空母アドミラル・クズネツォフを中核とするロシア海軍空母群は完全に自立して行動している
『タス通信』より
2016年12月5日11時34分配信
【(ロシア海軍)総司令官:地中海のロシア連邦海軍空母グループは完全に自立している】
モスクワ、12月5日/タス通信
ロシア唯一の航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」率いるロシア連邦海軍航空艦グループは完全に自立しており、港へ寄港する必要は無い。
月曜日、テレビ局『ロシア 24』の生放送で海軍総司令官ウラジーミル・コロリョーフは述べた。
「航空艦グループを含め、我々のグループの全ての航海は、当初から全部こんな感じです。
即ち、海上において、全ての兵站拠点からのリソース供給からの絶対的な自立が可能です。
従いまして、何ら問題は発生しておらず、干渉も無く、生じてもいません。
それにも関わらず、我々はマルタとセウタへ寄港しませんでした。
この事により、何ら彷徨う事は無く、与えられた任務を果たす事にも影響はありません」
コロリョーフは話した。
彼によると、現在、空母グループの構成には3隻の給油船が含まれている。
10月末、スペイン外務省は、マドリードはモスクワの要請を受け、10月28日から11月2日までセウタ港への3隻のロシア艦船の寄港を許可したが、ロシア側が、この要請を取り下げたと発表した。
ロシア国防省は、セウタへの「アドミラル・クズネツォフ」訪問の許可を求めた事は無いと表明し、ただ1つ考えられる可能性は「個々の艦あるいは支援船の業務寄港である」
当局の公式代理人イーゴリ・コナシェンコフは、ロシアのグループは「必要な物資を完全に確保しており」、全体の状況は「移動計画に何ら影響を与えない」と表明した。
[単一情報界]
ウラジーミル・コロリョーフは更に、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」と地中海のロシア連邦海軍空母グループに属している艦船は、単一情報界で行動していると述べた。
「航空艦グループは、単一情報界で作業を行なっており、全ての艦船は、単一の構想及び計画下で行動し、複合戦闘訓練任務の目的を遂行します」
彼は話した。
コロリョーフが説明したように、この複合(任務)には、対空及び対潜防衛任務、更には航海中の物資補充及び投錨も含まれる。
「これらの活動は、予定海域へ移動する際と、予定海域において直接に取り組みが行なわれます」
総司令官は付け加えた。
北方艦隊艦船グループは、10月15日に大西洋北東部及び地中海への航海に出発した。
11月15日、ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグは、シリアのイドリブ県及びホムス県のテロリストへ打撃を与えたと大統領ウラジーミル・プーチンへ報告した。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-)]
ロシア海軍北方艦隊の重航空巡洋艦(空母)「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする機動部隊は、2016年10月15日にセヴェロモルスクを出航し、地中海東部(シリア沖)へ向かいました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは地中海遠征へ出発した]
今回の「ロシア海軍空母機動部隊」は、以下の艦で構成されています。
[北方艦隊航空艦グループ](指揮官:北方艦隊副司令官ヴィクトール・ソコロフ中将)
重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」
重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」
大型対潜艦「セヴェロモルスク」
大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」
大型海洋給油船「セルゲイ・オシポフ」
中型海洋給油船「ドゥブナ」
中型海洋給油船「カーマ」
救助曳船「ニコライ・チケル」
(註:大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は2016年11月下旬にグループより離脱)
10月17日にはノルウェーのトロンヘイム沖を航行していました。

「ロシア海軍空母機動部隊」は、10月19日午前にノルウェー沖の公海上で艦載機の飛行訓練を開始しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機はノルウェー沖で飛行訓練を始めた]
「ロシア海軍空母機動部隊」はブリテン本土付近へ接近する為、ブリテン海軍は、同部隊を監視する為の艦を派遣しました。
[ブリテン海軍は英本土付近を通過するロシア海軍空母機動部隊を監視する為の軍艦を差し向ける]
[ロシア海軍のアドミラル・クズネツォフ機動部隊は英本土へ接近する]
[ブリテン海軍はロシア海軍空母機動部隊を監視する為に駆逐艦2隻とフリゲート1隻を派遣する]
10月21日、「ロシア海軍空母機動部隊」はラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過した]
10月24日にはポルトガル沖を航行していました。
10月25日にジブラルタル海峡を通過しました。
その後、ロシア航空艦グループは北アフリカのスペイン領セウタへの寄港を予定していたようですが、スペイン側は、土壇場になって寄港許可を出し渋り、これに業を煮やしたロシアは、セウタへの寄港を諦めました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はスペイン領セウタへの寄港を取りやめた]
更には、地中海中部のマルタも、自国港内でのロシア艦船への燃料補給を認めない事を表明しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは遠洋航海中に外国港を訪れる必要は無い]
ロシア海軍空母部隊は、10月27日から29日に掛けてアルジェリア沖で支援船(給油船「セルゲイ・オシポフ」、「ドゥブナ」、「カーマ」)から洋上補給を行ないました。
[ロシア国防相セルゲイ・ショイグはロシア海軍空母部隊の地中海遠征について語った]
11月3日にはアルジェリア東海岸沖で演習を行ないました。

