ロシア海軍のプロジェクト1155大型対潜艦(ウダロイ級)は近代化改装でカリブルとオーニクスを装備しない

『タス通信』より
2016年6月3日12時50分配信
【統合造船業営団:ロシア海軍の大型対潜艦は「カリブル」で再装備しない】
アスタナ、6月3日/タス通信
ロシア海軍の大型対潜艦のミサイル複合体「カリブル-NK」での再装備は、未だ始まっていない。
『タス通信』は展示会『KADEX-2016』会場で『統合造船業営団』軍事造船担当副総裁イーゴリ・ポノマリョフより伝えられた。
昨年夏、当時のロシア海軍総司令官ヴィクトール・チルコフ大将は、最初のプロジェクト1155艦は「オーニクス」及び「カリブル」での再武装を2年後、即ち2017年に完了すると発言した。
「現時点において、プロジェクト1155の戦術-技術的課題を、私共は国防省から最後まで受け取ってはおりませんし、そのような作業は全く展開されておりません」
ポノマリョフは質問に答え、こう話した。
「更に申し上げますと、私共は、そのような作業の準備を整えてはおります。
経験、人員、製造能力を我々は持っておりますから」
『統合造船業営団』副総裁は強調した。
ポノマリョフは、高度な近代化についての問題は、常に議論の余地がある事を指摘した。
そのような作業の費用は、新規建造艦の80パーセントに達するであろうし、近代化される艦の就役時期は著しく短いだろう。
「私共から、海軍のこの作業について、作業遂行の価値、作業遂行の妥当性を見てみますと、新しい艦を発注した方が宜しいでしょうね」
営団副総裁は締め括った。

プロジェクト1155「フレガート」大型対潜艦は、1980年から1991年に掛けて12隻がソ連海軍へ就役し、ソ連邦解体後の1999年に改良型のプロジェクト11551が1隻就役しました。
【大型対潜艦ウダロイ型(旧ブログ)】
【ウダロイ級全艦リスト】
現在は、太平洋艦隊と北方艦隊に4隻ずつ在籍しています。
[太平洋艦隊]
アドミラル・トリブツ:1986年2月15日就役
マルシャル・シャーポシニコフ:1986年2月15日就役
アドミラル・ヴィノグラードフ:1989年5月1日就役
アドミラル・パンテレーエフ:1992年5月1日就役
[北方艦隊]
ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ:1982年2月9日就役
セヴェロモルスク:1987年12月30日就役
アドミラル・レフチェンコ:1989年5月1日就役
アドミラル・チャバネンコ(11551):1999年1月28日就役
現在、北方艦隊の大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」は長期修理中です。
[ロシア海軍の大型対潜艦アドミラル・チャバネンコはオーバーホールの第1段階を終えた]

太平洋艦隊所属艦では、「アドミラル・トリブツ」が近代化改装を行なっています。
[近代化改装を終えた大型対潜艦アドミラル・トリブツは2016年7月にロシア海軍太平洋艦隊へ復帰する]

プロジェクト1155/11551大型対潜艦の近代化の話は、2013年3月に初めて出てきました。
[ロシア海軍はウダロイ級を近代化する]
2015年7月、当時のロシア海軍総司令官ヴィクトール・チルコフ大将は、近代化されるプロジェクト1155/11551大型対潜艦が新たな有翼ミサイル「カリブル」と「オーニクス」を搭載すると発言しました。
[ロシア海軍のプロジェクト1155大型対潜艦(ウダロイ級)は近代化改装により新型有翼ミサイルを搭載する]
ロシア海軍は2021年までに6隻のプロジェクト1155大型対潜艦の近代化改装を計画しておりますが、2016年4月から近代化改装を開始した「マルシャル・シャーポシニコフ」の新たな装備兵器リストに「カリブル」と「オーニクス」は無く、対艦ミサイル「ウラン」が搭載される事になりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフは近代化改装によりウラン対艦ミサイルを装備する]
そして今回、ロシア造船業界の総元締である『統合造船業営団』の副総裁イーゴリ・ポノマリョフ氏は、プロジェクト1155/11551大型対潜艦への「カリブル」と「オーニクス」の装備を事実上否定しました。
そのような近代化改装を行なう事は可能ではあるが、費用対効果から見ても割に合わず、そんな事をするくらいなら新しく艦を建造した方が良いと。
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