ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機事故(2016年12月)の原因は着艦拘束装置のケーブルとは関係が無い

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2017年5月11日19時10分配信
【『セヴェルスターリ』:「アドミラル・クズネツォフ」における非常事態は、ケーブルの品質とは関係が無い】
モスクワ、5月11日-ロシア通信社ノーボスチ
航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」における航空機Su-33の事故は、航空拘束装置のケーブルが不良品であったが故に発生したという説は確認されなかった。
木曜日に『セヴェルスターリ』社広報サービスは発表した。
昨年12月5日、シリアでの戦闘任務を遂行した後の戦闘機Su-33は、航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」への着艦を行なった際、甲板を越えて飛び出した。
事故は、航空拘束装置のケーブルが切断された後に発生した。
戦闘機パイロットは脱出に成功し、彼は捜索救助サービスにより艦上へ送り届けられた。
「2016年12月5日に地中海エリアで重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの甲板への着艦を行なった際の軍用航空機Su-33の事故に関する原因の調査を行なっているロシア連邦国防省は、『セヴェルスターリ』指導部へ、次のような結論を通知しました:株式会社『レダエリーSSM』が製造した航空拘束装置のロープが不良品であった事が原因であるとの説は確認されなかった。
ロープの品質に関する請求は有りませんでした」
声明では、こう述べられた。
更に、それは以前にサンクトペテルブルクの連邦単一企業『クルイロフ国立科学センター』の研究室で、必要条件に沿っているかどうかの見本品の試験が行われており、更には、ロープは必要条件に沿っていると確認されたことを強調した。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]
北方艦隊の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする航空打撃艦グループは、2016年10月15日に地中海東部(シリア沖)へ向けて出航し、2017年2月8日に帰港しました。
2016年11月15日には初めてシリアへの空爆作戦へ参加し、イドリブ県の『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃しました。
以後、2017年1月初頭までシリア領内のテロ組織(『イスラム国』や『アル=ヌスラ戦線』)への空爆作戦へ参加しました。
無論、「アドミラル・クズネツォフ」にとっては、1991年1月20日の就役以来初の実戦参加となりました。
「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行ない、シリア領内のテロ組織の施設1252を破壊しました。
シリア作戦中、「アドミラル・クズネツォフ」の艦上戦闘機2機が事故により失われています。
2016年11月13日には、艦上戦闘機MiG-29Kが墜落しました。
パイロットは脱出に成功しました。
[地中海東部のロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフで艦上戦闘機MiG-29Kの墜落事故が発生した]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機MiG-29KRの墜落事故(2016年11月13日)・続報]
2016年12月5日、艦上戦闘機Su-33(機体番号67)が「アドミラル・クズネツォフ」へ着艦した際、着艦拘束装置のケーブルを切ってしまった為に停止できず、海中に落ちました。
パイロットは脱出に成功しました。
[ロシア海軍の艦上戦闘機Su-33は地中海東部(シリア沖)で空母への着艦に失敗して海中へ落ちた]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33の海中落下事故(2016年12月5日)・続報]
事故の原因については様々な憶測が流れていますが、その中の1つに着艦拘束装置のケーブルが不良品だったというのが有ります。
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機事故(2016年11月13日/12月5日)・続報]

「アドミラル・クズネツォフ」の着艦拘束装置「スヴェトラーナ-2」は、サンクトペテルブルクのプロレタリア工場で製造されたものです。
【公開株式会社「プロレタリア工場」公式サイト】
プロレタリア工場は、ロシア海軍向け以外に、インド海軍向けにも着艦拘束装置を製造しています。
[ロシアは着艦拘束装置の製造を再開した]
着艦拘束装置のケーブル自体は、ロシアの大手鉄鋼会社『セヴェルスターリ』の子会社『レダエリーSSM』が製造しています。

【『セヴェルスターリ』公式サイト】
そして今回、『セヴェルスターリ』社は、着艦事故の原因を調査しているロシア国防省から、事故原因は子会社が製造したケーブルとは関係が無いと通知を受けました。
事故原因については、以前に『コメルサント』紙が、パイロットの操作ミス(着艦拘束装置のケーブルの真ん中付近では無く、そこから外れた位置に着艦フックを引っ掛けた為に多大な負荷が掛かって切れた)と報じた事もありましたが、即座にロシア国防省広報部から名指しで否定されています。
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