ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは地中海遠征の準備を行なっている

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2016年7月2日17時50分配信
【航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」は地中海への遠距離航海を準備する】
セヴェロモルスク、7月2日-ロシア通信社ノーボスチ
航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」は、2016年秋に予定されている地中海への遠距離航海の準備を始めた。
土曜日、ロシア通信社ノーボスチは北方艦隊司令部の高位の情報提供者より伝えられた。
「同艦の航海は今年秋に計画されています。
現在、乗組員は、遠距離航海及び兵器使用の準備を想定した錬成任務K1、K2、K3へ移行しています」
対談者は話した。
彼は、この段階が完了した後、乗組員は護衛艦グループを構成して隊列を組んだ航行の課題へと移行する事を強調した。
「この為にアドミラル・クズネツォフは戦闘訓練射爆場へ向かい、対機雷、対潜防衛任務、更には他の任務へ取り組む為、1~2隻の北方艦隊の駆逐艦或いはフリゲート型(註:大型対潜艦)の水上艦が同行します」
対談者は話した。
彼は、これらの任務を完了し、更には航空機Su-33、Su-25、MiG-29Kの訓練を終えた後でのみ、遠距離航海の準備が整う事を強調した。
現在、北方艦隊の艦上飛行士は、クリミアの航空シミュレータ「ニートカ」での任務への取り組みを完了している。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]
ニコラエフ(ウクライナ)の黒海造船工場で1982年9月1日に起工され、1985年12月4日に進水し、1991年1月20日に当時のソ連海軍へ就役した重航空巡洋艦「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフ」は、同年12月末に黒海から北方艦隊基地へ回航され、以後、同艦隊で運用されています。
「アドミラル・クズネツォフ」は、これまでに7回の遠距離航海を実施しており、最近では、2013年12月17日から2014年5月18日までの5ヶ月間に渡る大西洋・地中海遠征を実施しています。
[空母アドミラル・クズネツォフ第5次地中海遠征(2013年12月-)]
2015年5月-8月には、ロスリャコヴォの大型浮きドックPD-50へ入渠し、普段は海水に浸かっている艦底部分(吃水線から下の部分)の修復作業が行なわれました。

[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックを出る]
2015年10月-11月にはバレンツ海で演習を行ないました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフは抜錨した]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフはバレンツ海で訓練を続ける]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフは海上目標へ艦対空ミサイルを発射した]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフはバレンツ海で防空演習を始めた]
その後、ムルマンスク市北方の第35艦船修理工場でメンテナンスと修理(技術的準備状態の回復)が行なわれました。

[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは就役25周年を祝った]
「アドミラル・クズネツォフ」の搭載機の近代化は進められており、以前からの艦上戦闘機Su-33(寿命延長改修済み)に加え、新たに発注された艦上戦闘機MiG-29K/KUBは2015年末までに契約分全機(24機)が納入されています。
(2013年末に4機、2014年末に10機、2015年末に10機納入)
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは新型艦上機により近代化される]
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの為の艦上戦闘機MiG-29K/KUBは契約分全機(24機)の納入を完了した]
艦上戦闘機MiG-29K/KUBを装備する第100独立艦上戦闘機航空連隊は2015年末に創設され、現在はクラスノダール地方のエイスクに在る艦上戦闘機発着訓練施設(新ニートカ)で錬成訓練を行なっています。
[ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグ上級大将はエイスクのロシア海軍飛行訓練センター(新ニートカ)を視察した]
[MiG-29K/KUBで編成されたロシア海軍の新たな艦上戦闘機航空連隊は本格的な戦闘訓練飛行を始めた]
ただ、一部のMiG-29K/MiG-29KUBは、クリミア半島のサキ飛行場に在る艦上戦闘機発着訓練施設(旧ニートカ)へ進出して訓練を行なっているようです。
以前からの搭載機部隊である第279独立艦上戦闘機航空連隊(艦上戦闘機Su-33)は、2016年4月末から6月下旬までクリミア半島のサキ飛行場に在る艦上戦闘機発着訓練施設(旧ニートカ)で訓練を行ないました。
[ロシア海軍航空隊の艦上戦闘機Su-33はクリミア半島の訓練複合体ニートカでの発着訓練を完了した]
「アドミラル・クズネツォフ」は6月15日に第35艦船修理工場の岸壁を離れ、コラ湾(セヴェロモルスク沖泊地)へ進出しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフはムルマンスク修理工場岸壁を離れ、コラ湾へ進出した]
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは海上での訓練後にムルマンスク艦船修理工場へ戻る]
6月21日、「アドミラル・クズネツォフ」はバレンツ海へ出航し、対空防衛演習を実施しました。
[ロシア海軍北方艦隊の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフはバレンツ海へ出航し、対空防衛演習を行なった]
7月1日、「アドミラル・クズネツォフ」はバレンツ海で搭載機の飛行訓練を開始しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機の飛行訓練が始まった]
「アドミラル・クズネツォフ」は、今年(2016年)秋に地中海東部への遠征が計画されています。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2016年秋に新たな艦上戦闘機と共に地中海東部へ行く]
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは2016年10月以降に地中海東部へ行く]
地中海東部へ進出した「アドミラル・クズネツォフ」は、シリア領内のISIL(イラク・レバントのイスラム国)への空爆作戦へ参加します。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは2016年10月から2017年1月までISIL(イラク・レバントのイスラム国)への空爆作戦へ参加する]
地中海東部への遠征の準備の為、「アドミラル・クズネツォフ」乗組員の訓練も進められています。
今回の記事で触れられている錬成任務K1、K2、K3とは、以下の内容を指しています。
K1:艦の戦闘及び出航の組織的な準備
K2:艦の組織的な航行
K3:戦闘行動の実施
錬成任務K1、K2、K3を終えた後、北方艦隊の駆逐艦(アドミラル・ウシャコーフ)や大型対潜艦と共に艦隊行動の訓練が行なわれます。
今年10月以降の地中海遠征から戻った後、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装が始まります。
同艦の近代化改装も、ムルマンスクの第35艦船修理工場で実施される事になります。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年初頭から始まる]
[ムルマンスクの第35艦船修理工場はロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為にドックを拡張する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により兵装を変更する]
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