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地中海東部のロシア海軍空母部隊の大型対潜艦は接近するオランダの潜水艦を発見した

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『タス通信』より
2016年11月9日16時41分配信
【ネーデルラントの潜水艦は地中海のロシア連邦海軍空母群への接近を試みた】
モスクワ、11月9日/タス通信

ネーデルラント海軍潜水艦は、11月9日午前に地中海ロシア海軍空母群への接近と追跡を試みた。
ロシア連邦国防省の公式代理人イーゴリ・コナシェンコフ少将は発表した。

「モスクワ時間で本日・11月9日6時50分、地中海東部の大型対潜艦セヴェロモルスクとヴィツェ・アドミラル・クラコーフで構成される捜索打撃艦グループは、北方艦隊の航空艦グループを追跡する為に接近を試みたネーデルラント海軍のディーゼルエレクトリック潜水艦(おそらくは「ワルラス」)を発見しました」
コナシェンコフ
は話した。

彼によると、「セヴェロモルスク」「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は、自身の水中音響複合体(ソナー)対潜ヘリコプターKa-27PLにより、潜水艦を距離20キロメートルで探知した。

「潜水艦の進路変更の試みにも関わらず、安定した水中音響(ソナー)接触が確立されました。
艦は長時間に渡り追尾と進路変更を行ない、航空艦グループが居る海域からの離脱を余儀なくされました」
コナシェンコフ
は説明した。

「ロシア艦グループの至近における危険な航行という、かかる不器用な試みは、重大な航行事故に繋がる恐れがあります」
軍当局の代理人は強調した。

同時に彼は、このようなエピソードは、ロシア海軍航空艦グループ対潜部隊の組織的な対潜防衛への取り組みによって初めて可能となったと述べた。

「潜水艦の発見と進路変更の際、艦の対潜戦闘班とヘリコプターKa-27乗員は、航行中のデータ交換の為の戦闘演習へ取り組んでいました。
ロシア海軍航空艦グループの対潜部隊は、組織的対潜防衛の課題に関する訓練を効果的に実施しました」

彼は話した。

[NATOの潜水艦]
地中海
への航路上でロシア海軍空母群は、アメリカ合衆国海軍原子力潜水艦ヴァージニアの行動記録を含め、定期的にNATO潜水艦を発見してきたとコナシェンコフは言った。

「北方艦隊艦船支隊の航海期間全てにおいて、定期的に航路上を移動するNATO海軍の潜水艦が発見されました。
11月初頭には、ロシア艦船の追跡を試みた原子力潜水艦ヴァージニアの行動が記録されました」
コナシェンコフ
は話した。

「大きな排水量を有するこのクラスの潜水艦は、偵察活動を行なう為に意図されていない事は注目されます」
彼は指摘した。

更に国防省の代理人は、ロシア海軍空母群は、承認された航路上を移動中に全ての種類の防衛~対潜、対空、対艦、そして対水中工作~を行なっていると話した。

「ロシア海軍航空艦グループの近辺での外国海軍の水上艦、潜水艦、航空機の全ての試みは、リアルタイムモードで追跡しており、それは通常の海上実習であり、海上戦闘訓練の実地的要素であります」
コナシェンコフ
は説明した。

北方艦隊艦船グループは、10月15日に大西洋北東部及び地中海への航海へと向かった。
グループの構成には、ロシア唯一の航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」、重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、大型対潜艦「セヴェロモルスク」「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」、更には支援船が加わっている。



[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-)]

ロシア海軍北方艦隊重航空巡洋艦(空母)「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする機動部隊は、2016年10月15日にセヴェロモルスクを出航し、地中海東部(シリア沖)へ向かいました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは地中海遠征へ出発した]

今回の「ロシア海軍空母機動部隊」は、以下の艦で構成されています。

[北方艦隊航空艦グループ]
重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」
重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」
大型対潜艦「セヴェロモルスク」
大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」
大型海洋給油船「セルゲイ・オシポフ」
中型海洋給油船「ドゥブナ」
中型海洋給油船「カーマ」
救助曳船「ニコライ・チケル」


10月17日にはノルウェートロンヘイム沖を航行していました。
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「ロシア海軍空母機動部隊」は、10月19日午前にノルウェー沖の公海上で艦載機の飛行訓練を開始しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機はノルウェー沖で飛行訓練を始めた]

「ロシア海軍空母機動部隊」ブリテン本土付近へ接近する為、ブリテン海軍は、同部隊を監視する為の艦を派遣しました。
[ブリテン海軍は英本土付近を通過するロシア海軍空母機動部隊を監視する為の軍艦を差し向ける]
[ロシア海軍のアドミラル・クズネツォフ機動部隊は英本土へ接近する]
[ブリテン海軍はロシア海軍空母機動部隊を監視する為に駆逐艦2隻とフリゲート1隻を派遣する]

