重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーを中核とするロシア海軍空母機動部隊はシリア沖へ到着した

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2016年11月12日19時26分配信
【ロシア海軍空母群はシリア沖で演習を開始した】
エカテリンブルク、11月12日-ロシア通信社ノーボスチ
重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」に率いられる北方艦隊戦隊は地中海で演習を行なっている。
生放送番組プログラム『土曜日の営み』において同艦の艦長セルゲイ・アルタモノフ1等海佐は伝えた。

彼によると、航空艦グループは地中海東部の指定海域に留まり、(註:シリア駐留のロシア空軍機と)合同で任務を果たす為、シリア沿岸西方で演習を行なっている。
彼は更に、巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の艦上航空隊は、沿岸に位置する空港の1つ(註:ラタキアのフマイミーン航空基地)との連携行動へ取り組む為、フライトに着手していると伝えた。
「実際には4日間に渡り毎日フライトが実施されています」
アルタモノフは話した。
給油の為にロシア艦がセウタへ寄港する可能性についての最近の議論を取り巻く情勢についての話で、1等海佐は、同港への義務的な寄港は計画されていない事を指摘した。
「私共は、支援船の助けを受ける事無く航行しております」
アルタモノフは、こう話し、同艦の動きはスケジュール通りに続けられていると付け加えた。

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2016年11月12日19時29分配信
【シリア沖へ到着した「アドミラル・クズネツォフ」の航空隊はフライトを開始した】
エカテリンブルク、11月12日-ロシア通信社ノーボスチ
シリア沖に到着したロシア北方艦隊戦隊を率いる重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の艦上航空隊は、沿岸飛行場の1つとの連携行動への取り組みの枠組みにおいてフライトを開始した。
生放送番組プログラム『土曜日の営み』において同艦の艦長セルゲイ・アルタモノフ1等海佐は伝えた。
以前に報じられたように、原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」と重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」に率いられるロシア北方艦隊の空母群がシリア沖へ到着した。
「重航空巡洋艦の飛行甲板からのフライトが実施され、沿岸飛行場との連携行動へ取り組んでおります
実際には4日間に渡り毎日フライトが実施されています」
アルタモノフは話した。
次に、ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」艦長ウラジスラフ・マラホフスキー1等海佐は、外国の航空機がロシア艦へ接近していない事を指摘した。

「誰も我々の上空を飛んでいません。
皆、2隻の巡洋艦の威力と打撃力を良く理解しており、50キロメートル以内に接近する事を恐れていますよ」
マラホフスキーは「ピョートル・ヴェリキー」と「アドミラル・クズネツォフ」についての話で、こう説明した。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-)]
ロシア海軍北方艦隊の重航空巡洋艦(空母)「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする機動部隊は、2016年10月15日にセヴェロモルスクを出航し、地中海東部(シリア沖)へ向かいました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは地中海遠征へ出発した]
今回の「ロシア海軍空母機動部隊」は、以下の艦で構成されています。
[北方艦隊航空艦グループ]
重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」
重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」
大型対潜艦「セヴェロモルスク」
大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」
大型海洋給油船「セルゲイ・オシポフ」
中型海洋給油船「ドゥブナ」
中型海洋給油船「カーマ」
救助曳船「ニコライ・チケル」
10月17日にはノルウェーのトロンヘイム沖を航行していました。

「ロシア海軍空母機動部隊」は、10月19日午前にノルウェー沖の公海上で艦載機の飛行訓練を開始しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機はノルウェー沖で飛行訓練を始めた]
「ロシア海軍空母機動部隊」はブリテン本土付近へ接近する為、ブリテン海軍は、同部隊を監視する為の艦を派遣しました。
[ブリテン海軍は英本土付近を通過するロシア海軍空母機動部隊を監視する為の軍艦を差し向ける]
[ロシア海軍のアドミラル・クズネツォフ機動部隊は英本土へ接近する]
[ブリテン海軍はロシア海軍空母機動部隊を監視する為に駆逐艦2隻とフリゲート1隻を派遣する]
10月21日、「ロシア海軍空母機動部隊」はラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過した]
10月24日にはポルトガル沖を航行していました。
10月25日にジブラルタル海峡を通過しました。
その後、ロシア航空艦グループは北アフリカのスペイン領セウタへの寄港を予定していたようですが、スペイン側は、土壇場になって寄港許可を出し渋り、これに業を煮やしたロシアは、セウタへの寄港を諦めました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はスペイン領セウタへの寄港を取りやめた]
更には、地中海中部のマルタも、自国港内でのロシア艦船への燃料補給を認めない事を表明しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは遠洋航海中に外国港を訪れる必要は無い]
ロシア海軍空母部隊は、10月27日から29日に掛けてアルジェリア沖で支援船(給油船「セルゲイ・オシポフ」、「ドゥブナ」、「カーマ」)から洋上補給を行ないました。
[ロシア国防相セルゲイ・ショイグはロシア海軍空母部隊の地中海遠征について語った]
11月3日にはアルジェリア東海岸沖で演習を行ないました。

