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ロシア海軍北方艦隊の原子力水中巡洋艦オリョールは寿命延長近代化改装を終えて出航した

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『タス通信』より
2017年4月6日14時48分配信
【原子力潜水艦「オリョール」は修理後に復帰する】
モスクワ、4月6日/タス通信

プロジェクト949A多目的原子力潜水艦「オリョール」は、修理後にロシア海軍の戦闘編制へ復帰する。
艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』広報サービスは発表した。

「原子力艦は当社の水域を離れ、常時駐留場所への移動を開始しました。
原子力潜水艦オリョールの修理作業は3年以上に渡って続きました。
ズヴェズドーチカは、全ての艦載システム~機械部分、電波電子兵装、船体構造、主動力装置の技術的準備状態の回復を実行しました」

同社は伝えた。

潜水艦の原子炉には(核燃料が)再装填され、兵装複合体は修復された。
専門技術者は更に、原子力艦の推進軸を復旧した。

「近い内に、ロシア英雄セルゲイ・ノヴォハツキー1等海佐が指揮する巡洋艦の乗組員は、納入責任者ミハイル・ポジンスキー率いる試験実施チームと共に、海洋射爆場で艦の全てのシステムの点検を実施します。
オリョールの試験完了後、戦闘任務の遂行へ着手します」
造船所
は指摘した。

北方艦隊プロジェクト949A「アンテイ」原子力潜水艦K-266「オリョール」は、2014年4月に技術的準備状態の回復作業の為、『ズヴェズドーチカ』のドックへ置かれた。
修理完了後、原子力艦の就役期間は3年半に延長される。
潜水艦セヴェロドヴィンスク造船所『セヴマシュ』で建造され、1993年2月5日に海軍へ加入した。

「アンテイ」は、海洋工学中央設計局『ルビーン』(サンクトペテルブルク)により開発された。
この第3世代多目的潜水艦(大陸間弾道ミサイルを搭載しない)のNATO分類は「オスカーII」である。
これらの原子力艦の全長は155メートル、排水量は24000トン、潜航深度600メートル、水中速力32ノット(時速約59キロメートル)、乗組員は107名。
「アンテイ」の兵装は、射程距離約500キロメートルの有翼ミサイル「グラニート」の発射装置24基と6門の魚雷発射管である。



プロジェクト949A巡洋潜水艦K-266は、1989年1月19日にセヴェロドヴィンスク「セヴマシュ」造船所で起工されました。
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1991年、「セヴェロドヴィンスク」と命名されました。

1992年5月22日に進水し、同年7月3日、「原子力水中巡洋艦」に類別変更されました。
1992年10月6日から20日まで工場航海試験が実施され、同年10月30日から国家受領試験が実施されました。
1992年12月30日、ロシア海軍への納入証書へ署名され、海軍へ引き渡されました。

1993年1月20日、ロシア海軍旗を掲揚し、正式にロシア海軍へ就役しました。
1993年1月27日に北方艦隊原潜基地ザーパドナヤ・リッツァへ到着し、2月5日に北方艦隊第1潜水艦小艦隊・第11潜水艦師団へ編入されました。
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1993年4月6日、「オリョール」と改名されました。

「オリョール」Орелロシア語「鷲」という意味ですが、この場合は、ロシア連邦オリョール州から取られています。
K-266は、オリョール州政府の後援を受けています。

2000年8月に同型艦「クルスク」が爆沈した後、「オリョール」「クルスク」引き揚げの為の各種リハーサルに使われました。

2003年から2004年に掛けてロスリャコヴォ村第82艦船修理工場大型浮きドックPD-50で修理が実施され、推進軸が交換されました。
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2013年10月4日、バレンツ海有翼ミサイル「グラニート」を発射しました。
[ロシア北方艦隊はバレンツ海で巡航ミサイル発射訓練を実施した]

2013年11月、修理の為にセヴェロドヴィンスク市艦船修理工場『ズヴェズドーチカ』へ到着しました。
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[オスカーII級原潜オリョールはオーバーホールを行なう]

2014年4月、「オリョール」の寿命延長近代化改装の為の契約が締結されました。
[オスカーII級原潜オリョールは寿命延長工事を行なう]

同年4月23日、セヴェロドヴィンスク市艦船修理工場「ズヴェズドーチカ」ドックへ入渠しました。
[オスカーII級原潜オリョールは寿命延長工事の為にドック入りした]
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2015年4月7日、溶接作業中に艦尾の外部非耐圧殻と内部耐圧殻の間で火災が発生しました。

[セヴェロドヴィンスクの修理工場で火災が発生した]
[修理中のロシア海軍原子力潜水艦オリョールで火災が発生した]
[ロシア海軍原潜オリョール火災事故・続報]
[ロシア海軍原潜オリョール火災事故・続報その2]
火災は4月7日14時14分に発生し、翌4月8日0時57分に完全に鎮火しました。
この間、火災が完全に鎮火できない為、「オリョール」が入っていたドックへの注水が行なわれました。

「オリョール」の改装工事は2015年4月中旬に再開されました。
[ロシア海軍の原潜オリョールの近代化改装工事は再開される]
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2016年10月3日、「オリョール」は再び進水しました。
[火災事故に遭ったロシア海軍北方艦隊の原子力水中巡洋艦オリョールは再進水した]

「オリョール」は2017年4月末までに北方艦隊へ復帰する予定です。
[近代化改装される原子力水中巡洋艦オリョールは2017年4月末までにロシア海軍へ復帰する]

そして2017年4月6日、「オリョール」艦船修理工場「ズヴェズドーチカ」を去り、駐留基地へ向かいました。
今回の記事では具体的に触れられていませんが、ザーパドナヤ・リッツァ基地(ザオゼルスク)の事でしょう。
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今後、「オリョール」は海上で各種の試験を行ない、それが終わった後、正式に北方艦隊へ復帰するようです。


現在、ロシア海軍には8隻のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦が在籍しており(北方艦隊に3隻、太平洋艦隊に5隻)、この内の4隻が打撃有翼ミサイルを換装する大規模な近代化改装を行ないますが、「オリョール」は、この4隻には含まれていません。
(「オリョール」を含む北方艦隊所属の949Aは寿命延長近代化改装のみ)
[ロシア海軍のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級)4隻が近代化改装され、72基の巡航ミサイルを搭載する]
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