ロシア海軍黒海艦隊の警備艦(フリゲート)アドミラル・グリゴロヴィチは再びシリアへ向かった
- カテゴリ:地中海情勢(2017年)

『タス通信』より
2017年4月7日12時19分配信
【情報筋:黒海艦隊のフリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」はシリアのタルトゥース港へ入る】
モスクワ、4月7日/タス通信
黒海艦隊のフリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」の次の地中海への航海の枠組みにおいて、シリアのタルトゥースのロシア海軍物資-技術供給所を訪れる。
『タス通信』はモスクワの軍事-外交筋より伝えられた。
「有翼ミサイル"カリブル"で武装するロシア艦の航海の枠組みにおいて、シリアのタルトゥースの物資技術供給所への寄港が行なわれます」
対談者は話した。
彼によると、「アドミラル・グリゴロヴィチ」は現在、黒海海峡ゾーンに在り、モスクワ時間14時頃には地中海へ入る。
艦は、ノヴォロシースクで物資を補充した後に航海へ向かい、黒海でトルコ艦との合同演習へ参加した。
情報提供者は、シリア沖への「アドミラル・グリゴロヴィチ」の航海継続期間は「状況により変わってきますが、何れにせよ1ヶ月以上になるでしょう」と指摘した。
『タス通信』は、この情報を公式に確認していない。
フリゲートの前の航海は、ほぼ3月の全期間に渡って継続し、艦は3月2日に地中海へ入り、(ロシア)国防省は3月31日にフリゲートがノヴォロシースクへ戻ったと発表した。
「アドミラル・グリゴロヴィチ」はプロジェクト11356フリゲートのトップである。
このシリーズの艦の排水量は、およそ4000トン、速力は30ノット、自立航海期間は30日。
艦の兵装は有翼ミサイル「カリブル-NK」、自己防衛複合体「シチーリ-1」、口径100mmのA-190砲であり、艦上ヘリコプターを搭載できる。
[アドミラル・グリゴロヴィチ型フリゲート]
ロシア海軍の最新警備艦(フリゲート)プロジェクト11356Rの1番艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」は、カリーニングラードの『ヤンターリ』造船所で2010年12月18日に起工され、2014年3月14日に進水し、2016年3月11日に就役しました。
[プロジェクト11356R警備艦(フリゲート)1番艦アドミラル・グリゴロヴィチはロシア海軍へ就役し、黒海艦隊へ編入された]
2016年6月9日にセヴァストーポリ基地へ到着しました。
[ロシア海軍最新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は黒海艦隊基地セヴァストーポリへ到着した]
7月13日には黒海で戦闘訓練を実施しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は黒海で砲撃訓練を行なう]
8月下旬には「抜き打ち演習」へ参加しました。
[ロシア海軍黒海艦隊とカスピ小艦隊は抜き打ち演習へ参加する]
2016年9月24日、「アドミラル・グリゴロヴィチ」は初めての地中海航海へと出発しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦(フリゲート)アドミラル・グリゴロヴィチはギリシャへ向かった]
地中海へ出た「アドミラル・グリゴロヴィチ」は、9月28日にギリシャのケルキラ(コルフ)島を訪問しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦(フリゲート)アドミラル・グリゴロヴィチはギリシャのケルキラ(コルフ島)を訪問した]

10月3日、「アドミラル・グリゴロヴィチ」はギリシャから去りました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦(フリゲート)アドミラル・グリゴロヴィチはギリシャを去った]
10月7日にセヴァストーポリへ帰港しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦(フリゲート)アドミラル・グリゴロヴィチはセヴァストーポリへ帰投した]
それから約1ヶ月後の2016年11月3日、「アドミラル・グリゴロヴィチ」は再び地中海へ向かいました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア沖へ向かった]
11月4日にボスポラス海峡を通過して地中海へ入りました。

その後、北方艦隊の重航空巡洋艦(空母)「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする航空打撃艦グループへ加わりました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]
「アドミラル・グリゴロヴィチ」は11月11日頃までシリアのタルトゥース港へ寄港して各種物資を補充しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチは巡航ミサイルによるシリア領内のテロ組織への攻撃を準備する]
2016年11月15日、シリア領内のイドリブとホムスのISIL(イラク・レバントのイスラム国)及びアル=ヌスラ戦線の施設への攻撃が開始されました。