10月21日、「ロシア海軍空母機動部隊」ラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過しました。

[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過した]

10月24日にはポルトガル沖を航行していました。


10月25日にジブラルタル海峡を通過しました。


その後、ロシア航空艦グループ北アフリカスペイン領セウタへの寄港を予定していたようですが、スペイン側は、土壇場になって寄港許可を出し渋り、これに業を煮やしたロシアは、セウタへの寄港を諦めました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はスペイン領セウタへの寄港を取りやめた]

更には、地中海中部マルタも、自国港内でのロシア艦船への燃料補給を認めない事を表明しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは遠洋航海中に外国港を訪れる必要は無い]

ロシア海軍空母部隊は、10月27日から29日に掛けてアルジェリア沖で支援船(給油船「セルゲイ・オシポフ」、「ドゥブナ」、「カーマ」)から洋上補給を行ないました。
[ロシア国防相セルゲイ・ショイグはロシア海軍空母部隊の地中海遠征について語った]

11月3日にはアルジェリア東海岸沖で演習を行ないました。
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[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフはアルジェリア沖に居る]

その後、ロシア海軍空母部隊地中海を東へ進みました。


11月3日にセヴァストーポリを出航し、11月4日にボスポラス海峡を通過した黒海艦隊警備艦(フリゲート)「アドミラル・グリゴロヴィチ」も、現在はロシア海軍空母機動部隊へ加わっているようです。
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[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア沖へ向かった]

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ロシア海軍空母機動部隊は、11月9日にはロードス島の南東海域で訓練飛行を実施しました。
11月10日~15日、11月17日~22日の期間には、キプロス島シリアの間の海域で訓練飛行とミサイル発射を実施します。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ航空隊はシリアのアレッポ空爆を準備する]


そして11月9日、ロシア海軍空母機動部隊大型対潜艦「セヴェロモルスク」(619)「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」(626)は、接近するネーデルラント海軍潜水艦(ワルラス級)を発見しました。
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「ワルラス」級潜水艦(1992年~1994年に4隻就役)は、就役後、地中海、ペルシャ湾、アラビア海、カリブ海、アデン湾といったネーデルラント本土を遠く離れた海域で情報収集任務に従事していますので、地中海東部に居ても、何ら不思議ではありません。

大型対潜艦「セヴェロモルスク」は、今回の遠征前にムルマンスク第35艦船修理工場へドック入りしていましたが、この時に水中音響複合体(ソナー)MGK-355「ポリノム」のアップグレードも行われています。
[ロシア海軍は対潜艦のソナーのオーバーホールを実施する]

更にロシア国防省によると、11月初頭にはアメリカ海軍「ヴァージニア」級原子力潜水艦ロシア海軍空母機動部隊へ接近したとの事です。
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なお、ロシア側からは一切公表されていませんが、ブリテン『サンデータイムズ』紙によると、ムルマンスク地域に駐留するロシア海軍潜水艦3隻が地中海へ向かったとの事です。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2016年10月30日23時54分配信
【メディアは3隻のロシア潜水艦が地中海に出現すると報じた】
3隻の内訳は、2隻のプロジェクト971原子力潜水艦(アクラ級)と1隻のプロジェクト877潜水艦(キロ級)です。
当然、北方艦隊所属でしょう。


今回の地中海遠征「アドミラル・クズネツォフ」は、艦上戦闘機Su-33、艦上戦闘機MiG-29KR/KUBR、艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kなどを搭載しています。
MiG-29KR/KUBRKa-52Kは、今回の地中海遠征で初めて搭載された機体です。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフへ新たな艦載機・艦上戦闘機MiG-29Kと艦上ヘリコプターKa-52Kが加わる]

「スモレンスク赤旗授与・ソ連邦英雄2度受賞ボリス・サフォーノフ記念第279独立艦上戦闘機航空連隊」艦上戦闘機Su-33は、最近になって地上攻撃能力が付与されました。
[ロシア海軍航空隊の艦上戦闘機Su-33は地上攻撃の為の新たなシステムを装備する]

第100独立艦上戦闘機航空連隊艦上戦闘機MiG-29KR/KUBRは、2015年末までに24機が納入されており、今年8月8日に初めて「アドミラル・クズネツォフ」へ着艦しました。
MiG-29KR/KUBRは、対地攻撃用精密誘導兵器の運用能力を有しています。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフへ初めて艦上戦闘機MiG-29KRが着艦した]

「アドミラル・クズネツォフ」には、艦上戦闘機MiG-29KR/MiG-29KUBRを運用する為の新たな慣性航法システムが装備されています。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは艦上戦闘機MiG-29K/KUBを運用する為の新型システムを搭載する]

艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」は、数機の試作機が「アドミラル・クズネツォフ」に搭載されています。
[ロシア海軍の艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランは空母アドミラル・クズネツォフへ搭載される]

今回の「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、地上攻撃を念頭に置いた構成となっています。
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