ロシア海軍は大型水上艦の原子力化を推し進める

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『Lenta.Ru』より
2016年7月5日18時21分配信
【ロシア海軍は原子力推進への完全移行を考えている】

防衛産業ロシア海軍は、全ての1等及び2等戦闘艦への原子力推進の装備を検討している。
『Lenta.Ru』防衛産業の情報提供者より伝えられた。
この判断は、原子力推進の開発と生産はロシアで確立されており、外国からの供給に依存していない事に関連する。

「これは、排水量4000トン(フリゲート)から80000トン以上(航空母艦)の水上艦への出力40メガワットから200メガワットの統一機関のライン作成についての話です。
必要なサイズの原子炉に関して、我々は既に有しているか、或いは開発中です」

対談者は伝えた。
「海軍が今後20年間に必要とする1等艦及び2等艦は40隻程度であると推察される事を考えますと、この数量の機関の生産は、さほど困難な事ではありません」

専門家は更に、3等艦及び4等艦(註:コルベット、哨戒艦、小型ロケット艦)、及び揚陸艦には、既にロシアでの生産が確立されているディーゼル機関を装備する事が出来ると指摘した。
ディーゼルエンジンは更に、1等艦及び2等艦の補助動力装置として使用する事も出来る。

対談者によると、ソヴィエト社会主義共和国連邦時代から数十年間に渡り、戦闘艦の為のガスタービン動力装置の生産を展開していたウクライナとの関係の断絶により引き起こされる損害は、短期間で復旧する事は非常に困難である。
「ソヴィエト時代の艦の老朽化を考慮すると、艦は今建造する必要があり、我々には待っている時間は有りませんし、建造計画はウクライナとの関係の速やかな復活を考慮する事も出来ないでしょう。
このような条件下において、新たな原子力機関の開発は、最低限の予防措置となります」

情報提供者は付け加えた。

現在、ロシア原子力推進装置は、重巡洋艦、潜水艦(ロシア連邦海軍の為の2011-2020年の国家軍備プログラムの枠組みにおいて15隻の原子力潜水艦の建造が計画されている)、そして砕氷船に使用されている。
特に、先進砕氷船プロジェクト22220には、新世代原子炉の基礎となるRITM-200が装備され、一部の専門家は、これを新たな1等艦の原子力推進装置のプロトタイプと言っている。
以前、海軍は将来の航空母艦大洋ゾーン戦闘艦「リデル」型の為に最も望ましいと考えられる原子力推進を選択したと報じられた。

ロシア海軍の為に建造されている2等艦(フリゲート)ガスタービン推進装置を装備する事になっていたが、ウクライナとの軍事技術協力の断絶は、新たなフリゲート・プロジェクト22350「間に合わせの」プロジェクト11356艦の導入時期への疑問を提示した。


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現在、ロシア海軍の水上艦で原子力推進(原子力蒸気タービン機関)を採用しているのは、「重巡洋艦」プロジェクト11442重原子力ロケット巡洋艦のみです。

現時点で稼働状態に在る11442は、北方艦隊「ピョートル・ヴェリキー」ただ1隻です。
[重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーはロシア海軍北方艦隊の演習へ参加する]

この他、「アドミラル・ナヒーモフ」が大規模な近代化改装を行なっています。
[ロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦アドミラル・ナヒーモフの近代化改装の為の新たな大型クレーンが導入された]


将来に目を向けると、今後に建造される将来航空母艦及び将来駆逐艦「リデル」級は、原子力推進となる事がほぼ確定しています。
[ロシア将来航空母艦]
[ロシア将来駆逐艦プロジェクト「リデル」]

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将来正規空母は、さる2016年6月16日にサンクトペテルブルク『バルト工場』で進水した新型原子力砕氷船「アルクチカ」と同型の原子炉RITM-200を搭載するようです。
おそらくは将来駆逐艦「リデル」級も同様でしょう。
[ロシア海軍将来原子力空母は原子炉RITM-200を搭載するかもしれない]
[ロシア海軍将来正規空母と将来駆逐艦リデル級は同型の原子力機関を搭載する]


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一方、現在建造中のロシア海軍の新型フリゲート・プロジェクト22350及びプロジェクト11356Rガスタービンエンジンは、ロシアウクライナの共同開発・共同生産であり、主な部品はロシアで製造し、最終組立はウクライナで行なわれていました。

しかし、2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナロシアの関係も悪化し、ガスタービンエンジンに関する「分業体制」も瓦解しました。
[ロシア海軍の新型フリゲートの建造は停滞する]
[ロシアはガスタービンエンジン供給中止に関してウクライナを訴える]

現在、プロジェクト22350は1~2番艦、プロジェクト11356は1~3番艦までのガスタービンエンジンしか供給されておらず、それ以降の艦のエンジンは未だありません。

この為、現在、ロシア国内でのガスタービンエンジン生産体制が構築中であり、2017年末以降から生産が始まります。
[ロシア海軍の艦艇には完全国産のガスタービンエンジンが提供される]
[ロシア海軍最新鋭フリゲート・プロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)3番艦以降の為のロシア製ガスタービンは2017年末から供給を開始する]


しかし、今回の記事に登場する「防衛産業の(匿名の)情報提供者」は、ガスタービンが当てにならないのでフリゲートも原子力推進化すべきであると言っています。
この「情報提供者」氏は、ガスタービン機関(の供給体制)には全く信頼を置いていないようです。
(ロシアの船舶用原子炉を開発・製造しているニジニ・ノヴゴロド市の『I.I.アフリカントフ記念実験機械製造局』の関係者?)
それよりも、ロシア国内で長年の開発・製造の実績がある原子力推進へ切り替えるべきであると・・・
同氏の発言内容を見るに、ロシア海軍部内にも、彼と同じ考えの高位の士官が居るようです。


ただ、現時点において、4000トン級原子力フリゲートの具体的な開発・建造計画は存在しませんが・・・
(今回の「情報提供者」氏の発言を見る限り、原子力フリゲートには出力40メガワットの原子炉の使用を想定しているようですが・・・)


プロジェクト22350フリゲートに関しては、近代化型のプロジェクト22350Mの計画も有りますが、これは兵装や電子機器を変更したものであり、機関の変更までは考えられていません。
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