ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート2隻と潜水艦1隻はシリアのハマー県のISIL(イラク・レバントのイスラム国)施設へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した
- カテゴリ:地中海情勢(2017年)
『タス通信』より
2017年6月23日8時46分配信
【ロシア海軍の艦はシリアの『イスラム国』の武器倉庫を破壊した】
モスクワ、6月23日/タス通信
フリゲート「アドミラル・エッセン」、「アドミラル・グリゴロヴィチ」、潜水艦「クラスノダール」は、シリアのテロリストグループ『イスラム国』(ロシア連邦では非合法)の兵器及び弾薬の大型倉庫を有翼ミサイル「カリブル」で破壊した。
金曜日、ロシア連邦国防省は発表した。
「ロシア海軍のフリゲート"アドミラル・エッセン"、"アドミラル・グリゴロヴィチ"と潜水艦"クラスノダール"は、シリアのテロリストグループ『イスラム国』の施設に対し、地中海水域の東部から6基の有翼ミサイル"カリブル"発射を実行しました」
声明では、こう述べられた。
突然の大規模ミサイル打撃の結果として、ハマー県のアケルバト拠点の居住地域のテロリスト『イスラム国』の指揮所、更には兵器及び弾薬の大型倉庫が破壊された事は注目される。
有翼ミサイル「カリブル」の命中後に武装勢力の弾薬庫は爆発した。
ロシア連邦国防省は、潜水艦「クラスノダール」が水中位置から有翼ミサイルの発射を実行した事を強調した。
「テロリスト『ISIL』(イラク・レバントのイスラム国)の戦闘員及び施設の残余は、ロシア航空宇宙軍の爆撃機の空爆により破壊されました」
当局は付け加えた。
また、トルコ及びイスラエルの司令部には、相互チャンネルにより、有翼ミサイルの発射が適時に通知されたと伝えられた。

[戦闘員の移動]
国防省が発表したように、『イスラム国』は、ハマー県へ戦闘員を投入しており、その大規模な建物には、指揮所、更には兵器及び弾薬の倉庫が備えられている。
「夜間時と困難な起伏の場所を利用し、テロリストはハマー県へ様々なルートから戦闘員を投入し、その後に大規模な建物へ、指揮所、更には兵器及び弾薬倉庫を備え付けました」
当局は声明で述べた。
ロシア連邦国防省は更に、シリアのロシア軍グループ司令部は全種類の偵察手段を使用し、テロリスト『イスラム国』の脱出ルートと分散地域を昼夜を問わず組織的にモニタリングしており、識別されたテロリスト施設を高精度複合兵器及びロシア航空宇宙軍の航空機により破壊した事を指摘した。
また、国防省は、先週からの動向として、『イスラム国』はラッカからパルミラの「南部回廊」へ向けての脱出の試みを続けていると発表した。

プロジェクト11356R警備艦(フリゲート)の1番艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」は2016年3月11日に就役し、黒海艦隊へ編入され、同年6月9日にセヴァストーポリ基地へ到着しました。
[プロジェクト11356R警備艦(フリゲート)1番艦アドミラル・グリゴロヴィチはロシア海軍へ就役し、黒海艦隊へ編入された]
[ロシア海軍最新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は黒海艦隊基地セヴァストーポリへ到着した]
その後、2度に渡り地中海への航海を行ないました。
(2016年9月24日~10月7日と2016年11月3日~12月19日)
2017年4月初頭に地中海東部へ入った後、現在まで同海域に滞在しています。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦(フリゲート)アドミラル・グリゴロヴィチは再びキプロスのリマソールを訪問した]

プロジェクト11356Rの2番艦「アドミラル・エッセン」は、2016年6月7日にロシア海軍へ就役し、黒海艦隊へ編入されました。
[第2のプロジェクト11356R警備艦(フリゲート)アドミラル・エッセンはロシア海軍へ就役した]
2017年4月末、「アドミラル・エッセン」は黒海艦隊基地へ向けて出航し、5月5日にはジブラルタル海峡を通過して地中海へ入り、5月15日から17日までキプロスのリマソール港を訪問しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦(フリゲート)アドミラル・エッセンはキプロスのリマソールへ寄港した]
2017年5月23日から27日までリビア東部沖で演習を実施しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の地中海での演習は終わった]

プロジェクト06363潜水艦の4番艦B-265「クラスノダール」は、2015年11月5日にロシア海軍へ就役し、黒海艦隊へ編入されました。
[第4のプロジェクト06363潜水艦クラスノダールはロシア海軍へ就役した]
2017年4月8日にはバルト海で有翼ミサイル「カリブル」(対艦型)を水上標的へ発射しました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦クラスノダールはバルト海で巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
「クラスノダール」は、5月初頭頃に黒海艦隊基地へ向けて出航し、5月13日にはジブラルタル海峡を通過して地中海へ入りました。
[ロシア海軍黒海艦隊の第4のプロジェクト06363潜水艦クラスノダールはジブラルタル海峡を通過して地中海へ入った]

