ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの艦載機は初めてシリアのフマイミーン基地へ着陸した

『インタファクス』より
2016年11月26日16時50分配信
【メディアは「アドミラル・クズネツォフ」の戦闘機が「フマイミーン」基地へ着陸したとの情報を得た】
モスクワ、11月26日、インタファクス-ロシア
重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の艦上戦闘機がシリアのロシア航空基地「フマイミーン」に着陸したと西側メディアは報じた。

『IHSジェーンズ』サイトは、11月20日の衛星画像を参照し、「フマイミーン」基地に8機の艦上戦闘機Su-33と1機のMiG-29KRが、シリアのロシア連邦航空宇宙軍の航空機群~Su-24M、Su-34、Su35と共に駐機していると報じた。
次に、モスクワの消息筋は、「アドミラル・クズネツォフ」航空団~Su-33とMiG-29~は、「フマイミーン」への着陸を経験していると土曜日に『インタファクス』へ伝えた。
「飛行士は、(飛行)甲板から離艦し、フマイミーンへ着陸するという経験を得て、巡洋艦アドミラル・クズネツォフへ戻りました。
軍事活動舞台の調査中に、特に積極的に、このようなフライトが初めて行なわれました」
対談者は話した。
11月11日、軍事外交筋は、巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の艦上航空隊が、既に数日間に渡って軍事活動舞台の調査の為、シリア領空を飛行していると『インタファクス』へ伝えた。
11月14日には、戦闘機MiG-29が着艦の為に進入した際、「アドミラル・クズネツォフ」から数キロメートルの所で事故を起こし、飛行士は射出された事が知られるようになった。
11月15日、ロシア軍指導部は、「アドミラル・クズネツォフ」航空団が初めてシリア領内の軍事作戦へ関わったと発表した。
地中海には、重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」に率いられるロシア航空打撃艦グループが滞在している。
グループは、特に、巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」、大型対潜艦「セヴェロモルスク」、「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」、フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」で構成されている。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-)]
ロシア海軍北方艦隊の重航空巡洋艦(空母)「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする機動部隊は、2016年10月15日にセヴェロモルスクを出航し、地中海東部(シリア沖)へ向かいました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは地中海遠征へ出発した]
今回の「ロシア海軍空母機動部隊」は、以下の艦で構成されています。
[北方艦隊航空艦グループ]
重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」
重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」
大型対潜艦「セヴェロモルスク」
大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」
大型海洋給油船「セルゲイ・オシポフ」
中型海洋給油船「ドゥブナ」
中型海洋給油船「カーマ」
救助曳船「ニコライ・チケル」
10月17日にはノルウェーのトロンヘイム沖を航行していました。

「ロシア海軍空母機動部隊」は、10月19日午前にノルウェー沖の公海上で艦載機の飛行訓練を開始しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機はノルウェー沖で飛行訓練を始めた]
「ロシア海軍空母機動部隊」はブリテン本土付近へ接近する為、ブリテン海軍は、同部隊を監視する為の艦を派遣しました。
[ブリテン海軍は英本土付近を通過するロシア海軍空母機動部隊を監視する為の軍艦を差し向ける]
[ロシア海軍のアドミラル・クズネツォフ機動部隊は英本土へ接近する]
[ブリテン海軍はロシア海軍空母機動部隊を監視する為に駆逐艦2隻とフリゲート1隻を派遣する]
10月21日、「ロシア海軍空母機動部隊」はラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過した]
10月24日にはポルトガル沖を航行していました。
10月25日にジブラルタル海峡を通過しました。
その後、ロシア航空艦グループは北アフリカのスペイン領セウタへの寄港を予定していたようですが、スペイン側は、土壇場になって寄港許可を出し渋り、これに業を煮やしたロシアは、セウタへの寄港を諦めました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はスペイン領セウタへの寄港を取りやめた]
更には、地中海中部のマルタも、自国港内でのロシア艦船への燃料補給を認めない事を表明しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは遠洋航海中に外国港を訪れる必要は無い]
ロシア海軍空母部隊は、10月27日から29日に掛けてアルジェリア沖で支援船(給油船「セルゲイ・オシポフ」、「ドゥブナ」、「カーマ」)から洋上補給を行ないました。
[ロシア国防相セルゲイ・ショイグはロシア海軍空母部隊の地中海遠征について語った]
11月3日にはアルジェリア東海岸沖で演習を行ないました。

