2017年5月からロシア海軍の為の艦船用ガスタービンエンジンの国内完全生産が始まる
- カテゴリ:ガスタービンエンジン代替問題

『タス通信』より
2017年2月3日16時1分配信
【(2017年)5月からロシアは海軍の艦船の為のエンジン生産を展開する】
モスクワ、2月3日/タス通信
新たな艦船用エンジンの生産をロシアは今年5月に開始する。
ロシア政府副首相ドミトリー・ロゴージンは述べた。
「3年間で、事実上『ゼロ』からロシアは艦船用エンジン製造分野全体を作成しました。
5月の祝日までには、2014年に承認された輸入代替計画により、我が国の新たな海軍の為の最新のエンジンの生産が展開します」
彼は、フェイスブックの自身のページに記した。
また、ロゴージンは、彼のマイクロブログ『ツイッター』で、科学生産合同『サトゥルン』は再構築を完了している事を指摘した。
以前、科学生産合同『サトゥルン』は、軍用艦の為のガスタービンエンジンの供給を2017年末~2018年初頭に開始すると報じられた。
産業省は、2017年から艦船は国内装置の取得を開始し、納入が破綻する脅威を受ける事は無くなり、プロジェクトの資金融資は完全に保障されていると発表した。
『統合造船業営団』は、軍用艦へのロシア製動力装置の供給は2020年の開始を計画していると発表した。
ウクライナ製エンジンを装備しているのは、具体的には、ロシア海軍の為のフリゲート、プロジェクト11356とプロジェクト22350である。
以前、副首相ドミトリー・ロゴージンが発言したように、ウクライナからの(ガスタービン)集合体の供給が停止したが故に、一連の艦の建造は中断を余儀なくされた。
彼は、この分野における輸入代替の作業は、2018年までの完了を予定している事を指摘した。
ソ連/ロシアの艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシアの「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」、ウクライナの「ゾーリャ機械設計」が関わっており、エンジンの最終組立は「ゾーリャ機械設計」で行なわれていました。
【科学生産合同「サトゥルン」公式サイト】

【『科学製造合同アヴローラ』公式サイト】

【国営企業ガスタービン製造科学工業複合体「ゾーリャ機械設計」公式サイト】

なお、ロシアのカルーガ市に在る非公開株式会社「科学製造国内企業トゥルボコン」は、公式サイトを持っていません。

ソヴィエト連邦時代、ガスタービン搭載艦は、ニコラーエフ市の61コムーナ造船所、カリーニングラード州のヤンターリ造船所、ゼレノドリスクのゴーリキー造船所などで建造されていました。

特に、ウクライナの61コムーナ造船所では大型のガスタービン推進艦が建造されていました。

プロジェクト61大型対潜艦/警備艦(1962-1973年に15隻建造、他にレニングラードで5隻建造)

プロジェクト1134B大型対潜艦(1971-1979年に7隻建造)

プロジェクト1164ロケット巡洋艦(1982-1989年に3隻建造、1隻未完成)

ですから、ニコラーエフ市にガスタービンエンジンの最終組立工場が在った方が輸送などの面で都合が良かったわけです。

しかし、1991年末のソ連邦解体後、ガスタービン機関の部品を製造する会社と最終組立を行なう会社が別々の国に分かれてしまう事になり、何かと不都合が生じました。
そこで1993年、旧ソ連のガスタービン製造に関わっていた「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」、「ゾーリャ機械設計」が集まり、合同企業「トゥルボルス」が設立されました。
【非公開株式会社『トゥルボルス』公式サイト】
ロシア海軍の新世代水上艦の為のガスタービン(M90FR)も、ロシアとウクライナの企業の共同開発でした。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]
しかし、2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナとロシアの関係も悪化しました。
2014年3月末まで「ゾーリャ機械設計」社はロシアへのガスタービン機関供給を継続していましたが、その後、供給は途絶えました。
[ウクライナ防衛産業は依然としてロシアとの契約を忠実に履行している]
ウクライナとロシアのガスタービンエンジン生産に関する「分業体制」が瓦解した為、ロシア海軍のガスタービン装備艦の建造は停滞しました。
[ロシア海軍の新型フリゲートの建造は停滞する]
プロジェクト22350フリゲートは1番艦と2番艦、プロジェクト11356Rフリゲートは1番艦~3番艦のガスタービンは供給されましたが、ウクライナは、それ以降のエンジンの引き渡しを拒否しました。
(代金はウクライナへ支払っていた)
[ロシアはガスタービンエンジン供給中止に関してウクライナを訴える]
この為、ガスタービンの生産を全面的にロシア国内へと切り替える事になり、ルイビンスクの『サトゥルン』社にガスタービンエンジンの最終組立施設を作る事になりました。
[ロシア海軍の艦艇には完全国産のガスタービンエンジンが提供される]
[ロシアは艦艇用ガスタービンの製造を全面的に国内へと切り替える]
[ロシアのサトゥルン社は2017年までにウクライナ製ガスタービンを完全に代替する]
そして2017年2月3日、ロシア連邦副首相ドミトリー・ロゴージン氏は、ルイビンスクの『サトゥルン』社を視察しました。
『サトゥルン』社は、艦船用ガスタービンエンジンの生産体制、より具体的には、ウクライナの『ゾーリャ機械設計』社に代わるガスタービンエンジン最終組立体制の構築を完了し、今年5月からガスタービンエンジンの生産を開始できるとの事です。
ロゴージン氏は「5月の祝日」までにと言っていますので、おそらくは5月9日の大祖国戦勝記念日の事でしょう。
新たに生産されるガスタービンエンジンは、先ず初めにプロジェクト22350フリゲートへ装備されます。
[ロシア海軍最新鋭フリゲート・プロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)3番艦以降の為のロシア製ガスタービンは2017年末から供給を開始する]
[ロシア製ガスタービンはロシア海軍のプロジェクト22350フリゲートへ最初に装備される]
この他、今回の記事では触れられていませんが、2016年10月末に1番艦が起工されたプロジェクト20386コルベットにはガスタービン電気推進システムが採用されており、こちらにも新たなガスタービンエンジンが供給されることになります。
[ロシア海軍の新世代コルベット・プロジェクト20386はガスタービン電気推進システムを装備する]
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