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ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年に始まる

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『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2017年4月6日13時51分配信
【航空母艦アドミラル・クズネツォフの近代化は2017年に始まる-ロシア連邦国防省】
モスクワ、4月6日、インタファクス-AVN

航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」の修理と近代化は今年(2017年)に始まり、この作業には『セヴマシュ』の専門技術者が従事する。
木曜日(4月6日)、ロシア国防相代理(国防次官)ユーリー・ボリソフ『インタファクス-AVN』へ伝えた。
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「そうですね、作業は今年から始まります」
ユーリー・ボリソフ
は質問に答え、こう話した。
彼によると、航空母艦の修理と近代化は、『セヴマシュ』(セヴェロドヴィンスク、アルハンゲリスク州)で行なわれる。

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以前、『統合造船業営団』総裁アレクセイ・ラフマノフは、航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」は完全な戦闘準備状態に在り、近代化の作業量については国防省の決定を待っていると述べた。
「クズネツォフは、完全に戦闘可能な航空母艦です。
僕は、それが完全に戦闘可能であると確信しております。
それは、我々が昨年に行なった近代化の後、根本的に新たな機能を有する性質の航空団を得ました。
それは、自身の機能を適切に実行できるように、基礎ユニット、システム、機構が更新されました」
アレクセイ・ラフマノフ
は、月曜日(4月3日)にラジオ局『エコー・モスクワ』の生放送で話した。
「従いまして」彼は続けた。
「老朽化による除籍というのは時期尚早ですが、ある種の近代化は必要であり、この事実は生きています。
僕達は、国防省が然るべき指示を下したのならば、この作業を準備します」


アレクセイ・ラフマノフは、今後の近代化の作業量については何も言わず、この問題はロシア連邦国防省が決めると説明した。
それは、作業実施期間に依る。
「それは国防省の仕事です。
完全な戦闘準備状態に在りますし」
アレクセイ・ラフマノフ
は話した。

また、彼は、シリア作戦へ参加中の航空母艦における航空機の墜落事故の原因に関する質問には答えなかった。
「これは、軍の問題です。
僕が質問に御答えするのは、少なくとも、艦上に居た場合ですね」
アレクセイ・ラフマノフ
は話した。

3月17日、『イズベスチヤ』紙は、航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」の近代化には650億ルーブルの費用が掛かり、巡洋艦の就役期間は20年延長されると報じた。

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以前、ロシア連邦副首相ドミトリー・ロゴージンは、「アドミラル・クズネツォフ」が、問題点洗い出しの過程を終えた後に修理へと向かい、具体的な時期は国防省が決めると述べた。

3月2日、『インタファクス』のインタビューに対し、ドミトリー・ロゴージンは、ソヴィエト時代に製造された重巡洋艦は、近代化する事により、ロシア連邦海軍の戦闘編制へ長期に渡り留まる事が出来ると話した。
「僕達は、過去に作成された戦闘プラットフォームを使用するのは恥ずべき事であるなどとは考えておりません。
この巡洋艦は、高度な近代化の対象です。
それは、多年に渡る長期の勤務を継続する事が出来るようになります」
ドミトリー・ロゴージン
は指摘した。

重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は、2月8日に地中海からセヴェロモルスクへ戻ってきた。
巡洋艦艦上航空隊は、シリア軍事作戦へ関わっていた。
「アドミラル・クズネツォフ」の航海中、2機の艦上戦闘機が失われた。
事故は着艦へのアプローチの際に発生し、飛行士は脱出した。

「アドミラル・クズネツォフ」は、1982年に黒海造船工場の造船台で起工された。
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艦は50機以上の航空機を搭載できる。
その兵装は、有翼対艦ミサイル「グラニート」、高射ミサイル複合体「クリノーク」高射ミサイル砲複合体「カシターン」、自動艦載砲、更に対潜防衛システムから成る。

