ロシア海軍の艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランは空母アドミラル・クズネツォフへ搭載される
- カテゴリ:ロシアの艦載ヘリコプター

『イズベスチヤ』より
2016年7月5日0時1分配信
【「アドミラル・クズネツォフ」は「ミストラル」の機能を引き継ぐ】
航空巡洋艦には打撃の翼・ヘリコプターKa-52Kが配置される。

航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」には、沿岸ゾーンにおける戦闘へ使用する為の同艦の能力を大幅に拡大する攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」が配置される。
それは海洋揚陸部隊の上陸を支援し、200kmまでの距離で陸上部隊グループの為の任務を果たす。
元(ロシア)国防省軍備部長アナトーリー・シトノフが『イズベスチヤ』へ伝えたように、更新された航空団を伴う航空巡洋艦の今年末の次なる地中海航海において、この決定の有効性が示される。
「巡洋艦へ配置される戦闘機MiG-29K/KUBとヘリコプターKa-52Kの組み合わせは、巡洋艦の戦闘能力を増加させ、より広範囲の任務への使用が可能となります」
アナトーリー・シトノフは話した。

ヘリコプターの登場により、艦は空中援護のみならず、「典型的な」航空母艦が行なっているように敵領域の沿岸の奥の目標への打撃任務を果たす事が出来るし、「ミストラル」型揚陸艦の特性である近海-沿岸ゾーンでの作業を支援する事も出来る。
例えば、海洋揚陸部隊の上陸支援の為、小型船や小型艇を破壊し、敵の沿岸インフラを制圧する。
「クズネツォフ」には、世界中の他の航空母艦には例が無い30機の攻撃ヘリコプターが配置される事になるだろう。
専門家によると、これは全て、我々の海軍へのフランス製大型揚陸ヘリコプター母艦の登場により実現が可能となった。
しかし、西側の制裁方針により、ロシアは、このクラスの2隻の艦を受領できなかった。
今日、これらはエジプトへ引き渡された。

しかしながら、公開株式会社『カモフ』設計主任セルゲイ・ミヘーエフが『イズベスチヤ』へ話したように、フランスとの契約は、新たな国産艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」の作成を後押しした。
「カモフのヘリコプターは、伝統的に海軍の為に作成されてきました」
ミヘーエフは強調した。
「同軸方式は、他のものよりも、この為に適しています。
テイルローターでは無い我々の機体は、制限された空間での安定した操縦性のみならず、あらゆる気象条件下、嵐の中でも発着艦を可能にします。
カトランについて我々は、制限された空間へ配置する為の幾つかの課題を解決しました:折り畳み式のブレードと翼、湿度の問題の解決。
その結果、外見は陸上ヴァージョンと似ているものの、完全に新しい火力支援ヘリコプターを受け取りました」
設計者によると、「新しい」短縮折り畳み翼のヘリコプターは、甲虫のように、その翼を背負い式に折り畳んで収める。
新たな円筒軸は、機体のブレードを折り畳み、格納庫内での「カトラン」の占有場所の節約を可能にする。
空調システムは、湿った海上という条件下の空中でのエンジンの連続稼働を保障する。
しかし、陸上ヴァーションの機体~Ka-52「アリガートル」と比較して最も重要な変更点は、「カトラン」の戦闘能力に在る。
「陸上の」Ka-52は「空飛ぶ戦車」と呼ばれている。
強力な装甲の保護と、威力の大きな兵器による撃破は、BMPが行なう事と似ている。
ヘリコプターは、敵の戦車や装甲車両、ヘリコプターや装甲された要塞との戦闘において、等しく効果的な兵力である。
その30mm速射機関砲、超音速誘導ロケット「アターカ」と「ヴィーフリ-1」、80mm無誘導ロケット発射機S-8は、ほぼ歩兵戦闘車両と同等である。
しかし「アリガートル」は3点懸垂兵装を有しており、「カトラン」は1つだけである。
しかし、それ自体が強化されており、1トンまでの負荷に耐える事が出来る。
それは、設計者へヘリコプターが使用する兵器の搭載量の拡大を促し、更に多くのものと、そして対艦機能が付与された。
この課題の為、新たな機体には2つの現代的な有翼ミサイル:Kh-31とKh-35が適合された。
前者(Kh-31)は、プロジェクト956「ソブレメンヌイ」型駆逐艦の兵装である超音速対艦ミサイル3M-80「モスキート」の小さなコピーである。

