ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフはハワイ沖へ現れた

『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2016年7月18日17時34分配信
【大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラードフ」は太平洋演習『リムパック』海域で目撃された】
ロシアの大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラードフ」は、国際海軍演習『リムパック-2016』実施海域へ出現した。
アメリカ合衆国海軍研究ポータルは、同国海軍の代理人の談話を引用して伝えた。
『Lenta.Ru』が伝えたように、「アドミラル・ヴィノグラードフ」は、7月16日~17日、ハワイ付近の公海上で数回に渡り、汎用揚陸艦「アメリカ」、更には、揚陸輸送ドック艦「サンディエゴ」へ同行した。
アメリカ合衆国海軍の代理人は、ロシア船員の行動には何ら不満が無い事を指摘した。
ロシアは、演習『リムパック-2016』には参加していないが、ロシア海軍の艦による観察は行なわれている。
7月初頭にアメリカ合衆国海軍研究ポータルが伝えたように、この海域へ偵察艦SSV-80「プリバルチカ」が出現した。
演習『リムパック-2016』は6月30日から8月4日までハワイ諸島及びカリフォルニア南方沿岸海域で実施される。
この演習は定期的にアメリカ合衆国が組織している。
現在、演習には45隻の艦船、5隻の潜水艦、200機以上の航空機およびヘリコプターが参加し、25000名以上の将兵が関わっている。
演習には、アメリカ合衆国、中国、ヨーロッパの一部の国-NATO加盟国(初参加のドイツ、デンマーク、イタリアを含め)、更にはアジア太平洋地域諸国を含めた26か国からの代表が派遣されている。
アメリカ合衆国および中国からは大規模な艦艇部隊が派遣されている。
2012年、ロシア海軍の艦船は、初めて、そして現時点では最後に演習『リムパック』へ参加した。
2014年、ワシントンがウクライナ情勢を理由に軍事分野でのモスクワとの協力を停止した為、演習は彼等(ロシア)抜きで実施された。
プロジェクト1155「フレガート」大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラードフ」は、このタイプの10隻目である。
1989年に太平洋艦隊へ導入された。
2009年には、アフリカの角沿岸でのソマリア海賊との戦いへ参加した。
[大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフ遠距離航海(2016年3月-)]
大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラードフ」を中核とする太平洋艦隊艦船支隊は、2016年3月末(3月26日頃?)にウラジオストクを出航しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフは遠距離航海へ出発した]
[太平洋艦隊艦船支隊]
指揮官:アレクサンドル・ポタポフ1等海佐
大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラードフ」
救助曳船「フォーチー・クルイロフ」
中型海洋給油船「イルクト」

3月28日に対馬海峡を通過し、この際のロシア海軍の慣例として、ロシア-日本戦争中の1905年5月27日のツシマ沖海戦(日本海海戦)のロシア海軍の戦死者の追悼式典を開催し、花輪を投下しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフ支隊は対馬海峡を南下した]
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフ支隊はツシマ沖海戦の戦死者を追悼した]

「アドミラル・ヴィノグラードフ」支隊は、各種演習を実施しながらインドネシアへ向かいました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフは太平洋上で演習を実施した]
4月11日にインドネシアのパダンへ到着しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフは国際演習『コモド-2016』へ参加する為にインドネシアを訪れた]
4月12日、アジア太平洋地域国際海軍演習『コモド-2016』が始まりました。
【国際海軍演習『コモド』公式サイト】
[ロシア海軍太平洋艦隊が参加する国際海軍演習『コモド-2016』が始まった]
4月14日、「アドミラル・ヴィノグラードフ」支隊を含めた演習参加艦はパダンを出航し、演習実施海域へ向かいました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフは国際演習『コモド-2016』実施海域へ向かった]
アジア太平洋地域国際海軍演習『コモド-2016』は4月16日に終了しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフが参加した国際演習『コモド-2016』は終了した]
その後、「アドミラル・ヴィノグラードフ」支隊はカンボジアへ向かい、4月24日から27日までシアヌークビル港を訪問しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフはカンボジアのシアヌークビルを訪れた]
5月1日、ASEAN(東南アジア諸国連合)の国際海軍演習『ADMMプラス-2016』へ参加する為、ブルネイのムアラ港を訪れました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊はASEAN諸国の国際演習『ADMMプラス-2016』へ参加する]
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフは国際海軍演習『ADMMプラス-2016』へ参加する為にブルネイを訪れた]
国際海軍演習『ADMMプラス-2016』は、5月2日から10日までブルネイ及びシンガポール沖海域で実施されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフは国際海軍演習『ADMMプラス-2016』へ参加する]
5月8日、「アドミラル・ヴィノグラードフ」支隊はシンガポールを訪問しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフはシンガポールを訪れた]
5月10日以降にシンガポールを去り、5月18日から22日までミャンマーのティラワ港(Myanmar International Terminals Thilawa:MITT)を訪れました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフはミャンマーのティラワ港(MITT)を訪れた]
ミャンマーを去った後、南シナ海へ戻り、更に東シナ海を北上し、6月9日には尖閣諸島の接続水域(領海の外縁の海域)を航行しました。
同日には中国海軍の艦も尖閣諸島の接続水域へ入っています。

その後の「アドミラル・ヴィノグラードフ」支隊の動向は一切公表されず、ウラジオストクへ戻る事も無く、6月下旬から実施された太平洋艦隊のオホーツク海演習にも参加しませんでした。
それから1ヶ月以上が経ち、「アドミラル・ヴィノグラードフ」支隊は、ハワイ沖に現れました。
つまり、尖閣諸島を通った後、進路を東へ転じて太平洋上を進み、ハワイ沖へ行ったという事でしょう。
記事中で触れられていますが、ロシア海軍は、2012年7月29日から8月7日に実施された環太平洋国際海軍演習『リムパック-2012』へ初めて参加しています。
[ロシア太平洋艦隊艦艇部隊は環太平洋演習リムパック-2012へ参加する為にハワイへ向かった]
[ロシア海軍リムパック参加部隊は帰港した]
現在の所、ロシア海軍の演習『リムパック』への参加は、これが最初で最後となっております。
環太平洋国際海軍演習『リムパック』は2年に1度実施されており、今年(2016年)が実施年となりますが、今回、演習に参加しないロシア海軍は、偵察艦SSV-80「プリバルチカ」をハワイ沖へ派遣しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の偵察艦SSV-80プリバルチカはハワイ沖に現れた]
そして更に、ミャンマーから戻ってくる途中の「アドミラル・ヴィノグラードフ」支隊もハワイ沖へ向かわせました。

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