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ロシア連邦大統領の指示により、2016年1月から10月まで、株式会社『艦船修理工場ズヴェズドーチカ』は、重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」の修理と近代化の作業を実行した。
実行期間は短縮され、回復作業に求められる企業の生産能力と組織的リソースは大規模に動員された。
課題遂行の為、数千名の高度熟練労働者と専門技術者が参加し、組織的な3交代モードで作業が行なわれた。

巡洋艦の航海の準備は、作業実行期間中に同艦が運用から外されなかった為、困難であった。
巡洋艦の乗組員の居住の保障及び戦闘訓練の活動の為、修理作業は非常に慎重な調整を必要とした。




ロシア北方艦隊重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は、2016年10月15日から2017年2月8日まで遠距離航海を行ない、地中海東部(シリア沖)まで遠征しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]

2016年11月15日には初めてシリアへの空爆作戦へ参加し、イドリブ県『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃しました。


以後、2017年1月初頭までシリア領内のテロ組織(『イスラム国』『アル=ヌスラ戦線』)への空爆作戦へ参加しました。

無論、「アドミラル・クズネツォフ」にとっては、1991年1月20日の就役以来初の実戦参加となりました。

「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行ない、シリア領内テロ組織の施設1252を破壊しました。



[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ近代化改装]

シリア沖から戻ってきた「アドミラル・クズネツォフ」は、2017年に近代化改装を開始する予定です。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは2017年から近代化改装を開始する]

「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装を担当するのは、セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』と、そのムルマンスク支所である『第35艦船修理工場』になるようです。
[ムルマンスクの第35艦船修理工場はロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為にドックを拡張する]
[ロシア海軍唯一の空母(重航空巡洋艦)アドミラル・クズネツォフの近代化改装はムルマンスクで始まり、後にセヴェロドヴィンスクへ移される]
[セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』はロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装を行なう用意がある]

艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』
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『第35艦船修理工場』
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近代化改装の内容については、現時点においては未だ正式には決定されてないようですが、兵装、電子機器、通信機器、航空艤装、戦闘情報管理システムなどは新型に変更される事になるでしょう。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により兵装を変更する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな通信システムを受け取る]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは航空隊と戦闘情報管理ステムを近代化する]


これまでのロシア側の報道を見る限り、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装には、改装費用が異なる幾つかのオプションが考慮されているようです。

改装費用650億ルーブル(2017年3月中旬初出。但し、新型機器の設計開発費用300億ルーブルも含む)
兵装(打撃有翼ミサイル複合体も含む)や電子機器の殆ど全てを交換し、寿命も20年延長。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により寿命を20年延長する]

改装費用200億ルーブル(2017年3月初頭初出)
対空兵装、電子機器などを新型に換装し、ボイラー4基を交換。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年7月までに始まる]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年5月末から始まるかもしれない]

改装費用数十億ルーブル(2016年5月下旬初出)
主に航空関係艤装に焦点を当てた必要最低限の改装。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年初頭から始まる]


「アドミラル・クズネツォフ」を設計した『ネフスキー計画設計局』は、既に同艦の近代化改装の設計案を完成させています。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の設計案は完成した]


そして今回、ロシア連邦国防相代理(国防次官)ユーリー・ボリソフ氏は、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は2017年から始まると改めて明言しました。

「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装開始は2018年に延期されるという話も出ていますが、ボリソフ氏は、それを否定しました。

ただボリソフ氏は、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装はセヴェロドヴィンスク造船所『セヴマシュ』で行なうと述べています。
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2010年4月に初めて「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装の話が出た時には、その為の作業は『セヴマシュ』で行なわれると言われていました。
[空母アドミラル・クズネツォフ近代化計画]

しかし最近では、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は、上記のように、セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』と、そのムルマンスク支所である『第35艦船修理工場』での実施が有力視されています。

『セヴマシュ』は、退役した重航空巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」インド海軍向けの空母「ヴィクラマーディティヤ」へ改造した経験を持っているので、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装にも協力するという事でしょうか。
[空母ヴィクラマーディティヤ]
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