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ロシア海軍向けのプロジェクト11356Rフリゲート後期建造艦3隻の建造工事は2018年に再開される

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『イズベスチヤ』より
2017年6月2日0時2分配信
【停滞していた「ブレヴェストニク」シリーズは復活する】

ロシア造船業界は、キエフがエンジン供給を拒否したが故に中断されていたプロジェクト11356フリゲートの建造を再開する。

『統合造船業営団』は、3隻のプロジェクト11356「ブレヴェストニク」フリゲートの作業を2018年に再開する。
以前、これらの艦の建造は、キエフガスタービン装置の供給を拒否したが故に停止されていた。
作業継続の決定は、ロシアの新たなガスタービン装置M70FRUM90FRの予備試験の結果により下された。
専門家によると、これらの艦の出現は、地中海、中部大西洋及び北大西洋、更には北極ゾーンにおける(ロシア)海軍の能力を大幅に向上させる。

現在、海軍には、発注されたこのクラスの艦6隻の内の3隻が在る。
フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」、「アドミラル・エッセン」、「アドミラル・マカロフ」黒海艦隊に加わっている。
残る3隻のフリゲート「アドミラル」シリーズ「ブタコフ」、「イストミン」、「コルニロフ」は、カリーニングラード工場『ヤンターリ』で、保管の様々な段階に在る。
これらは、バルト艦隊の為に意図されている。

その建造は、ロシアが事前に代金を支払ったニコラエフ企業『ゾーリャ機械設計』の動力装置DS71D090の供給をウクライナが拒否したが故に中断した。
完成させる事が出来なくなったが故に、「アドミラル」インド海軍へ売却されると見られていた。
『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフ『イズベスチヤ』へ伝えたように、艦の建造は、新たな動力装置を考慮に入れた然るべき試験と改正の後、2018年に再開される。

「決定は下され、科学研究試験設計作業が必要となります」
アレクセイ・ラフマノフ
は説明した。
「ですが、ロシア製ガスタービンにより生じる設計サイクルでの多くの作業を考慮した事により、艦の建造方式の如何なる変更も実行する必要は有りません。
私共は、これらの科学研究試験設計作業が、それほど大きなものだとは思っておりません。数年前に我々は不要なものを切り捨てておりますので」


アレクセイ・ラフマノフが指摘したように、期限はガスタービン集合体にのみ依存するものでは無い~造船業界には、全ての主要システムの契約更新が控えている。

「従いまして、我々が保証期間、機器の操作期間と然るべき保管期間を守る事が出来たのは非常に重要です」
『統合造船業営団』
のトップは話した。

海軍総司令部『イズベスチヤ』へ話したように、プロジェクトの基本的な考慮事項として、2基のガスタービンエンジンM70FRU「タンデム」に設置される。
予備計算によると、それは最大出力14000馬力を艦に保障する。
この場合、艦は速力30ノットを発揮できる。
これは時速60km以上となり、現代の戦闘艦としては非常に相応しいものと考えられる。
その航続距離は4850海里~9000kmである。
これは、燃料の補給無しでバルト艦隊主要基地バルチースクからシリアロシア基地タルトゥースへ充分に到達できる。

海軍兵器専門家アレクサンドル・モズゴヴォイは、プロジェクト11356フリゲートを完成させる決定は歓迎されると『イズベスチヤ』へ話した。

「それは我々の海軍には、とても必要であり、インドへ売却などすれば、私達は3隻の良い艦を失ってしまいます」
専門家は指摘した。
「この汎用艦は、地中海、中央大西洋、そして北大西洋で行動できます。
それは今、欠落しています。
何故なら、ソヴィエト時代に建造された全ての大型艦は老朽化し、その寿命を終えておりますので。
プロジェクト11356に代わるフリゲートは、事実上ありませんし」


