ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年7月までに始まる

『タス通信』より
2017年3月3日9時59分配信
【航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」の近代化修理は2017年7月までに始まる】
モスクワ、3月3日/タス通信
重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の近代化修理はセヴェロドヴィンスク艦船修理工場『ズヴェズドーチカ』で今年(2017年)前半に始まり、2年半に渡って続く。
『タス通信』はロシア「防衛産業」の情報提供者より伝えられた。
「アドミラル・クズネツォフの近代化修理を開始する決定は、2017年前半に採択されます。
今後1-2ヶ月の間に技術的設計の開発は完了し、近い将来に行なわれるべき作業の量と、その費用が示されます」
対談者は話し、はっきりと言った「全ての艦の作業は、2020年には完了しなければなりません」
情報提供者は、最近に地中海への航海から戻ってきた「クズネツォフ」の修理の契約には、未だ署名されていない事を指摘した。
予備的試算によると、取り引きの価格は200億ルーブル以上になるかもしれないと彼は付け加えた。
航空母艦の動力装置のボイラー8基の内、4基は修理され、他の4基は交換される。
「艦には現代的な電波電子兵装システム、通信システム、偵察システム、航法システムと戦闘管理システムが設置されます。
更に、艦上航空機の着艦の安全を保障する新たなシステムが設置されます。
クズネツォフの混成航空団の航空機の構成の変更は計画されておりません」
情報提供者は話した。
艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』は、同社は修理の為に航空母艦を受け入れる準備を整えているが「契約が締結される時までは、この艦の修理の時期、費用と作業量に関してはコメントできません」と『タス通信』へ伝えた。
以前に『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフが伝えたように、『ズヴェズドーチカ』での近代化の際に「アドミラル・クズネツォフ」の兵装構成は変更される。
ロシア北方艦隊の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は、2016年10月15日から2017年2月8日まで遠距離航海を行ない、シリア沖まで遠征しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]
2016年11月15日から2017年1月初頭までシリア領内のテロ組織への空爆作戦へ参加しました。
無論、「アドミラル・クズネツォフ」にとっては、1991年1月20日の就役以来初の実戦参加となりました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ近代化改装]
シリア沖から戻ってきた「アドミラル・クズネツォフ」は、2017年に近代化改装を開始する予定です。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年初頭から始まる]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは2017年から近代化改装を開始する]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装を担当するのは、セヴェロドヴィンスクの艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』と、そのムルマンスク支所である『第35艦船修理工場』になるようです。
[ムルマンスクの第35艦船修理工場はロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為にドックを拡張する]
[ロシア海軍唯一の空母(重航空巡洋艦)アドミラル・クズネツォフの近代化改装はムルマンスクで始まり、後にセヴェロドヴィンスクへ移される]
[セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』はロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装を行なう用意がある]
艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』

『第35艦船修理工場』

近代化改装の内容については、現時点においては未だ正式には決定されてないようですが、兵装、電子機器、通信機器、航空艤装、戦闘情報管理システムなどは新型に変更される事になるでしょう。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により兵装を変更する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな通信システムを受け取る]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは航空隊と戦闘情報管理ステムを近代化する]
そして今回、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は、2017年前半(7月まで)に開始される事が明らかにされました。
(ただし、公式筋からの情報ではありませんが・・・)
これまでにも「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装に関する情報は何度も出ていますが、機関をどうするのかについての具体的な情報は有りませんでした。
が、今回、初めて具体的な情報が出てきました。
「アドミラル・クズネツォフ」(プロジェクト11435重航空巡洋艦)は、出力50000馬力のTV-12-4蒸気タービンエンジンを4基搭載しています。
(総計で200000馬力)
TV-12-4は、1基につき2基のKVG-4蒸気発生用ボイラー(重油専焼)が附属しておりますので、「アドミラル・クズネツォフ」は合計で8基のKVG-4ボイラーを搭載しています。
(つまり、ボイラー1基当たりの出力は25000馬力)

(22と28が蒸気タービンエンジン室)
この8基のKVG-4ボイラーの内、4基は修理(この場合は、おそらくリビルド)し、あとの4基は交換されるとの事です。
KVG-4ボイラーは、サンクトペテルブルクの『バルト工場』で製造されておりますから、今後、同社で「アドミラル・クズネツォフ」用のKVG-4ボイラー4基が新たに製造される事になるでしょう。

TV-12-4蒸気タービンエンジン自体には触れられていませんが、こちらは、インドへ売却された空母「ヴィクラマーディティヤ」や近代化改装される重原子力ロケット巡洋艦「アドミラル・ナヒーモフ」と同様に、製造元の『キーロフ動力機械工場』(サンクトペテルブルク)でリビルドされることになるでしょう。

「アドミラル・クズネツォフ」は、2008年に7ヶ月間掛けて修理を行ないましたが、この時に蒸気タービンエンジンを「更新」(リビルド)し、ボイラーを修復しています。
[空母アドミラル・クズネツォフの近代化は先延ばしされている]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装の費用は、最大で200億ルーブル以上になるとの事ですが、これは、プロジェクト20380コルベット或いはプロジェクト06363潜水艦2隻分に相当します。
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は2020年末までに完了する予定との事ですから、大規模な近代化改装が行なわれている重原子力ロケット巡洋艦「アドミラル・ナヒーモフ」とほぼ同時期に艦隊へ復帰する事になるようです。
[ロシア海軍の重原子力ロケット巡洋艦アドミラル・ナヒーモフの近代化改装は2020年までの完了が予定されている]
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