[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は初めてシリア領内のテロ組織への攻撃へ参加した]
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33の空爆によりアル=ヌスラ戦線の戦闘員30名以上が死亡した]
攻撃へ参加したのは重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の艦載機、沿岸ミサイル「バスチオン」(本来は地対艦ミサイル)であり、この他、「アドミラル・グリゴロヴィチ」も有翼ミサイル「カリブル」を発射しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア領内のテロ組織へ巡航ミサイルを発射した]
その後もロシア海軍空母機動部隊の一員として地中海東部に居たようですが、12月中旬には機動部隊を離れて帰路に就き、12月18日にボスポラス海峡を通過して黒海へ入りました。

2016年12月19日にセヴァストーポリへ帰港しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア沖から帰投した]
その後、12月25日に92名(アレクサンドロフ・アンサンブル団、いわゆる赤軍合唱団のメンバーを含む)を乗せてソチ空港を離陸し、黒海へ墜落したロシア軍の旅客機Tu-154の捜索に参加しました。

『スプートニク日本語版』より
【露軍機ツポレフ154墜落】
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア連邦国防省情報・マスコミュニケーション部発表
2016年12月25日10時16分配信
【ロシア国防省のTu-154の機上滞在者リスト】
2017年2月27日、「アドミラル・グリゴロヴィチ」はセヴァストーポリを出航しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦(フリゲート)アドミラル・グリゴロヴィチは地中海東部(シリア沖)へ行く]
当初は非公式筋からの情報として伝えられていましたが、すぐ後に黒海艦隊広報部から正式に発表されました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア南方軍管区(黒海艦隊)広報サービス発表
2017年2月27日15時31分配信
【黒海艦隊のフリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」はセヴァストーポリから地中海へ出発した】
当初の予定では、2月28日にボスポラス海峡を南下して地中海へ入る筈だったのですが、濃霧によりボスポラス海峡の船舶航行が2日間に渡って中断した為、海峡通航は3月2日にずれ込みました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦アドミラル・グリゴロヴィチは地中海へ入った]
その後、1ヶ月ほど地中海東部(シリア沖)で行動していました。
この間、具体的に何をしていたのかは明らかにされていませんが、おそらくはロシア海軍地中海作戦連合部隊(2013年6月1日創設)の旗艦任務に就いていたのでしょう。
3月29日にボスポラス海峡を北上して黒海へ入りました。

3月31日、1ヶ月ほど前に出航したセヴァストーポリでは無く、黒海東岸のノヴォロシースクへ入港しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア沖からノヴォロシースクへ戻ってきた]

4月3日、トルコ海軍のフリゲート「バルバロス」(F-244)とコルベット「ブユックアダ」(F-512)がノヴォロシースク港を訪れ、「アドミラル・グリゴロヴィチ」はホストシップを務めました。
4月5日にはノヴォロシースク沖で、トルコ海軍の2隻の艦と、「アドミラル・グリゴロヴィチ」を含むロシア海軍黒海艦隊の合同演習が実施されました。
[ロシア海軍とトルコ海軍は黒海で合同演習を行なった]
その後、「アドミラル・グリゴロヴィチ」は4月7日にボスポラス海峡へ入り、南方へ通過しました。
今回のタス通信の記事では「公式に確認されていない」と書かれていますが、「アドミラル・グリゴロヴィチ」の海峡通過は既に現地で確認されています。
行き先は、ロシア海軍の物資補給所が在るシリアのタルトゥース港です。
「アドミラル・グリゴロヴィチ」はノヴォロシースクで物資を補充した後に出航し、トルコ海軍の艦と合同演習を行ない、ボスポラス海峡へ入っているので、ノヴォロシースクを出航した4月5日よりも前の時点で地中海東部(シリア沖)への派遣が既に決まっていたようです。
- 関連記事
スポンサーサイト