[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフはアルジェリア沖に居る]
その後、ロシア海軍空母部隊は地中海を東へ進みました。
11月3日にセヴァストーポリを出航し、11月4日にボスポラス海峡を通過した黒海艦隊の警備艦(フリゲート)「アドミラル・グリゴロヴィチ」も、現在はロシア海軍空母機動部隊へ加わっているようです。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア沖へ向かった]
ロシア海軍空母機動部隊は、11月9日にはロードス島の南東海域で訓練飛行を実施しました。
11月10日~15日、11月17日~22日の期間には、キプロス島とシリアの間の海域で訓練飛行とミサイル発射を実施します。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ航空隊はシリアのアレッポ空爆を準備する]
11月9日、ロシア海軍空母機動部隊の大型対潜艦「セヴェロモルスク」と「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は、接近するネーデルラント海軍の潜水艦(ワルラス級)を発見しました。
[地中海東部のロシア海軍空母部隊の大型対潜艦は接近するオランダの潜水艦を発見した]
11月10日にはキプロス島南東海域へ進出し、シリア上空へ作戦の事前調査の為に艦上戦闘機Su-33、艦上戦闘機MiG-29KR/KUBRを飛ばしています。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は作戦行動の事前調査の為にシリア上空を飛行する]

ロシア海軍空母機動部隊は11月12日までにシリア沖へ到着し、艦載機の飛行訓練を始めました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーを中核とするロシア海軍空母機動部隊はシリア沖へ到着した]
11月13日には艦上戦闘機MiG-29Kが墜落しました。
[地中海東部のロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフで艦上戦闘機MiG-29Kの墜落事故が発生した]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機MiG-29KRの墜落事故(2016年11月13日)・続報]
11月15日、「アドミラル・クズネツォフ」の艦載機(艦上戦闘機Su-33)は、初めてシリアへの空爆作戦へ参加しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は初めてシリア領内のテロ組織への攻撃へ参加した]
同じ11月15日には、フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」もシリアへ有翼ミサイルを発射しています。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア領内のテロ組織へ巡航ミサイルを発射した]
「スモレンスク赤旗授与・ソ連邦英雄2度受賞ボリス・サフォーノフ記念第279独立艦上戦闘機航空連隊」のSu-33は、最近、地上爆撃用の特殊計算サブシステムSVP-24を装備しています。
[ロシア海軍航空隊の艦上戦闘機Su-33は地上攻撃の為の新たなシステムを装備する]
[ロシア海軍の艦上戦闘機Su-33は爆撃精度を向上させる為のシステムを装備している]
Su-33はイドリブ県の『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃し、3名の野戦司令官を含む30名以上の戦闘員が死亡しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33の空爆によりアル=ヌスラ戦線の戦闘員30名以上が死亡した]
11月17日、ロシア航空宇宙軍の戦略爆撃機Tu-95MSがシリア領内のテロ組織『イスラム国』と『アル=ヌスラ戦線』の施設へ有翼ミサイルを発射した事に呼応して、再び「アドミラル・クズネツォフ」の艦上戦闘機Su-33もシリア領内を爆撃しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は再びシリアのテロ組織を空爆した]
11月20日頃、「アドミラル・クズネツォフ」の艦載機(8機のSu-33と1機のMiG-29KR)は、初めてシリアのフマイミーン航空基地(ラタキア郊外)へ着陸しました。
その後、艦載機は「アドミラル・クズネツォフ」へ戻りました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの艦載機は初めてシリアのフマイミーン基地へ着陸した]
そして12月4日、ロシア海軍総司令官ウラジーミル・コロリョーフ提督はロシアのテレビ局に出演し、「アドミラル・クズネツォフ」を中核とするロシア空母群は、外国の港へ寄港する必要は無く、完全に自立して行動していると述べました。
コロリョーフ提督は、ロシア空母群には3隻の給油船が属していると述べていますが、これは「セルゲイ・オシポフ」、「ドゥブナ」、「カーマ」の事でしょう。
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