ロシア海軍のチタン製原潜カルプの近代化改装作業は中断している
- カテゴリ:ロシアの潜水艦

『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2017年4月27日18時35分配信
【情報筋:「カルプ」の近代化の再開は有りそうにない】
チタン潜水艦プロジェクト945「カルプ」の近代化は、2014年に艦からの(核)燃料の撤去に限定されている。
『海軍産業』(フロートプロム)への防衛産業企業体の情報提供者によると、作業の再開は有りそうにない。
「カルプの近代化は、あまりにも長く、労力を有するものであり、その加工作業は、かなり高価です」
対談者は話した。
「今日において(ロシア)国防省は、これが、より急を要するプロジェクトであるのかどうか、その妥当性を疑問視しています」
彼は、構造的に複雑な「カルプ」を、国防省から出された第4世代潜水艦の必要条件まで近づける可能性については明確ではないと付け加え、更に、最終的な決定は未だ採択されてない事を強調した。
サイト『ディープストーム』創設者のアンドレイ・ニコラエフによると、プロジェクト945潜水艦の近代化の妥当性の問題を提起する場合、「カルプ」と「コストロマ」(同プロジェクトの第2の潜水艦、「カルプ」の後に更新が計画されている)の近代化の資金と労力は、新たな「ヤーセン」の建造へ向けるのが論理的である。
「各潜水艦は存在しております。
近代化されるヤーセンのような現代的な艦を受領する機会、或いはプロジェクト971の復帰の試みへ集中する方が合理的でしょう。
多分、その方が経済的合理性が有ります」
彼は専門家と意見を共有した。
[『海軍産業』参考資料]
(ロシア)国防省は、2014年にセヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』と、プロジェクト945潜水艦B-239「カルプ」とB-276「コストロマ」の修理及び近代化の契約へ署名した。
「バラクーダ」は、新たな水中音響ステーション(ソナー)、戦闘情報管理システム、レーダー、GLONASS/GPS航法システム、兵装システムの取得が予定されている。
2015年2月には、近代化が停止した事が知られるようになったが、同社広報サービスは、修理作業は続けられていると表明した。
潜水艦「カルプ」は1984年に、「コストロマ」は1987年に北方艦隊へ加入した。
それぞれ1998年と2000年には予備役に編入された。
双方の潜水艦は、ニジニ・ノヴゴロド造船所『クラースノエ・ソルモヴォ』で建造された。
チタン製の船体を持つプロジェクト945/945A原子力潜水艦は、1980年代前半~1990年代前半に掛けて計4隻が就役し、全て北方艦隊の第7潜水艦師団へ配備されました。
[アラグバ(ヴィジャエヴォ)のロシア海軍原子力潜水艦]

ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【プロジェクト945「バラクーダ」(NATOコード名「シエラI」)】

・K-239:工場番号301
(1992年7月3日にB-239へ改名、1993年4月6日に「カルプ」と命名)
1979年7月20日起工/1983年7月29日進水/1984年9月29日納入/1984年12月7日就役

・K-276:工場番号302
(1992年7月3日にB-276へ改名、1993年4月6日に「クラブ」と命名、1996年11月15日に「コストロマ」と改名)
1984年4月21日起工/1986年7月26日進水/1987年10月27日納入/1987年11月4日就役
【プロジェクト945A「コンドル」(NATOコード名「シエラII」)】

・K-534:工場番号3003
(1992年7月3日にB-534へ改名、1993年4月6日に「ズバトカ」と命名、1995年3月23日に「ニジニ・ノヴゴロド」と改名)
1986年2月15日起工/1989年8月7日進水/1990年12月26日納入/1990年12月27日就役

・K-336:工場番号3004
(1992年7月3日にB-336へ改名、1993年4月6日に「オクーン」と命名、1996年4月3日に「プスコフ」と改名)
1989年7月29日起工/1992年7月28日進水/1993年12月14日納入/1993年12月17日就役
プロジェクト945/945Aは、当初は「巡洋潜水艦」に分類されていましたが、1992年7月3日付で「原子力大型潜水艦」に類別変更され、就役時のKナンバーからBナンバーに変更されました。
1984年に就役したプロジェクト945の1番艦B-239は、1994年にはセヴェロドヴィンスク艦船修理センター「ズヴェズドーチカ」へ回航されましたが、予算不足により修理は実施されず、1998年5月には海軍の戦闘編制から除籍されました。
プロジェクト945/945Aの近代化改装の話は、2013年3月に出てきました。
[ロシア海軍はシエラ級原潜を復帰させる]
[近代化改装後のシエラ級原潜は第4世代原潜に匹敵する]
その後、ロシア海軍総司令官ヴィクトール・チルコフ提督は、プロジェクト945原潜の近代化計画が有る事を認めました。
[ロシア海軍は2020年までに12隻の原子力潜水艦を近代化する]
[ロシア海軍は2020年までに10隻以上の近代化された原子力潜水艦を受け取る]
まず最初に、事実上退役しているB-239「カルプ」から近代化作業に着手される事になり、2014年には核燃料が撤去されました。
[シエラI級原潜の近代化改装が始まる]
[近代化改装されるシエラI級原潜カルプは核燃料を撤去する]
続いて「ズヴェズドーチカ」のドックへ入渠して各種改装工事が実施される予定でしたが、その後、「カルプ」に関する作業は中断されました。
[シエラI級原潜カルプの近代化改装作業は中断した]
この報道に対し、「ズヴェズドーチカ」は、「カルプ」の近代化改装は中止されていないと反論しました。
[シエラI級原潜カルプの近代化改装を中止する決定は下されていない]
しかし、その後も「カルプ」の近代化改装工事は再開される事は無く、現在も中断したままになっています。
ロシア海軍は、プロジェクト945/945A原子力潜水艦の近代化改装を完全に断念してはいないようですが、プロジェクト971原子力巡洋潜水艦の近代化改装などの方が優先される事になり、当面は先送りされるようです。
[ロシア海軍は新たなチタン製原潜の建造を計画していないが4隻のシエラI/II級原潜は近代化される]
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