ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の概要が定められた

『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2017年5月15日9時0分配信
【航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」近代化の「ロードマップ」は開発された-情報筋】
サンクトペテルブルク、5月15日、インタファクス-AVN
重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の今後の近代化の輪郭と範囲は軍により定められた。
月曜日にインタファクス-AVNは情報筋より伝えられた。
「航空母艦の近代化のロードマップは承認されました」
彼は指摘した。
彼によると、何処の企業で近代化が実施されるのか、そして作業の開始時期は、未だ決定されていない。
巡洋艦の今後の近代化の過程において、資金上の理由から、ミサイル複合体「グラニート」の交換は、おそらくは実行されないと以前に対談者の1人は話した。
彼によると、近代化は、先ず初めに、主動力装置の4基のボイラーの交換に関連する。
「この内の2基は、既にバルト工場(『統合造船業営団』へ加入している)に用意されています」
対談者は伝えた。
「更に、電波位置特定機器(レーダー)と電波電子兵装、航空機航法複合体も近代化されます」
彼は指摘した。
対談者によると、ボイラーの交換の為の操作には、航空母艦が少なくとも6ヶ月間はドックに滞在する事が必要である。
彼は、現在、このようなトン数の艦を受け入れる事が可能な唯一のドックは、同艦の近代化の準備を計画し、『統合造船業営団』の構成から外されている『第82艦船修理工場』に在ると話した。
「アドミラル・クズネツォフ」は、この前の秋と冬には地中海への遠距離航海に在り、2月8日に戻ってきた。
艦上に在った第279独立艦上戦闘機航空連隊と第100独立艦上戦闘機航空連隊の一部の航空機は、シリアのテロリスト目標への攻撃へ参加した。
公式データによると、戦闘飛行の実施中、2機の航空機が航空母艦への着艦の際に失われた。
重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」が有する武装には、特に、科学生産合同『機械製造』(現在はコーポレーション『戦術ミサイル兵器』へ加入)が開発した対艦ミサイル複合体「グラニート」の12基の発射装置が有り、ミサイルの飛翔距離は700kmまでである。
ロシア北方艦隊の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は、2016年10月15日から2017年2月8日まで遠距離航海を行ない、地中海東部(シリア沖)まで遠征しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]
2016年11月15日には初めてシリアへの空爆作戦へ参加し、イドリブ県の『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃しました。
以後、2017年1月初頭までシリア領内のテロ組織(『イスラム国』や『アル=ヌスラ戦線』)への空爆作戦へ参加しました。
無論、「アドミラル・クズネツォフ」にとっては、1991年1月20日の就役以来初の実戦参加となりました。
「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行ない、シリア領内のテロ組織の施設1252を破壊しました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ近代化改装]
シリア沖から戻ってきた「アドミラル・クズネツォフ」は、2017年に近代化改装を開始する予定です。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは2017年から近代化改装を開始する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年に始まる]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装を担当するのは、セヴェロドヴィンスクの艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』と、そのムルマンスク支所である『第35艦船修理工場』になるようです。
[ムルマンスクの第35艦船修理工場はロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為にドックを拡張する]
[ロシア海軍唯一の空母(重航空巡洋艦)アドミラル・クズネツォフの近代化改装はムルマンスクで始まり、後にセヴェロドヴィンスクへ移される]
[セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』はロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装を行なう用意がある]
艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』

『第35艦船修理工場』

近代化改装の全容は明らかにされていませんが、兵装、電子機器、通信機器、航空艤装、戦闘情報管理システムなどは新型に変更される事になるでしょう。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により兵装を変更する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな通信システムを受け取る]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは航空隊と戦闘情報管理ステムを近代化する]
これまでのロシア側の報道を見る限り、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装には、改装費用が異なる幾つかのオプションが考慮されているようです。
改装費用650億ルーブル(2017年3月中旬初出、但し、新型機器の設計開発費用300億ルーブルも含む)
兵装(打撃有翼ミサイル複合体も含む)や電子機器の殆ど全てを交換し、寿命も20年延長。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により寿命を20年延長する]
改装費用200億ルーブル(2017年3月初頭初出)
対空兵装、電子機器などを新型に換装し、ボイラー4基を交換。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年7月までに始まる]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年5月末から始まるかもしれない]
改装費用数十億ルーブル(2016年5月下旬初出)
主に航空関係艤装に焦点を当てた必要最低限の改装。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年初頭から始まる]
「アドミラル・クズネツォフ」を設計した『ネフスキー計画設計局』は、既に同艦の近代化改装の設計案を完成させています。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の設計案は完成した]
2017年4月下旬、「ロシア防衛産業企業体の匿名の情報提供者」は、「アドミラル・クズネツォフ」が近代化改装で現用の有翼ミサイル複合体「グラニート」を汎用垂直発射装置3S-14UKSKへ換装すると発言しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな打撃巡航ミサイル(カリブル、オーニクス、ツィルコン)を装備する]
「グラニート」の換装については、以前にもロシア連邦副首相ドミトリー・ロゴージン氏が言及しています。

2017年5月、別の「情報提供者」は、「グラニート」の換装については「おそらくは実行されない」と言いました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装で有翼ミサイル複合体グラニートを換装しない?]
「アドミラル・クズネツォフ」の8基のボイラーの内、4基は新品に交換されるようですが、この工事は、ムルマンスク近郊のロスリャコヴォに在る第82艦船修理工場の大型浮きドックで行なわれる可能性が高いようです。

第82艦船修理工場は、その大型浮きドックで何度も「アドミラル・クズネツォフ」の修理を行なったことがあります。

この他、レーダーなどの各種電子機器も近代化するとの事ですから、新型のものに換装される事になるようです。
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