[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフはアルジェリア沖に居る]
その後、ロシア海軍空母部隊は地中海を東へ進みました。
11月3日にセヴァストーポリを出航し、11月4日にボスポラス海峡を通過した黒海艦隊の警備艦(フリゲート)「アドミラル・グリゴロヴィチ」も、現在はロシア海軍空母機動部隊へ加わっているようです。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア沖へ向かった]
ロシア海軍空母機動部隊は、11月9日にはロードス島の南東海域で訓練飛行を実施しました。
11月10日~15日、11月17日~22日の期間には、キプロス島とシリアの間の海域で訓練飛行とミサイル発射を実施します。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ航空隊はシリアのアレッポ空爆を準備する]
11月9日、ロシア海軍空母機動部隊の大型対潜艦「セヴェロモルスク」と「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は、接近するネーデルラント海軍の潜水艦(ワルラス級)を発見しました。
[地中海東部のロシア海軍空母部隊の大型対潜艦は接近するオランダの潜水艦を発見した]
11月10日にはキプロス島南東海域へ進出し、シリア上空へ作戦の事前調査の為に艦上戦闘機Su-33、艦上戦闘機MiG-29KR/KUBRを飛ばしています。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は作戦行動の事前調査の為にシリア上空を飛行する]

ロシア海軍空母機動部隊は11月12日までにシリア沖へ到着し、艦載機の飛行訓練を始めました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーを中核とするロシア海軍空母機動部隊はシリア沖へ到着した]
11月13日には艦上戦闘機MiG-29Kが墜落しました。
[地中海東部のロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフで艦上戦闘機MiG-29Kの墜落事故が発生した]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機MiG-29KRの墜落事故(2016年11月13日)・続報]
11月15日、「アドミラル・クズネツォフ」の艦載機(艦上戦闘機Su-33)は、初めてシリアへの空爆作戦へ参加しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は初めてシリア領内のテロ組織への攻撃へ参加した]
同じ11月15日には、フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」もシリアへ有翼ミサイルを発射しています。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア領内のテロ組織へ巡航ミサイルを発射した]
「スモレンスク赤旗授与・ソ連邦英雄2度受賞ボリス・サフォーノフ記念第279独立艦上戦闘機航空連隊」のSu-33は、最近、地上爆撃用の特殊計算サブシステムSVP-24を装備しています。
[ロシア海軍航空隊の艦上戦闘機Su-33は地上攻撃の為の新たなシステムを装備する]
[ロシア海軍の艦上戦闘機Su-33は爆撃精度を向上させる為のシステムを装備している]
Su-33はイドリブ県の『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃し、3名の野戦司令官を含む30名以上の戦闘員が死亡しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33の空爆によりアル=ヌスラ戦線の戦闘員30名以上が死亡した]
11月17日、ロシア航空宇宙軍の戦略爆撃機Tu-95MSがシリア領内のテロ組織『イスラム国』と『アル=ヌスラ戦線』の施設へ有翼ミサイルを発射した事に呼応して、再び「アドミラル・クズネツォフ」の艦上戦闘機Su-33もシリア領内を爆撃しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は再びシリアのテロ組織を空爆した]
そして、11月20日に「アドミラル・クズネツォフ」の艦載機(8機のSu-33と1機のMiG-29KR)がシリアのフマイミーン航空基地(ラタキア郊外)に駐機している事が衛星画像により確認されました。
『IHSジェーンズ』より
【ロシアの艦上ジェット機は、クズネツォフからでは無く、シリアから飛行する】
しかし今回の記事に在る通り、これらの艦載機は、その後、母艦「アドミラル・クズネツォフ」へ戻ったとの事です。
今回の件で「アドミラル・クズネツォフの艦載機が陸上基地へ配備された」などという見方も有りますが、そういう話では無いようです。
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