ミサイルは超音速であり、事実上は海面上である高度3~5メートルを飛翔するが故に、電波位置特定装置(レーダー)で探知する事は不可能であり、目標へ100kg爆発破片弾頭を届ける。
Kh-35は、艦載或いは沿岸移動複合体「バル」をベースとする。

その特徴は受動型誘導方式にある。
飛翔中にミサイルは目標探知スペースを「スキャン」しておらず、目標からの信号を受信する~実際には、全ての飛翔は「電波封鎖」モードで行なわれるが故に、電波位置特定装置(レーダー)で探知する事は不可能である。
当初、アメリカはKh-35の購入を望んでいた~アメリカ合衆国は、国産ミサイルAGM-84「ハープーン」にKh-35の弾頭の誘導装置の設置を計画していた。
ヘリコプターの近代化の枠組みにおいて、更に魚雷兵装の装備の可能性が検討されている。
「航空機とは対照的に、ヘリコプターは、より集約して使用する事が出来ます」
アナトーリー・シトノフは言った。
「ヘリコプターは、航空機よりも素早く甲板から離着艦し、それは、敵に対し、より重大な圧力を作りだす事を可能にします」
地中海への同艦(アドミラル・クズネツォフ)の到着により、我々(ロシア)は、シリアにおける事実上第2の航空基地を開設する事になる。

艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」(空軍のKa-52「アリガートル」の艦載機型)の試作1号機は、2015年3月7日に沿海地方で初飛行しました。
[ロシア海軍の艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kの試作1号機が初飛行した]
Ka-52Kは、元々はロシアがフランスへ発注した2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の搭載機として開発されたのですが、フランスはウクライナ情勢に関連して艦の引き渡しを凍結しました。
2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンとフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
しかし、「ミストラル」級の動向とは関係なしにKa-52Kの開発と生産は続行されています。
[ロシア海軍の為の艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kの開発と生産は続行される]
Ka-52Kには、対艦ミサイルKh-35(ウラン)及び対レーダー/対艦ミサイルKh-31の運用能力が付与されます。
[ロシア海軍の為の艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kは対艦ミサイルの運用能力を付与される]
[ロシア海軍の艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランは最新鋭の目標探知システムを装備する]
そして結局、「ミストラル」級ヘリ空母へ搭載される筈だったKa-52Kは、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」へ搭載されることになりました。
ロシア連邦国防相代理ユーリー・ボリソフ氏も、7月1日に沿海地方の『アルセーニエフ航空機会社N.I.サズーキン記念「プログレス」』(Ka-52の製造会社)を訪問した後、艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」が今年に航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」へ搭載されると述べています。
『タス通信』より
2016年7月1日9時12分配信
【ボリソフ:2020年までに(ロシア)軍は140機以上のヘリコプターKa-52を受け取る】
重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は、2016年6月下旬からバレンツ海で訓練を開始し、7月1日以降は艦載機の飛行訓練も行われています。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機の発着艦訓練が始まった]
「アドミラル・クズネツォフ」は、今年(2016年)秋に地中海東部への遠征が計画されています。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2016年秋に新たな艦上戦闘機と共に地中海東部へ行く]
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは2016年10月以降に地中海東部へ行く]
地中海東部へ進出した「アドミラル・クズネツォフ」は、シリア領内のISIL(イラク・レバントのイスラム国)への空爆作戦へ参加します。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは2016年10月から2017年1月までISIL(イラク・レバントのイスラム国)への空爆作戦へ参加する]
この時にKa-52Kの実戦テストも行なわれるようです。
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