ロシア海軍の為のエアクッション揚陸艦ズーブル級の建造が再開される
- カテゴリ:ロシアの揚陸艦

『イズベスチヤ』より
2017年6月15日0時1分配信
【船員は飛ぶ艦を造る】
ロシアは巨大な高速エアクッション揚陸艦の製造を再開する。

ロシアは、比類無きエアクッション揚陸艦プロジェクト12322「ズーブル」型の製造再開を計画している。
それは、無防備の海岸へ計150トンまでの3両の戦車、或いは10両の装甲兵員輸送車と海軍歩兵隊員を送り届ける事が出来る。
新たな「ズーブル」は、積載量の少ない空気空洞揚陸艦プロジェクト21820「ジュゴン」を代替する。

最初の完全なロシア製「ズーブル」の建造は、2018年に開始されなければならない。
『イズベスチヤ』が(ロシア)海軍総司令部より伝えられたように、今、請負業者の問題は解決される。
競争入札には、サンクトペテルブルクの造船工場『アルマーズ』、フェオドシヤの『モーリェ』、ハバロフスクの『ハバロフスク造船工場』が招かれ、更には、カリーニングラードの『ヤンターリ』も可能性が有る。
これらの企業は全て、様々な時期にエアクッション艦を建造或いは整備した。
このリストの中で『アルマーズ』は、最も気に入られているように見える。
同社は、ソヴィエト海軍の為に10隻の「ズーブル」を建造している。
工場は、ギリシャへのプロジェクト12322艦の供給へ参加した。
その一方、同社は海上クレーンと境界線警備艦の建造で忙しい。
フェオドシヤ工場『モーリェ』は、クリミアがロシアへ復帰する前、中国の為の『ウクロボンプロム』の契約下で2隻の「ズーブル」を建造した。
同社には、エアクッション艦の未完成の船体1隻が残された。
株式会社『ハバロフスク造船工場』は、2004~2006年に大韓民国の為にプロジェクト12061「ムレナ」艇を建造した。
カリーニングラード工場『ヤンターリ』も競争入札への参加者として招かれる。
同社は、バルト艦隊の2隻の「ズーブル」の内の1隻~「エフゲニー・コチェシコフ」の修理の経験が有る。
しかしながら、海軍本部が指摘したように、同社の入札への招待は、むしろ形式的なものである。
近い内に『ヤンターリ』は、3隻のプロジェクト11356フリゲートの完成へと集中する。
その建造は、以前にロシアが代金を支払い済みのニコラエフ企業『ゾーリャ機械設計』のエンジンの供給をウクライナが拒否したが故に中断していた。
「ズーブルの建造再開は、先ず初めに、工場『サトゥルン』でのガスタービン装置の生産開始に関連しています」
雑誌『兵器輸出』編集長アンドレイ・フロロフは『イズベスチヤ』へ説明した。
「これらは、常にニッチな需要が有る良い艦です。
このような高速揚陸艦は、黒海、バルト海、或いはカスピ海のような閉ざされた舞台で必要となります。
また、我々は、このような大規模なエアクッション艦の建造能力を保持しております」
専門家によると、現有の揚陸艦プロジェクト「ジュゴン」と「ギュルザ」は、海軍と海軍歩兵が直面する課題の解決の為には不十分である。
「我々は、ジュゴンの問題で輸入されたような良いディーゼルを持っていません」
アンドレイ・フロロフは付け加えた。
「ズーブルは既に実績が有り、その良好さは示され、そして海外でも需要が有ります」
軍艦プロジェクト12322「ズーブル」の全長は57メートル、幅20メートル。艦の排水量は535トン。吃水2メートル。
それは高温ガスタービンエンジンを有する。
4基の直径2.5メートルのファンは、艦のエアクッションを提供する。
そして、着水移動は可変迎角を有する直径5.5メートルの3枚のプロペラによる。
そのお蔭により、艦は、海上船としては未曽有の速力70ノット(時速約130km、通常の戦闘艦は35ノットよりも速くは動かない)を発揮する。
艦は、世界中の無防備の海岸の78パーセントへの揚陸部隊の上陸が可能である。
艦首開口部ランプを有する通常の揚陸艦が行なえるのは、14パーセントのみである。
「ズーブル」のもう1つの特徴は、電波位置特定ステーション(レーダー)から見えない事に有る。
このような効果は、艦の移動中に水しぶきが巨大な雲を発生させ、レーダー画面上で、その輪郭を「洗い流す」が故に達成される。
揚陸部隊の移送に加え、「ズーブル」は機雷源の設置を行ない、必要ならば揚陸の為の火力支援を与える事が出来る。
艦には、2基の一斉射撃反応火力システム「グラード-M」が設置されている。
1990年代初頭のソヴィエト海軍には、8隻の「ズーブル」が有った。
ソヴィエト社会主義共和国連邦の解体後、この内の5隻はウクライナへ、3隻はロシアへ行った。
『中央設計局アルマーズ』公式サイトより
【揚陸艦プロジェクト12322「ズーブル」】
プロジェクト12322「ズーブル」エアクッション小型揚陸艦は、サンクトペテルブルクの『沿海造船工場』(現『造船商会アルマーズ』)で7隻(内3隻はギリシャ海軍向け)、クリミア半島のフェオドシヤの『造船工場モーリェ』で7隻(この内の1隻はギリシャ海軍、2隻は中国海軍向け)が建造されました。
『造船商会アルマーズ』公式サイトより
【揚陸艦プロジェクト12322「ズーブル」】
『造船工場モーリェ』公式サイトより
【軍用艇及び軍用艦】
(ページの一番下にプロジェクト12322「ズーブル」エアクッション小型揚陸艦の解説が有る)
現在、ロシア海軍では、バルト艦隊に2隻が残っているのみです。
エアクッション揚陸艦「エフゲニー・コチェシコフ」

エアクッション揚陸艦「モルダヴィヤ」

その「ズーブル」の建造が、来年(2018年)から再開されることになるようです。
建造再開の理由の1つには、2010年代に5隻が就役した最新の揚陸艇プロジェクト21820「ジュゴン」への不満も有るようです。

建造所の候補として挙げられているのは、『造船商会アルマーズ』(サンクトペテルブルク)、『造船工場モーリェ』(フェオドシヤ)、『ハバロフスク造船工場』(ハバロフスク)、そして『造船工場ヤンターリ』(カリーニングラード)ですが、最有力候補は『アルマーズ』と『モーリェ』になるようです。
なお、2017年3月にはロシア国防次官ユーリー・ボリソフ氏が、『モーリェ』での「ズーブル」建造再開に言及しています。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2017年3月17日19時4分配信
【国防省はクリミアで「ズーブル」艇の建造再開を意図している】
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