北方・バルト艦隊合同グループの航海が始まった


『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦国防省広報サービス・情報管理部発表
2012年7月17日16時15分配信
【ロシア海軍合同艦隊間グループは遠距離大洋航海任務の遂行を始めた】
北方艦隊及びバルト艦隊の戦闘艦船支隊は、北大西洋の指定海域で合流し、単一指揮下で任務を遂行する為の独立グループを形成して大洋航海を行なう計画である。
グループは、ジブラルタル海峡へ進路を取り始めた。
グループ指揮官は、北方艦隊コラ異種戦力小艦隊司令官ウラジーミル・カサトノフ少将である。
合同グループには、大型揚陸艦「アレクサンドル・オトラコフスキー」、「ゲオルギー・ポベドノーセッツ」、「コンドポガ」で構成される北方艦隊戦闘艦船支隊と、警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」、「ネウストラシムイ」、救助曳航船SB-921で構成されるバルト艦隊戦闘艦船支隊が含まれる。
北方艦隊の大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」、保障船「ニコライ・チケル」及び「セルゲイ・オシポフ」は、航海任務を最大限に保障し、2つの艦隊の艦船支隊を会合させ、グループから分離して北大西洋における戦闘訓練任務を仕上げた後、基地へ戻る。
合同グループの対潜保障の実施は、バルト艦隊の警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」、「ネウストラシムイ」に割り当てられる。
航行ルートにおける捜索-救助及び物資補充の保障任務は、明日にグループへ参加するバルト艦隊の保障船「レナ」と、救助曳航船SB-921により遂行される。
警備艦「スメトリーヴイ」、大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」、「ツェーザリ・クニコフ」、加えて2隻の保障船で構成される黒海艦隊戦闘艦船支隊は、現在、地中海南東部で計画複合戦闘訓練を行なっており、同エリアで北方並びにバルト艦隊の艦船と合流する予定である。
戦闘訓練計画は、3つの艦隊の艦船の合同艦隊グループに一連の海洋戦術訓練を提供し、ロシア海軍の伝統により、地中海エリアで組織的な対空防衛並びに対潜防衛の為の大規模な複合合同戦闘訓練任務が行なわれる。
ロシア連邦軍機関紙『クラースナヤ・ズヴェズダー』より
2012年7月17日17時57分配信
【進路-ジブラルタル海峡】
内容は全く同一です。
ロシア北方艦隊の大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」、3隻の大型揚陸艦、2隻の保障船(救助曳船及び給油船)は、7月10日にセヴェロモルスクを出港しました。
[ロシア北方艦隊の艦船グループは北大西洋へ行く]
7月16日、北大西洋において、バルチースクより出港したバルト艦隊の艦船が合流しました。
[北大西洋でロシア北方艦隊とバルト艦隊の艦船は合流した]
今回の発表によると、北方艦隊の大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」、救助曳船「ニコライ・チケル」、給油船「セルゲイ・オシポフ」は、バルト艦隊と合流した後、合同グループから離れて基地(セヴェロモルスク)へ戻るようです。
バルト艦隊の給油船「レナ」は、警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」と共に出港したと伝えられましたが、一足遅れてグループに合流するようです。
地中海へ行くのは、以下の艦船になるようです。
[北方・バルト艦隊合同艦船グループ]
指揮官:コラ異種戦力小艦隊司令官ウラジーミル・カサトノフ少将
大型揚陸艦「ゲオルギー・ポベドノーセッツ」(北方艦隊)
大型揚陸艦「アレクサンドル・オトラコフスキー」(北方艦隊)
大型揚陸艦「コンドポガ」(北方艦隊)
警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」(バルト艦隊)
警備艦「ネウストラシムイ」(バルト艦隊)
救助曳船SB-921(バルト艦隊)
給油船「レナ」(バルト艦隊)
北方・バルト艦隊合同艦船グループは地中海へ行き、そこで黒海艦隊の艦船グループと合流します。
[黒海艦隊艦船支隊]
警備艦「スメトリーヴイ」
大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」
大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」
保障船(給油船?)
保障船(救助曳船?)
今回の合同艦隊グループの指揮を執るウラジーミル・リヴォヴィチ・カサトノフ少将は、1962年6月17日生まれで現在50歳です。
2004年3月の原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」核爆発騒動の際、同艦の艦長でした。
[ピョートル・ヴェリキー「核爆発」騒動]

この時には、当時のロシア海軍総司令官から「艦長の責任を問う」などと公言されましたが、結局、カサトノフ艦長の責任とやらは不問にされたようです。
カサトノフ艦長の叔父であるイーゴリ・カサトノフ退役大将は、1990年代に黒海艦隊司令官やロシア海軍総司令官第一代理を務めており、退役後もロシア海軍には一定の影響力を持っていました。
カサトノフ少将は、2008年9月から翌2009年3月の原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」遠距離航海の際には航海指揮官を務めました。
[ロシア艦隊の大西洋・カリブ海遠征]
ロシア連邦軍機関紙『クラースナヤ・ズヴェズダー』より
2012年6月30日02時35分配信
【艦隊の伝統は積み上げられる】
ウラジーミル・リヴォヴィチ・カサトノフ少将へのインタビュー記事です。
彼の祖父ウラジーミル・アファナシエヴィチ・カサトノフ海軍元帥、
叔父のイーゴリ・ウラジーミロヴィチ・カサトノフ大将もソ連/ロシア海軍の軍人でした。

右がウラジーミル・リヴォヴィチ、左はイーゴリ・ウラジーミロヴィチ
ウラジーミル・リヴォヴィチが海軍軍人を志したのも、祖父と叔父の影響でした。
ちなみに、ウラジーミル・リヴォヴィチの父はバイオリニストでした。
ウラジーミル・リヴォヴィチは2000年に原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」艦長に任命されました。
2004年9月の北大西洋への遠距離航海(同年3月の核爆発騒動の半年後)の時の「ピョートル・ヴェリキー」艦長もウラジーミル・リヴォヴィチでした。
[大西洋上のクズネツォフ・その2(機動部隊)]
[大西洋上のクズネツォフ・その3(機動部隊)]
2010年4月、赤旗コラ異種戦力小艦隊司令官に任命されました。
同年、北方艦隊の原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」が極東まで遠征した際、同艦に乗って沿海地方へ来訪しました。
そして2010年5~6月に太平洋艦隊のロケット巡洋艦「ワリャーグ」、海洋救助曳船「フォーチィ・クリロフ」、給油船「ボリス・ブートマ」の3隻がアメリカ訪問の為の遠距離航海を行なった際、ウラジーミル・リヴォヴィチが指揮官を務めました。
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