ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは近代化改装後、少なくとも2040年まで現役に留まる

『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2017年6月28日12時0分配信
【航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」は修理及び近代化の後、少なくとも20年間は就航する-統合造船業営団】
サンクトペテルブルク、6月28日、インタファクス-AVN
『統合造船業営団』は、重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」の修理と近代化を引き受ける為の準備を進めている。
『統合造船業営団』軍事造船担当副総裁イーゴリ・ポノマリョフは述べた。
「重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの修理の為の契約を我々は未だ結んではおりませんが、我々は作業量の概算を提示し、準備を進めております」
彼は水曜日の国際海軍サロン(IMDS)中にインタファクス-AVNへ話した。
「艦の最も重要なパラメータは改善されます。
更新後、巡洋艦は、更に少なくとも20年は就航できます」
彼は指摘した。
以前、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の今後の近代化の輪郭と範囲は軍により定められたと報じられた。
(2017年)2月、北方艦隊の航空打撃艦グループは、地中海からセヴェロモルスクへ戻ってきた。
グループの構成には、特に、航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」と重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」が在った。
航空母艦の艦上航空隊は、シリアでの軍事作戦へ関わった。
ロシア北方艦隊の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(1991年1月20日就役)は、2016年10月15日から2017年2月8日まで遠距離航海を行ない、地中海東部(シリア沖)まで遠征しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]
2016年11月15日には初めてシリアへの空爆作戦へ参加し、イドリブ県の『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃しました。
以後、2017年1月初頭までシリア領内のテロ組織(『イスラム国』や『アル=ヌスラ戦線』)への空爆作戦へ参加しました。
無論、「アドミラル・クズネツォフ」にとっては、1991年1月20日の就役以来初の実戦参加となりました。
「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行ない、シリア領内のテロ組織の施設1252を破壊しました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ近代化改装]
シリア沖から戻ってきた「アドミラル・クズネツォフ」は、2017年に近代化改装を開始する予定です。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは2017年から近代化改装を開始する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年に始まる]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装を担当するのは、セヴェロドヴィンスクの艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』と、そのムルマンスク支所である『第35艦船修理工場』になるようです。
[ムルマンスクの第35艦船修理工場はロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為にドックを拡張する]
[ロシア海軍唯一の空母(重航空巡洋艦)アドミラル・クズネツォフの近代化改装はムルマンスクで始まり、後にセヴェロドヴィンスクへ移される]
[セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』はロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装を行なう用意がある]
艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』

『第35艦船修理工場』

近代化改装の全容は明らかにされていませんが、兵装、電子機器、通信機器、航空艤装、戦闘情報管理システムなどは新型に変更される事になるでしょう。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により兵装を変更する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな通信システムを受け取る]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは航空隊と戦闘情報管理ステムを近代化する]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装に関する情報は、2016年5月以降に何度も出ていますが、改装費用の見積もりは、新しい情報が出るたびに増えています。
2016年5月下旬初出:改装費用数十億ルーブル
主に航空関係艤装に焦点を当てた必要最低限の改装。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年初頭から始まる]
2017年3月初頭初出:改装費用200億ルーブル
対空兵装、電子機器などを新型に換装し、ボイラー4基を交換。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年7月までに始まる]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は2017年5月末から始まるかもしれない]
2017年3月中旬初出:改装費用650億ルーブル(但し、新型機器の設計開発費用300億ルーブルも含む)
兵装(打撃有翼ミサイル複合体も含む)や電子機器の殆ど全てを交換し、寿命も20年延長。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により寿命を20年延長する]
「アドミラル・クズネツォフ」を設計した『ネフスキー計画設計局』は、既に同艦の近代化改装の設計案を完成させています。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の設計案は完成した]
2017年4月下旬、「ロシア防衛産業企業体の匿名の情報提供者」は、「アドミラル・クズネツォフ」が近代化改装で現用の有翼ミサイル複合体「グラニート」を汎用垂直発射装置3S-14UKSKへ換装すると発言しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな打撃巡航ミサイル(カリブル、オーニクス、ツィルコン)を装備する]
「グラニート」の換装については、以前にもロシア連邦副首相ドミトリー・ロゴージン氏が言及しています。

2017年5月、別の「情報提供者」は、「グラニート」の換装については「おそらくは実行されない」と言いました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装で有翼ミサイル複合体グラニートを換装しない?]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の概要が定められた]
「アドミラル・クズネツォフ」の8基のボイラーの内、4基が新品に交換されるのは確実のようですが、この工事は、ムルマンスク近郊のロスリャコヴォに在る第82艦船修理工場の大型浮きドックで行なわれる可能性が高いようです。

第82艦船修理工場は、その大型浮きドックで何度も「アドミラル・クズネツォフ」の修理を行なったことがあります。

この他、レーダーなどの各種電子機器も近代化するとの事ですから、新型のものに換装される事になるようです。
2017年6月初頭の見積もりによると、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装費用は500億ルーブルです。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装には500億ルーブルの費用が掛かる]
そして今回、ロシア造船業界の総元締である『統合造船業営団』の副総裁イーゴリ・ポノマリョフ氏は、近代化改装を終えた「アドミラル・クズネツォフ」は、少なくとも20年間は就航できると発言しました。
つまり、2040年頃までは現役に留まるという事です。
「アドミラル・クズネツォフ」が近代化改装により寿命を20年延長するという話は、以前にも非公式筋から出ていましたが、今回は公式筋からの情報です。
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