[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフはアルジェリア沖に居る]
その後、ロシア海軍空母部隊は地中海を東へ進みました。
11月3日にセヴァストーポリを出航し、11月4日にボスポラス海峡を通過した黒海艦隊の警備艦(フリゲート)「アドミラル・グリゴロヴィチ」も、現在はロシア海軍空母機動部隊へ加わっているようです。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア沖へ向かった]
ロシア海軍空母機動部隊は、11月9日にはロードス島の南東海域で訓練飛行を実施しました。
11月10日~15日、11月17日~22日の期間には、キプロス島とシリアの間の海域で訓練飛行とミサイル発射を実施します。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ航空隊はシリアのアレッポ空爆を準備する]
11月9日、ロシア海軍空母機動部隊の大型対潜艦「セヴェロモルスク」と「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は、接近するネーデルラント海軍の潜水艦(ワルラス級)を発見しました。
[地中海東部のロシア海軍空母部隊の大型対潜艦は接近するオランダの潜水艦を発見した]
11月10日にはキプロス島南東海域へ進出し、シリア上空へ作戦の事前調査の為に艦上戦闘機Su-33、艦上戦闘機MiG-29KR/KUBRを飛ばしています。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は作戦行動の事前調査の為にシリア上空を飛行する]

そして11月12日夕方、「アドミラル・クズネツォフ」艦長セルゲイ・アルタモノフ1佐がロシアのテレビ番組に「生出演」し、ロシア海軍空母機動部隊がシリア沖へ到着し、艦載機の飛行訓練を始めていると発言しました。
セルゲイ・アルタモノフ艦長は、「アドミラル・クズネツォフ」航空隊がシリア沿岸の飛行場(ラタキア近郊に配備されているロシア航空宇宙軍の航空機)と連携していると述べており、同艦の艦載機が既にシリア上空を飛行している事を暗に認めています。

アルタモノフ艦長は、「アドミラル・クズネツォフ」航空隊が(11月12日の時点で)4日間に渡りフライトを行なっていると述べていますので、11月9日のロードス島南東海域での演習以降、毎日フライトを行なっているという事でしょう。
更にアルタモノフ艦長は、「アドミラル・クズネツォフ」は北アフリカのスペイン領セウタへ寄港する計画は無かったとも述べていますが、おそらくセウタへの寄港が予定されていたのは「アドミラル・クズネツォフ」では無く、その随伴艦船(大型対潜艦や給油船)だったのでしょうから、その点では嘘は言っていません。
重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」艦長ウラジスラフ・マラホフスキー1等海佐も出演し、ロシア海軍空母機動部隊には外国の航空機は接近していないと発言しています。
ただ、機動部隊から50キロメートル以内には接近していないと言っておりますので、それよりも遠い距離でNATOの航空機が監視している事は有り得るでしょう。
今回の地中海遠征で「アドミラル・クズネツォフ」は、艦上戦闘機Su-33、艦上戦闘機MiG-29KR/KUBR、艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kなどを搭載しています。
MiG-29KR/KUBRとKa-52Kは、今回の地中海遠征で初めて搭載された機体です。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフへ新たな艦載機・艦上戦闘機MiG-29Kと艦上ヘリコプターKa-52Kが加わる]
「スモレンスク赤旗授与・ソ連邦英雄2度受賞ボリス・サフォーノフ記念第279独立艦上戦闘機航空連隊」の艦上戦闘機Su-33は、最近になって地上攻撃能力が付与されました。
[ロシア海軍航空隊の艦上戦闘機Su-33は地上攻撃の為の新たなシステムを装備する]
第100独立艦上戦闘機航空連隊の艦上戦闘機MiG-29KR/KUBRは、2015年末までに24機が納入されており、今年8月8日に初めて「アドミラル・クズネツォフ」へ着艦しました。
MiG-29KR/KUBRは、対地攻撃用精密誘導兵器の運用能力を有しています。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフへ初めて艦上戦闘機MiG-29KRが着艦した]
「アドミラル・クズネツォフ」には、艦上戦闘機MiG-29KR/MiG-29KUBRを運用する為の新たな慣性航法システムが装備されています。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは艦上戦闘機MiG-29K/KUBを運用する為の新型システムを搭載する]
艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」は、数機の試作機が「アドミラル・クズネツォフ」に搭載されています。
[ロシア海軍の艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランは空母アドミラル・クズネツォフへ搭載される]
今回の「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、地上攻撃を念頭に置いた構成となっています。
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