ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はスペイン領セウタへの寄港を取りやめた

『タス通信』より
2016年10月26日19時48分配信
【(ロシア)国防省は、スペインの港への「アドミラル・クズネツォフ」寄港計画についての憶測に反論した】
モスクワ、10月26日/タス通信
ロシア連邦国防省は、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」が燃料補給のためにスペインのセウタ港への寄港を計画していたなどという海外メディアの憶測に反論した。
「重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフが燃料補給を行なう為にセウタ港へ寄港するという如何なる要望もロシア国防省からスペイン当局には送られてはおりません」
ロシア国防省公式代理人イーゴリ・コナシェンコフ少将は表明した。
彼は「ロシア航空艦グループは、大洋ゾーン及び遠海ゾーンにおいて任務を遂行する為に必要な物資のリソースを完全に確保している」事を指摘した。
同時に、ジブラルタル海峡を通過した後、ロシア軍当局が、ロシア艦グループを構成する個々の艦あるいは支援船の業務寄港についてスペイン側と合意する事は考えられるとコナシェンコフは話した。
「今日、スペイン指導部の代理人は、アメリカ合衆国およびNATOの圧力が故に、ロシア艦のセウタ港への寄港は不適切であると伝えてきました。
このような状況は、航空艦グループの承認航路上の移動計画には何の影響も与える事はありませんがね」
軍当局の代理人は強調した。
以前、スペイン外務省は、ロシアは巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」率いる北方艦隊空母群のセウタ港への寄港の要望を取り下げたと発表した。
外交当局が声明で指摘したように、スペイン政府は9月に、3隻のロシア艦が10月28日から11月2日に寄港する事を許可していた。
ロシア大使館は「ロシア艦船はルートを変更した」と伝えた。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-)]
ロシア海軍北方艦隊の重航空巡洋艦(空母)「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする機動部隊は、2016年10月15日にセヴェロモルスクを出航し、地中海東部(シリア沖)へ向かいました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは地中海遠征へ出発した]
今回の「ロシア海軍空母機動部隊」は、以下の艦で構成されています。
[北方艦隊航空艦グループ]
重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」
重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」
大型対潜艦「セヴェロモルスク」
大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」
大型海洋給油船「セルゲイ・オシポフ」
救助曳船「ニコライ・チケル」
10月17日にはノルウェーのトロンヘイム沖を航行していました。

「ロシア海軍空母機動部隊」は、10月19日午前にノルウェー沖の公海上で艦載機の飛行訓練を開始しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機はノルウェー沖で飛行訓練を始めた]
「ロシア海軍空母機動部隊」はブリテン本土付近へ接近する為、ブリテン海軍は、同部隊を監視する為の艦を派遣しました。
[ブリテン海軍は英本土付近を通過するロシア海軍空母機動部隊を監視する為の軍艦を差し向ける]
[ロシア海軍のアドミラル・クズネツォフ機動部隊は英本土へ接近する]
[ブリテン海軍はロシア海軍空母機動部隊を監視する為に駆逐艦2隻とフリゲート1隻を派遣する]
10月21日、「ロシア海軍空母機動部隊」はラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過した]
10月24日にはポルトガル沖を航行していました。
10月25日にジブラルタル海峡を通過しました。
その後、ロシア航空艦グループは北アフリカのスペイン領セウタへの寄港を予定していたようですが、スペイン側は、土壇場になって寄港許可を取り消す動きを見せました。


『タス通信』より
2016年10月26日10時33分配信
【メディア:スペインはロシア連邦北方艦隊の艦船の為のセウタへの寄港許可について再考する】
スペイン側が寄港許可を出し渋っている事に業を煮やしたロシアは、セウタへの寄港を諦めました。
『タス通信』より
2016年10月26日16時10分配信
【スペイン外務省はロシアがセウタへの艦船寄港の要望を取り下げたと表明した】
「アドミラル・クズネツォフ」部隊は、セウタを素通りして地中海を東へ進むようです。

なお、セウタへのロシア海軍の艦の寄港自体は何ら珍しい事では無く、今月(2016年10月)には、3隻の水上艦が寄港しています。
10月7日:バルト艦隊の警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」寄港。

10月16日:黒海艦隊の小型ロケット艦「ゼリョヌイ・ドル」と「セルプホフ」が寄港。
では、何故、今回の「アドミラル・クズネツォフ」部隊には寄港許可を出し渋ったのかと言えば、同部隊がシリアへの空爆作戦へ参加する可能性が高いからです。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは2016年10月から2017年1月までISIL(イラク・レバントのイスラム国)への空爆作戦へ参加する]
スペインも加盟しているNATOは、今回の「アドミラル・クズネツォフ」部隊の動きに何度も懸念を表明しています。
今回、「アドミラル・クズネツォフ」は、艦上戦闘機Su-33、艦上戦闘機MiG-29KR/KUBR、艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kなどを搭載しています。
MiG-29KR/KUBRとKa-52Kは、今回の地中海遠征で初めて搭載された機体です。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフへ新たな艦載機・艦上戦闘機MiG-29Kと艦上ヘリコプターKa-52Kが加わる]
「スモレンスク赤旗授与・ソ連邦英雄2度受賞ボリス・サフォーノフ記念第279独立艦上戦闘機航空連隊」の艦上戦闘機Su-33は、最近になって地上攻撃能力が付与されました。
[ロシア海軍航空隊の艦上戦闘機Su-33は地上攻撃の為の新たなシステムを装備する]
第100独立艦上戦闘機航空連隊の艦上戦闘機MiG-29KR/KUBRは、2015年末までに24機が納入されており、今年8月8日に初めて「アドミラル・クズネツォフ」へ着艦しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフへ初めて艦上戦闘機MiG-29KRが着艦した]
「アドミラル・クズネツォフ」には、艦上戦闘機MiG-29KR/MiG-29KUBRを運用する為の新たな慣性航法システムが装備されています。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは艦上戦闘機MiG-29K/KUBを運用する為の新型システムを搭載する]
艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」は、数機の試作機が「アドミラル・クズネツォフ」に搭載されています。
[ロシア海軍の艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランは空母アドミラル・クズネツォフへ搭載される]
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