2017年5月31日(モスクワ時間で8時過ぎ)、「アドミラル・エッセン」と「クラスノダール」は、シリア沿岸沖の公海上からシリアのパルミラ(タドムル)のISIL(イラク・レバントのイスラム国)施設へ、有翼ミサイル「カリブル」を発射しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦(フリゲート)アドミラル・エッセンと潜水艦クラスノダールはパルミラのISIL(イラク・レバントのイスラム国)施設へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
その後も、「アドミラル・グリゴロヴィチ」、「アドミラル・エッセン」、「クラスノダール」の3隻は地中海東部に留まりました。
[巡航ミサイル"カリブル"を搭載するロシア海軍黒海艦隊の2隻のフリゲートと1隻の潜水艦は地中海東部に留まる]
ロシア海軍は、6月18日から30日までの間にシリア沖の地中海東部公海上でミサイル発射を伴う演習を実施すると国際機関へ通知していました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2017年6月19日13時56分配信
【ロシア海軍は再び地中海でのミサイル発射を警告した】
そして6月23日、「アドミラル・グリゴロヴィチ」、「アドミラル・エッセン」、「クラスノダール」の3隻は、シリア沿岸沖の公海上からシリアのハマー県のISIL(イラク・レバントのイスラム国)施設へ、有翼ミサイル「カリブル」を発射しました。
ロシア国防省の発表を読む限り、3隻から発射された「カリブル」ミサイルでハマー県のISILの指揮所や武器弾薬庫をピンポイントで破壊し、混乱している所へロシア航空宇宙軍の爆撃機(たぶんTu-22M3)が爆撃で止めを刺したようです。
なお、今回、ロシア国防省は、巡航ミサイルの発射をトルコとイスラエルには事前通知したと発表していますが、アメリカについては全く触れていません。
(5月31日のミサイル発射時にはアメリカ、トルコ、イスラエルへ事前に通知した)
「カリブル」を発射したロシア海軍のフリゲート2隻及び潜水艦が居る海域をアメリカ海軍の対潜哨戒機P-8Aポセイドンが飛び回っていたとの事なので、アメリカには通知していなかったのかもしれません。
『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2017年6月23日11時49分配信
【アメリカの航空機は地中海の(ロシア)海軍の艦のミサイル発射水域上空の偵察を行なった】

『ノヴァトール・エカテリンブルク設計局』により設計された有翼ミサイル「カリブル」(対地/対艦/対潜用)は、輸出用有翼ミサイル「クラブ」シリーズのロシア海軍向けヴァージョンです。
元々は、ソ連海軍時代に配備された対地有翼ミサイル「グラナート」をベースに開発されました。
[対艦(対地)巡航ミサイル「クラブ」]
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]
「カリブル」は、2015年10月以降、シリア領内のテロ組織に対し、何度か実戦で使用されています。
・2015年10月7日:カスピ小艦隊の警備艦「ダゲスタン」、小型ロケット艦「グラード・スヴィヤージスク」、「ウグリーチ」、「ヴェリキー・ウスチュグ」がカスピ海南方からシリアへ発射。
[ロシア海軍カスピ小艦隊の4隻の艦はシリアへ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
[ロシア海軍は巡航ミサイルでシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点を攻撃した]
[ロシア連邦軍参謀本部作戦管理総局長はロシア海軍によるシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点攻撃について語った]
・2015年11月20日:カスピ小艦隊の警備艦「ダゲスタン」、小型ロケット艦「グラード・スヴィヤージスク」、「ウグリーチ」、「ヴェリキー・ウスチュグ」がカスピ海南方からシリアへ発射。
[ロシア海軍カスピ小艦隊は再びシリアのISIL(シリアとレバントのイスラム国)拠点へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
・2015年12月8日:黒海艦隊の潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」が地中海東部からシリアへ発射。
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは地中海東部からシリアのISIL(イラク・レバントのイスラム国)拠点へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
・2016年8月19日:黒海艦隊の小型ロケット艦「ゼリョヌイ・ドル」、「セルプホフ」が地中海東部からシリアへ発射。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新鋭小型ロケット艦ゼリョヌイ・ドルとセルプホフはシリアのアル=ヌスラ戦線を巡航ミサイル"カリブル"で攻撃した]
・2016年11月15日:黒海艦隊の警備艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」が地中海東部からシリアへ発射。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア領内のテロ組織へ巡航ミサイルを発射した]
・2017年5月31日:黒海艦隊の警備艦「アドミラル・エッセン」、潜水艦「クラスノダール」が地中海東部からシリアへ発射。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦(フリゲート)アドミラル・エッセンと潜水艦クラスノダールはパルミラのISIL(イラク・レバントのイスラム国)施設へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
今回(2017年6月23日)の「カリブル」実戦使用は、ロシア海軍全体では通算7回目、黒海艦隊としては通算5回目となります。
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