プロジェクト11356「ブレヴェストニク」フリゲートの全長は125メートル、幅15メートル。乗組員180名。
艦上には、長距離有翼ミサイル「カリブル」或いは最新の超音速対艦複合体「オーニクス」を発射できる8基の発射装置3S14が配置されている。
艦の対空防衛は、高射ミサイル複合体「シチーリ-1」により保障される。
艦は100mm砲A-190、4基の533mm魚雷発射管を有する。
ヘリコプターKa-27或いは打撃機Ka-52型「カトラン」が駐留できる。



[アドミラル・グリゴロヴィチ型フリゲート]

プロジェクト11356R警備艦(フリゲート)は、インド海軍向けとして計6隻が建造された「タルワー」級フリゲートロシア海軍向けヴァージョンです。
[「タルワー」級(プロジェクト1135.6)]
[プロジェクト11356(タルワー級)の装備]
[プロジェクト11356R(改タルワー級)フリゲート]

プロジェクト11356Rの1番艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」は、2010年12月18日に起工され、2014年3月14日に進水、2016年3月11日に就役しました。
[プロジェクト11356R警備艦(フリゲート)1番艦アドミラル・グリゴロヴィチはロシア海軍へ就役し、黒海艦隊へ編入された]
2016年6月に黒海艦隊基地へ回航された後は度々地中海東部へ進出しています。

2番艦「アドミラル・エッセン」は2011年7月8日に起工、2014年11月7日に進水、2016年6月7日に就役しました。
[第2のプロジェクト11356R警備艦(フリゲート)アドミラル・エッセンはロシア海軍へ就役した]
2017年4月末に黒海艦隊基地へ向けて出航し、5月中旬には地中海東部へ到達しました。

現在、この2隻は地中海東部に居ます。
[地中海東部ではロシア海軍黒海艦隊の約15隻の艦船が行動している]

3番艦「アドミラル・マカロフ」は2012年2月29日に起工、2015年9月2日に進水し、2016年7月末以降に洋上試験が行われています。
[ロシア海軍の最新警備艦(フリゲート)アドミラル・マカロフはバルト艦隊の防空演習へ参加した]
2017年6月にはロシア海軍へ引き渡される予定です。


4番艦「アドミラル・ブタコフ」は2013年7月12日に、5番艦「アドミラル・イストミン」は2013年11月15日に起工されました。

6番艦「アドミラル・コルニロフ」は、まだ公式には起工されていませんが、既に船体パーツの製造は始められているようです。

「アドミラル・ブタコフ」は2016年3月2日に造船台から出され、現在は岸壁に係留されています。
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4番艦以降の3隻は、ウクライナからのガスタービンエンジンの供給問題により建造が中断しました。
[ガスタービンエンジン代替問題]
ソ連/ロシア艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシア「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」、ウクライナ「ゾーリャ機械設計」が関わっており、エンジンの主要パーツはロシアで製造し、最終組立は「ゾーリャ機械設計」で行なわれていたのですが、2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナロシアの関係も悪化し、ガスタービン生産の分業体制も瓦解しました。

この為、2016年初春頃からインドへの売却交渉が行なわれ、2017年2月にはインドへの売却が決まったと報じられました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為に建造されたプロジェクト11356Rフリゲートの4番艦と5番艦はインドへ売却される]

しかし、2017年4月末以降にロシア国内でのガスタービンエンジンの生産体制が整い、ガスタービンの生産再開の目途が立った事により、プロジェクト11356Rの後期建造艦3隻は、ロシア海軍向けとして建造が再開される事になりました。


プロジェクト11356Rの前期建造艦3隻は、ガスタービン集合体M7N1(巡航用ガスタービンDS-71ブースト用ガスタービンDT-59から成るユニット)を搭載していましたが、後期建造艦3隻は、出力14000馬力のガスタービンエンジンM70FRUを2基「タンデムに配置する」との事ですから、4基のM70FRUによるCOGAG(COmbined Gas turbine And Gas turbine)方式となるようです。

以前にはプロジェクト11356Rは全て黒海艦隊向けとされていましたが、建造再開に当たり、後期建造艦3隻はバルト艦隊へ配備される事になりました。
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