ロシア海軍の巡航ミサイル原潜は地中海東部に居る?
- カテゴリ:地中海情勢(2015-2016年)

『イズベスチヤ』より
2016年12月15日0時1分配信
【ロシア潜水艦はNATO戦隊を脅えさせる】

アメリカの航空機は、地中海でアメリカ合衆国およびフランスの航空母艦の近くに出現するロシア潜水艦を探している。
NATO(北大西洋条約機構)対潜部隊は、地中海でフランス海軍及びアメリカ合衆国海軍の空母打撃グループを監視していると予想される2隻のロシア原子力潜水艦を探している。
これは、NATO分類で「オスカー2」と呼ばれているプロジェクト949A「アンテイ」潜水艦についての話である。
これらの潜水艦は対艦ミサイル「グラニート」で武装しており、敵の航空母艦の破壊の為に設計されている。
外国の専門家のブログに、シチリアのシゴネラ基地の対潜航空機P-8Aポセイドンの活動が急激に増加し、月曜日にキプロス島南東海域の探査を強化したという報道が現れた。
そこには、航空母艦「アイゼンハワー」並びに「シャルル・ド・ゴール」に率いられるNATOの2個空母打撃グループが居る。


航空母艦は、通常は信頼できる哨戒部隊を有している。
しかし、原子力潜水艦の演習の過程においては、隊列内部への潜入が成功に終わる場合も有る事が知られており、これは戦隊にとっての非常事態を意味する。
従って、実際の戦闘の場合、このような出来事が展開する事は必然的に旗艦の破滅を意味すると言える。
伝えられる所によると、NATO戦隊へプロジェクト「アンテイ」潜水艦が接近した。
ロシア海軍には、現在、8隻の同プロジェクト潜水艦が在る。
西側の軍事専門家は、この海域におけるロシア原子力潜水艦の存在を、シリア作戦のためと説明するのは困難である事を強調する。
何故なら、「アンテイ」は地上目標の破壊の為には意図されていないからである。
NATOの艦或いはインフラストラクチュアの近くへのロシア潜水艦の出現は、ヨーロッパの専門家へ現有の対潜部隊の有効性を疑う理由を与える事は注目に値する。
以前、フランス海軍司令部は、ロシア原子力潜水艦が一度ならず同国の領海近く~ビスケー湾に現れているという事実を公式に認めている。
その後、フランス海軍参謀長は、海軍は全ての沿岸を監視する戦力を有しておらず、これに加えて同盟国を援助する為の航空機を定期的に割り当てる事を求められており、これに伴い対潜防衛は更に劣化しているとメディアへ表明した。
退役潜水艦乗りのイーゴリ・クルディンは、NATO対潜部隊の弱体化は普通の現象であると『イズベスチヤ』へ話した。
「彼等(NATO)は長きに渡り実地経験が有りませんでした。
我々(ロシア)は世界の大洋へ戻り、その(NATO)対潜部隊は、この為の準備が出来ておりませんでした」
専門家は指摘した。
「また、我々には、新たな戦術と技術的可能性、大幅に増加した機密が出現しています。
その結果、彼等(NATO)は潜水艦を見逃し、ジブラルタル海峡を通過した後、彼等の空母打撃グループの近くで見つけ、驚きました」
潜水艦乗りは、地中海は常に世界の大国の海軍の対立のアリーナ(競技場)となっていると説明した。
冷戦時には、ソヴィエトのディーゼルエレクトリック潜水艦旅団と第5作戦戦隊の水上艦全てが戦闘当直に就いていた。
「冷戦終結後、我々は、地中海における常時の存在ではありませんでした~1999年までは。
長きに渡る中断の後、水中ロケット巡洋艦K-141クルスクが戦闘哨戒へ向かいました」
イーゴリ・クルディンは話した。

「その出現は、大騒ぎを引き起こしました。
第一に、これは、全くの想定外でした。
第二に、プロジェクト949Aに基づいて建造されたクルスクの戦術技術特性は、全ての対潜防衛部隊の追跡を振り切る事が可能でした。
巡洋艦は秘密裡に空母の追跡を行ない、摸擬の魚雷及びミサイル攻撃を実行し、その艦長ゲンナジー・リャチンにはロシア英雄称号が贈られました」
専門家によると、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」率いる水上艦の地中海航海と同時に、そこへ原子力潜水艦が派遣された事は何ら驚くべきことでは無い。
「海軍の対決は常に行なわれています。
我々は身を隠し、彼等は反対に探します」
軍事船員は総括した。


現在、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」と重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」を中核とする空母機動部隊がシリア沖へ派遣されています。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-)]
これに伴い、北方艦隊のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦「ヴォロネジ」も地中海東部へ派遣されたという未確認情報も有ります。
[ロシア海軍の巡航ミサイル原潜ヴォロネジは地中海東部(シリア沖)へ派遣された?]
最近では、シチリアのシゴネラ基地の対潜哨戒機P-8Aポセイドンがキプロス島南東海域を盛んに飛び回っており、この海域に1~2隻の949A原子力水中巡洋艦が居るのではないかと見られています。
仮に2隻を派遣しているとすれば、北方艦隊の「ヴォロネジ」と「スモレンスク」でしょう。
(北方艦隊には、もう1隻の949A原潜「オリョール」が居るが、現在は長期修理中なので動けない)
『The Aviationist』より
【NATOは、地中海で航空母艦を追跡する少なくとも1隻のロシア海軍のオスカーII級潜水艦を捜索する】
この海域にはアメリカの原子力空母「ドワイト・D・アイゼンハワー」とフランスの原子力空母「シャルル・ド・ゴール」が展開しており、949A原子力水中巡洋艦は、この2隻を追いかけていると見られています。
949A原子力水中巡洋艦の主要兵装である有翼ミサイル「グラニート」は、元々は対艦攻撃用(特に空母攻撃用)です。
[有翼ミサイル複合体グラニートは軍備採用30周年を迎えた]
しかし地上攻撃も可能であり、2016年10月17日、北方艦隊の原子力水中巡洋艦「スモレンスク」は、ノヴァヤゼムリャ島の地上目標へ「グラニート」を発射しています。
[ロシア海軍北方艦隊の原子力水中巡洋艦スモレンスクは長距離打撃ミサイル"グラニート"をノヴァヤゼムリャ島の地下目標へ発射した]
ただ、今回は、本来の役割である「空母キラー」として2隻の原子力空母を追っているのではないかと西側は見ているようです。
前回の「アドミラル・クズネツォフ」地中海遠征(2013年12月~2014年5月)の時にも、949A原潜が地中海へ入ったのではないかとロシアの一部の専門家は見ています。
[ロシア原潜は地中海に居る?]
記事中で触れられていますが、原子力水中巡洋艦「クルスク」(2000年8月12日爆沈)は、1999年7月5日から10月19日に大西洋及び地中海への遠距離航海を行なっています。

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