ヘリ空母ミストラルのウラジオストク(ウリス湾)配備には2-3億ルーブルを要する
- カテゴリ:ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル級

『中央海軍ポータル(フロートコム)』より。
【ミストラルのウラジオストク配置には2-3億ルーブルの費用が掛かる】
2012年8月1日
フランスから購入するヘリコプター空母「ミストラル」の為に、大ウリス湾の係留正面基地は再建される。
同湾沿いを経由し、ルースキー島からウラジオストクへ道路が通される。
同湾から数メートルの場所には高価な橋が建設され、ウラジオストクと、今年9月にサミットが開催されるルースキー島が結ばれる。
ロシア国防省の情報提供者が『イズべスチア』紙へ話した所によると、フランス製ヘリコプター空母の為に、同湾の正面係留所は再建され、新たな発電ステーションが建設され、インフラストラクチュアを含む沿岸施設をは修復される。
「作業の最終範囲は、今年末までに決定されます。
決定は、アナトーリー・セルジュコフ国防長官により下されます。
私共は、この件が2013年3月までに承認される事を期待しております。
ミストラルが海軍へ納入される2014年末までに全ての作業は完了します」
情報提供者は説明した。
彼によると、基地再建作業の費用は、およそ2~3億ルーブルとなる。
だが、「ミストラル」の為に新たな基地を建設する決定が下された場合は、その費用は倍増するだろう。
太平洋艦隊司令部は、全てを再建しなくとも、既存の埠頭に「ミストラル」を配置する準備は整っていると説明した。
「水上艦は充分な汎用性を有しており、古い埠頭でも容易に着けることが出来ます。
潜水艦は、特異な例です。
新たな艦の到着は、海軍にとって何ら特異な状況ではありません。
ソヴィエト連邦時代には、例えば、カムチャツカ半島には、毎年、3-4隻の新たな艦が来着しており、その為の支援体制は十分に整っておりました」
太平洋艦隊の情報提供者は説明した。
彼は、艦隊司令部が「ミストラル」の為の新たな埠頭を建設する決定を下した場合、運航に必要な通航管理所を建設し、電力供給の為の新たな変電所を設置して既存の埠頭に接続し、艦に新鮮な水を確保する為の水道管を敷設する必要がある。
更には、「ミストラル」の為に、幾つかの魚雷、ミサイル、その他の兵器の貯蔵庫、ヘリコプター基地、揚陸車輌の基地を建設する必要がある。
情報提供者は、同艦を受け持つのは地元の艦船修理工場-閉鎖行政地域ボリショイ・カーメニに位置する株式会社「極東工場ズヴェズダー」、そして(ウラジオストクの)ダーリザヴォードになる事を確認した。
乗組員の為の住宅は、既に存在している。それは、大ウリス湾にある空きアパートの住宅複合体である、
地政学的問題高等学院校長レオニード・イワショフは、「ミストラル」の駐留場所に関して論理的な意思決定が欠如していると述べた。
「国防省は、まず高価な艦を購入しておきながら、それで何をすべきか、何処へ置くべきなのかを知りません。
私は、海軍将兵と話しましたが、彼らは、大きな塊であるこの艦は沈むだろうと確信しています。その船体の脆弱さ故に。
だいたい、何故、ウラジオストクへ揚陸艦を配置するのかが理解できません」
イワショフ氏は当惑を表明した。
同時に彼は、「ミストラル」購入は、フランスとの良好な関係確立を目的とする純粋に政治的なものであり、艦を配置する場所や条件は重要ではないと述べた。
ヘリコプター揚陸ドック艦「ミストラル」型は全長210m、排水量21000トン、艦内には、乗組員の他に450名の上陸要員と12トンまでのヘリコプター16機を収容できる。
これらの為に、艦内には面積1800平方mの格納庫エリアが有る。
航続距離は最大20000海里、速力18ノット以上である。
2隻の同型艦がフランス海軍に就役している。
以前、海軍総司令官ヴィクトル・チルコフは2隻の「ミストラル」型揚陸ヘリコプター艦-「ウラジオストク」と「セヴァストーポリ」がウラジオストクに駐留し、地元の艦船修理工場が受け持つと発表した。
[ヘリ空母ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
[ロシア海軍向けミストラル型の詳細が公表された]
7月26日、ロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ中将は、太平洋艦隊へ配備される「ミストラル」型は、ウラジオストクへ配置されると表明しました。
[ヘリ空母ミストラル型はウラジオストク市へ配置される]
今回の記事によれば、「ミストラル」型ヘリ空母は、ウラジオストク南端のウリス湾に配備されるようです。

ウリス湾には、ロシア太平洋艦隊のディーゼル潜水艦、小型対潜艦、ロケット艇、給油船などが駐留しています。
「ミストラル」型が駐留する「既存の埠頭」は、給油船などが停泊しているウリス湾南部埠頭でしょうか。


【「地政学問題高等学院」公式サイト】
校長のレオニード・グリゴリェヴィチ・イワショフ氏は1943年8月31日生まれで現在68歳(今月末に69歳)。元陸軍大佐で歴史学博士です。

地政学問題高等学院副校長の軍事学博士コンスタンチン・シフコフ(元海軍大佐)と共に、『イズべスチア』紙のお抱え軍事評論家のようです。
[艦上戦闘機MiG-29Kは地中海上の空母「アドミラル・クズネツォフ」で試験を行なった]
[カムチャツカ半島の基地設備はボレイ級戦略原潜に適していない]
[オスカーII級原潜「ベルゴロド」は完成する]
[新型揚陸艦イワン・グレンの2番艦が建造されるかもしれない]
そのイワショフ氏は、ロシア国防省の「ミストラル」導入には批判的です。
「ミストラル」導入は政治的な理由によるものであり、軍事的見地や防衛上の理由は存在していないと言いたいのでしょう。
以前のロシア側の報道を見ても、まず最初に「ミストラル」導入ありきで話が進められている事が伺えます。
イワショフ氏が「ウラジオストクへ揚陸艦を配置するのか理解できない」と言うのは、現在のロシア太平洋艦隊の大型揚陸艦は、全て沿海地方のフォーキノ(ストレロク)へ配備されているのに、何故、「ミストラル」はフォーキノではなくウラジオストクへ配置されるのかが理解できない、という事でしょう。

なお、2012年8月1日、ロシアのサンクトペテルブルク市の「バルト工場」でロシア海軍向け「ミストラル」1番艦の船体の為のプレートカットが開始されました。
正式な起工日は10月1日を予定しております。
『中央海軍ポータル(フロートコム)』より。
2012年8月1日配信
【バルト工場は最初のミストラル船体の為のプレートカットを開始する】
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