ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機MiG-29KRの墜落事故(2016年11月13日)・続報
- カテゴリ:艦上戦闘機MiG-29K/KUB
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2016年11月21日19時15分配信
【メディアは「アドミラル・クズネツォフ」の戦闘機の墜落の理由について伝えた】
航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の戦闘機MiG-29KRは、両方のエンジンが突然に止まった後に海へ落ちた。
『ガゼータ・ロシア』は艦上飛行組織に精通している情報提供者より伝えられた。
航空機は着艦に失敗する前、飛行甲板上の航空機拘束装置のケーブルが切断されたが故に2度の周回飛行を行なっていた。
航空機が待機ゾーンに居る時、両方のエンジンが止まったと同紙は述べている。
予備情報によると、燃料の流入が停止したという。
その日、航空巡洋艦から3機のMiG-29KRが飛び立った。
1機目の戦闘機は何事も無く着艦を行なった。
2機目のMiG-29KRは、航空機拘束装置の2本目のケーブルへ引っ掛けたものの、それを切断してしまい、最終的には4本目の予備ケーブルのみを捕捉した。
2本目のケーブルが切れて3本目に絡みつき、航空機が着艦する際、これらを使用する事は不可能だった。
「アドミラル・クズネツォフ」の航空機拘束装置には合計で4本のケーブルが有る。
航空機の着艦の際、それは12cm持ち上がる。
1本目のケーブルは、飛行甲板の端から46メートルの距離が有り、そこから互いに12メートル離れて2本のケーブルが有り、更に4本目のケーブル~予備~が有る。
パイロットは着艦を行なう際、航空機の特殊な制動鉤(フック)へ2本目のケーブルを引っ掛ける事が必要であり、そして3本目は尚の事良い。
11月13日夕方、ロシアの「アドミラル・クズネツォフ」航空団の艦上戦闘機MiG-29KRはシリア沿岸付近で墜落事故を起こした。
ロシア連邦国防省によると、航空機は訓練飛行中に艦の近くの水中へ落ちた。
機体を操縦していたのは経験豊富な飛行士であり、北方艦隊航空隊飛行安全サービス部長である。
[艦上戦闘機MiG-29K/KUB]
[艦上戦闘機MiG-29K/MiG-29KUB(旧ブログ)]
[RSKミグMiG-29K/MiG-29KUB艦上戦闘機(RSKミグ公式サイト)]
ロシア海軍の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の新たな艦上戦闘機MiG-29K/KUB24機の購入契約は、2012年2月29日に締結されました。
[ロシア国防省は艦上戦闘機MiG-29K/KUBの購入契約を締結した]
ロシア海軍向けのMiG-29KUB量産1号機は2013年10月下旬に初飛行しました。
[ロシア海軍の為の艦上戦闘機MiG-29KUB量産1号機は飛行試験を開始した]
2013年11月下旬、当初の計画通りに2機のMiG-29K(単座型)と2機のMiG-29KUB(複座型)がロシア海軍へ引き渡されました。
[ロシア海軍は最初の艦上戦闘機MiG-29K/MiG-29KUBを受領した]
そして2014年12月2日までに8機のMiG-29Kと2機のMiG-29KUBが、当初の計画通りにロシア海軍へ引き渡されました。
[ロシア海軍へ10機の艦上戦闘機MiG-29K/KUBが引き渡された]
2015年12月末までに10機のMiG-29Kが引き渡され、契約分全機の納入が完了しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの為の艦上戦闘機MiG-29K/KUBは契約分全機(24機)の納入を完了した]
MiG-29Kは、現用の艦上戦闘機Su-33と共に重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」で運用されます。
[新たな艦上戦闘機MiG-29K/KUBはロシア海軍現用艦載機と共に運用される]
2016年1月には、MiG-29K/KUBを装備する新たな航空連隊~第100独立艦上戦闘機航空連隊が編成されました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの為の新たな艦上戦闘機MiG-29Kの航空連隊の編成は殆ど完了している]
2016年3月20日、第100独立艦上戦闘機航空連隊としての本格的な飛行訓練が始まりました。
[MiG-29K/KUBで編成されたロシア海軍の新たな艦上戦闘機航空連隊は本格的な戦闘訓練飛行を始めた]
2016年6月からはクリミア半島のサキ飛行場へ進出し、艦上戦闘機発着訓練施設(旧ニートカ)で訓練を行ないました。

2016年8月8日に初めて「アドミラル・クズネツォフ」へ着艦しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフへ初めて艦上戦闘機MiG-29KRが着艦した]
MiG-29K/KUBの母艦となる「アドミラル・クズネツォフ」には、艦上戦闘機MiG-29KR/MiG-29KUBRを運用する為の新たな慣性航法システムが装備されています。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは艦上戦闘機MiG-29K/KUBを運用する為の新型システムを搭載する]
「アドミラル・クズネツォフ」を中核とするロシア海軍空母機動部隊は、2016年10月15日に地中海へ向けて出航し、現在はシリア沖に居ます。
同艦には、少なくとも2機の単座型MiG-29K(47号機と49号機)と2機の複座型MiG-29KUB(52号機と53号機)が搭載されています。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-)]
11月13日には、MiG-29K/KUBと思しき航空機がイドリブ上空で目撃されています。
そしてモスクワ時間で11月13日17時30分頃、1機のMiG-29KRが「アドミラル・クズネツォフ」への着艦時に墜落しました。
機体は海中に没したようですが、パイロットは無事に救助されました。
[地中海東部のロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフで艦上戦闘機MiG-29Kの墜落事故が発生した]
そして今回、墜落事故の原因が明らかにされました。
(ただし、非公式筋からの情報ですが)
11月13日には3機のMiG-29KRがフライトを行なっており、帰還する際、1機目は無事に着艦したのですが、2機目が着艦用ワイヤーの1本を切断してしまいました。
この為、3機目は続いてすぐに着艦する事が出来ず、上空で待機している間にエンジンへの燃料流入が止まった事に伴い、エンジンが両方とも突然止まり、失速して墜落しました。
待機している間に燃料が切れたようです。
事故から2日後の11月15日には「アドミラル・クズネツォフ」の艦上戦闘機Su-33はシリアへの空爆作戦へ参加しており、同艦から発着艦しているので、この時までに着艦拘束装置は修復されたようです。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は初めてシリア領内のテロ組織への攻撃へ参加した]
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33の空爆によりアル=ヌスラ戦線の戦闘員30名以上が死亡した]
11月17日にもSu-33はシリアへの空爆作戦へ参加しています。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は再びシリアのテロ組織を空爆した]
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