航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の修理を完了した】
「アドミラル・クズネツォフ」は、2008年11月末頃まで7ヶ月間掛けて艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』(のムルマンスク支所である第35艦船修理工場)で修理が行なわれ、主動力装置(つまり蒸気タービンエンジン)の更新、ボイラー機器、空調システム、航空機用昇降機の修復、ケーブル配線の交換、巡洋艦の各区画の兵装システムの復旧作業が実施されました。
「更新」というのは、要するに、エンジンを丸ごと交換したわけでは無いが、パーツを大幅に入れ替える「リビルド」を行なったという事です。
この間、2008年10月初頭には北方艦隊の大規模演習へ参加しています。
[空母アドミラル・クズネツォフは出港した]
[メドベージェフ大統領、ロシア空母を訪れる]
「アドミラル・クズネツォフ」は2008年12月5日に地中海遠征へ出発しました。
(翌2009年3月に帰港)
[空母アドミラル・クズネツォフ第3次地中海遠征(2008年12月~2009年3月)]
つまり、この時(2008年)、「アドミラル・クズネツォフ」は、地中海遠征へ出発する前まで修理作業が行なわれ、それと並行して演習へ参加していたという事になります。
地中海遠征から戻った後、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装が始まります。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年初頭から始まる]
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